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頭は『本の読み方』で磨かれる』

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 No.1155 

 

 『頭は「本の読み方」で磨かれる』茂木健一郎著(三笠書房)を読みました。

 「見えてくるものが変わる70冊」というサブタイトルがついています。
 著者は、脳科学者として他分野で活躍する才人です。

 

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   著者の写真入りの本書の帯


 

 本書の帯には著者の顔写真とともに「脳は『言葉』と向き合うときに、一番成長する!」「脳科学者流完全読書ガイド」と書かれています。
 また帯の裏には「頭のいい人は、何を、どう読んでいる?」として、以下のように書かれています。


◎「話のネタ」にしたい本を選べ
◎今の自分より「ワンランク上」と「ジャンル違い」を意識する
◎1日たった10ページ!「同時進行で、複数読む」
◎「積ん読」も、確実に脳の肥やしになる―その理由
◎今、読んでいる本が、「あなたはどういう人間か」を物語る

 

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    本書の帯の裏


 

 本書の「目次」は、以下のような構成になっています。


はじめに「本は、あなたを映す『鏡』である
     ―何をどう読むか、それが問題だ」
1 これが"自分の頭で考える力"をつける第一歩
  本を読む人、読まない人、そこに圧倒的な差が生まれる
2 こんな「教養のある人」こそが強い
  仕事、人間関係、幸福・・・・・・あらゆることは、読書に左右される
3 「自分を成長させてくれる本」の見つけ方
  「上質な文章」に触れることが、何よりも脳を鍛える
4 知識を吸収し、人生に活かす技術
  膨大なデータを血肉にする「7つの絶対ポイント」
5 「一生使える財産」としての厳選10冊
  「知の宝庫」から、本当に必要なものを盗め!

 

 「はじめに」では、本書は「本の選び方」「味わい方」「実践へのつなげ方」を明らかにした本であるとして、著者は以下のように述べています。


「インターネットの到来で紙の本は淘汰されるかもしれないと言われましたが、結局、本の価値は変わりませんでした。ものすごい量の情報が毎日流れてくる時代だからこそ、流されないための『アンカー(錨)』としての本が必要とされているのでしょう」

 

 続いて、著者は次のように本について述べています。


「ぼくにとって、本は1つの"生命体"。出会い、育ち、そして一緒に生きていく友人のようなものです。1回だけつき合って終わりなのではなく、ときどき対話をして新しいものの見方を手に入れたり、悩みに対するアドバイスをもらったり、何気ないひと言に救われたりする。人が成長すれば、本も成長するのであって、その意味で本は『自分という人間の成長を映す鏡』でもあります」


 著者はこれまでのぼう大な量の本を読んできました。
 本書ではその中から、人生の貴重な時間を費やし、手間ひまをかけてでも読むに値する、宝物のような本を紹介するとして、著者は述べます。


「イギリスに『ジョン・ロブ』という有名な皮靴ブランドがあります。最低でも数10万円する靴なのですが、10年20年とはけるので、結局安上がりになるとよくいわれます。何でも1度はくと手放せなくなるのだとか。残念ながら、ぼくは高級な靴をはかない質ですが、本も同じようなものなのです。
死ぬまで一生つき合えて、つき合えばつき合うほど好きになるし、自分の"味"になってくれる。しかも靴よりもはるかに安い。「本なんて必要ない」と思っている人は、いずれ人生の深みや喜びに差がついて、絶対に後悔することになる」

 

 本を読むとどんないいことがあるのでしょうか?
 1「これが"自分の頭で考える力"をつける第一歩」で、著者は答えます。


「それは、読んだ本の数だけ、高いところから世界が見える、ということに尽きます。読んだ本の数だけ、足の下に本が積み重なっていくイメージです。1冊1冊積み重なっていくからこそ、より広い世界、より深い世界が見えるようになる。10冊読んだ人は、10冊分の高さから、100冊読んだ人は、100冊分の高さから、世界が見えるのです」

 

 著者は「読んで"巨人の肩"に乗る」として、以下のように述べます。


「読書は、情報を取り入れて『ハイ、終わり』にはなりません。取り入れた知識は、自分の過去と未来の経験と結びついて新しい意味が見出され、知らぬうちに発展していきます。こういう発酵のプロセスを経て初めて、『知性・見識』として定着するのです。万有引力の法則を発見したアイザック・ニュートンがこんなことを言っています。『自分が遠くまで眺めることができたのだとしたら、それは巨人の肩に乗っていたからだ』」

 

 さらに著者は、以下のようにも述べています。


「アメリカの有名な作家のジョナサン・レセムという人もこんなことを言っています。『何かを"オリジナル"と呼ぶ人は、十中八九、元ネタを知らないだけ』
つまり、『オリジナル』と呼ばれるものを生み出す人でも、元ネタに支えられており、自分の中でちゃんと蓄え、消化したからこそ今の成果がある。本を書いた人の経験を『読む』ことを通して、自分のものにする。そして自分の中で育てていけば、いつか必要なときに、驚くべき形となって表れてくるのです」

 

 「なぜ、この1冊で脳が鍛えられるのか」では、著者がこれほどまでに読者に読書を薦める理由が以下のように明かされています。


「ここに1冊の本があるとします。1冊の本を完成させるには、実は大変なエネルギーと時間と人員がかかっています。書き手は、もちろん人生のすべての経験を動員して書いています。そして、編集者の妥協のないチェックが入ります(この本もそうです)。文字の間違いの指摘から、読みやすさの軌道修正、文章全体の方向性にいたるまで、1冊の本を完成させるために何度もくり返し目を通して推敲します。
 また、事実関係に間違ったところはないか、誤植がないかなど、校正・校閲を専門にする方々の労力も忘れてはなりません。くり返しになりますが、今はインターネットが普及している世の中ですから、いちいち書店に行って本を買わなくても、ネット上にあふれている文章で事足りる―そうおっしゃる方も多いかもしれません。
しかし、本ほどに何人もの知恵が凝縮され、練り上げられた文章はないのです」


 著者は「『言葉の筋力』を磨く」として、以下のようにも述べます。


「ぼく自身も、自分の日本語の力を維持するために、折に触れて夏目漱石の小説などを読み返し、スパーリングすることを心がけています。とくに、時間を経て『古典』と呼ばれるようになった本は、文章表現の中でも最高峰だからです。いくらネット上で同時代の文章に気軽に接することができたとしても、それだけだと『言葉の筋力』は落ちてしまいます。囲碁であれば、ものすごく強い人に挑まないと強くならないし、楽器を弾くのでも、うまい人と合奏しないと上達しないのと一緒です」

 

 「この方法で『ドーパミン』を出す」では、著者は「自分には無理だと思っていたことができたとき、起こらないと思っていたことが起きたときに、もっともドーパミンが出る」と述べ、さらに次のように書いています。


「苦労して、それが報われたとき、人間の脳はいちばんドーパミンを出すのです。実はどの人の脳も、苦労が喜びに変わるメカニズムを持っています。むしろ、あることが苦手だった人のほうが、それができるようになったときの喜びが強いことは想像に難くありません」

 

 3「『自分を成長させてくれる本』の見つけ方」では、以下のような恐ろしい事実が語られています。


「これは恐ろしい事実なのですが、文章を見ると、その人の頭のよさがわかります。『その人らしい独自の言葉を持っている』ということは1つの才能で、世間の常識を離れ、自分でさまざまな経験を重ね、思考を積み上げた結果獲得されるものに他なりません。ある一定のレベルのおもしろい情報は発信できるけれど、『これは本当にすごいぞ・・・・・・』とうなってしまう『プラスα』がない人も多いのです」


 これは、わたしも薄々気づいていた事実でした。でも、著者のような度外れて頭のよい人から言われると異様な説得力がありますね。


 5「『一生使える財産』としての厳選10冊」では、著者は複雑な時代に立ち向かうための書として以下の10冊を紹介します。


『選択の自由』M&R・フリードマン
『悲劇の誕生』ニーチェ
『ご冗談でしょう、ファインマンさん』R・P・ファインマン
『硝子戸の中』夏目漱石
『宇宙からの帰還』立花隆
『イワン・デニーソヴィチの一日』ソルジェニーツィン
『獄中記』オスカー・ワイルド
『枕草子』清少納言
『モオツァルト・無常という事』小林秀雄
『ファウスト』ゲーテ

 

 本書にはそれぞれの本の魅力や読みどころを解説されています。
 それにしても、なかなか興味深いセレクトであると思いました。
 もし、わたしが10冊を選ぶとしたら、どうなるか。
 そのセレクトは以下の通りです。『論語』『古事記』『旧約聖書』、ヘーゲル『精神現象学』、泉鏡花『高野聖』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』、サン=テグジュペリ『星の王子さま』、小林秀雄『本居宣長』、ドラッカー『マネジメント』、渡部昇一『知的生活の方法』

 

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   講演会の控室で茂木健一郎氏と


 

 ところで、本書を読了した翌日、わたしのブログ記事「有縁社会」で紹介したように、なんと小倉の夜の街で著者の茂木健一郎さんとバッタリお会いしました。茂木さんと親しい東八幡キリスト教会の奥田知志牧師もご一緒でした。わたしのブログ記事「茂木健一郎&奥田知志講演会」で紹介した講演会で講師を務められたお二人です。わたしが本書を読んだばかりであることを茂木さんにお伝えしたところ、「それはご苦労様です!」と大きな声で言われました(笑)。

 

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   茂木健一郎氏&奥田知志氏と