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知的生活の方法』

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No.1000

 

 わたしは、これまで「読書館」で多くの本を紹介してきました。そのもとになっているのが、わたしのブログである「一条真也のハートフル・ブログ」 、「一条真也の新ハートフル・ブログ」なのですが、その数はなんと999冊になります。そして記念すべき1000冊目に紹介する本は、「稀代の碩学」にして「知の巨人」、そして「現代の賢者」である渡部昇一先生の不朽の名著『知的生活の方法』(講談社現代新書)です。

 

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   わたしが読み込んだ『知的生活の方法』初版


 

 本書が刊行されたのは1976年(昭和51年)であり、著者は36歳でした。累計部数はじつに118万部を超え、講談社現代新書史上最大のベストセラーとなっています。本書の表紙には、以下のように書かれています。


 「知的生活とは、頭の回転を活発にし、オリジナルな発想を楽しむ生活である。日常生活のさわがしさのなかで、自分の時間をつくり、データを整理し、それをオリジナルな発想に結びつけてゆくには、どんな方法が可能か?
 読書の技術、カードの使い方、書斎の整え方、散歩の効用、通勤時間の利用法、ワインの飲み方、そして結婚生活・・・。
 本書には、平均的日本人に実現可能な、さまざまなヒントとアイデアが、
 著書自身の体験を通して、ふんだんに示されている。
 知的生活とは、なによりも内面の充実を求める生活なのである」

 

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   初版のカバー裏(渡部先生も若い!)

 

 

 本書の目次構成は、以下の通りです。


「はじめに」
1.自分をごまかさない精神
   知的正直
   『三国志』からシナ文学へ
   頼山陽をまねる
   縁先の碁盤
   「手段としての勉強」の危うさ
   恩師にめぐりあう
   「わからない」に耐える
   漱石体験
   「わかった」という実感
   巨人、大鵬、卵焼き
   英語の小説が読めない
   知的オルガスムスを求めて
   不全感の解消
   老齢はこわくない


2.古典をつくる
   繰りかえし読む
   趣味の形成
   漱石と漢文
   1つのセンスにコミットする
   精読が生み出すもの
   『半七捕物帳』
   古典とは何か


3.本を買う意味
   身銭を切る
   読みたいときにとり出せる
   カード・システムの問題点
   無理をしても本を買う
   ギッシングとハイネ
   貧乏学生時代
   極貧のなかの楽しみ
   闇屋になってでも本を買う
   知的生活を守る気概


4.知的空間と情報整理
   彦一の知恵
   図書館に住む
   能動的知的生活者
   蔵書と知的生産の関係
   向坂氏の蔵書
   『ドイツ参謀本部』裏話
   「本がある」という自信
   金は時なり
   時間を金で買う方法
   クーラーの効用
   書斎の音熱対策
   図書館を持つ
   カード・システム
   カード・ボックス
   カードの入れかえ
   ファイル・ボックス
   コピー利用法
   卓上ファイル
   森銑三先生の方法
   書斎の構想
   水鳥の足


5.知的生活と時間
   静かなる持続
   タイム・リミット
   ハマトンの見切り法
   見切り法の活用
   早起きカント
   ゲーテの場合
   夜型か朝型か
   血圧型
   「中断」
   溶鉱炉と知的生産
   ゲーテの城
   たっぷり時間をとる
   半端な時間の使い方
   通勤時間
   コウスティング
   睡眠と安らぎ


6.知的生活の形而下学
   交際を楽しむ
   食事について
   ビールとワイン
   コーヒーについて
   牛乳とウイスキー
   散歩について
   家族
   結婚
   夫婦の知的生活
   知的生活と家庭生活の両立


「はじめに」で、著者は以下のように述べています。


 「この本で私が意図したことは、本を読んだり物を書いたりする時間が生活の中に大きな比重を占める人たちに、いくらかでも参考になることをのべることであった。私は読書論とか学者の伝記を読むのが好きである。そして『なるほど』と思われたことは自分でも工夫してみた。真似してよかったものもあるし、真似しきれなかったものもある。(中略)
そんなことを体験に即してのべてみたいと思った。(中略)
 知的性格についての本が、現代の読者のためにも必要なのではないか、と思ったのは、二十数年前に読んだハマトンの『知的生活』を数年前によみかえし、去年と今年また読みかえして非常な啓発を受けたからである。
 上智大学の若い同僚たちや、大学院の学生たちにもすすめたところ、この人たちも非常な感銘を受けたようであった。確かに知的生活に対する具体的なアドヴァイスが現代でも求められているのである」


 アマゾンの内容紹介には、以下のように書かれています。


 「日常生活の中で、頭の回転を活発にし、オリジナルな発想を楽しむ。
 それが『知的生活』。改めて2010年代に生きる私たちに本当にたいせつな生活スタイルです。時間に追われる現代人が、頭を活性化し、ユニークな発想を生み出すにはどうすればよいのか? パソコン・スマホが普及するはるか以前、1976年に発行された本書ですが、そこには依然として『使える』ヒントが満載です。多忙な日々でいかに自分の時間を作り、データを入手・整理し、それをオリジナルな発想にまで高めて行くのか─。むしろ本書が提示するさまざまなヒントは、情報氾濫の時代である現代にこそ、ますます有効なものになっています。ビジネスにも、またプライヴェートの充実のためにも必読の、現代人のための永遠のロングセラーです」
 後世の読書術や知的生活術に与えた影響も甚大です。最近わたしが読んだ本の中でも、『喰らう読書術』荒俣宏著(ワニブックス|PLUS|新書)や『50歳からの知的生活術』三輪裕範著(ちくま新書)などで『知的生活の方法』が"古典"のような扱いで敬意をもって紹介されていました。 

 

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   わがバイブルと、そのオマージュ


 

 わたしは渡部先生の著書はほとんど読んでいるつもりですが、最初に読んだ本が大ベストセラー『知的生活の方法』(講談社現代新書)でした。この本を中学1年のときに読み、非常にショックを受けました。読書を中心とした知的生活を送ることこそが理想の人生であり、生涯を通じて少しでも多くの本を読み、できればいくつかの著書を上梓したいと強く願いました。書斎にある『知的生活の方法』は、もう何十回も読んだためにボロボロになっています。表紙も破れたので、セロテープで補修しています。そう、この本は、わたしのバイブルなのです。わたしは『あらゆる本が面白く読める方法』(三五館)という「読書」をテーマにした本を書きましたが、これは恩書である『知的生活の方法』へのオマージュだと思っています。

 

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渡部先生の書斎で、先生と

 

 

 中学1年生だったわたしに『知的生活の方法』の存在を教えてくれた人は、日新館中学の初代校長である小田郁男先生でした。たしか、「校長の時間」のような授業で、小田先生はわたしたちに「本を読みなさい。わたしは最近、こういう本を読んで面白かった」と同書の実物を示して紹介してくれたのです。このとき、小田先生に『知的生活の方法』を教わらなかったら、わたしは今のような本の虫にならず、おそらくは著書もこんなに執筆していなかったでしょう。その意味で、小田先生には本当に感謝しています。また、当時の日新館中学の同級生だった江藤裕之君に渡部先生の本を紹介したところ、彼が後に上智大学の渡部ゼミで学び、東北大学大学院の教授にまでなりました。

 

 江藤君と一緒に渡部先生の御自宅の訪問し、「世界一」と言っても過言ではない書斎や書庫を拝見できたことは生涯忘れられない思い出です。そのとき、わたしは読み込んでボロボロになっている『知的生活の方法』を持参したのですが、渡部先生はその本に毛筆でサインをして下さいました。

 

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   思い出の『知的生活の方法』にサインして下さいました

 

 

 もう40年近くも前に上梓された本とは思えないほど、本書に書かれている内容は今でも十分に通用します。パソコンおよびインターネットの普及という大革命を経てもなお本書の内容が色褪せないのは驚くべきことであり、もはや古典の域に到達していると思います。


 特に多くの読書人に影響を与えたのは、時間を金で手に入れる考え方、最適な知的空間を作り出すことの有用性、知的生活のための時間の有効活用、知的生活のための生活習慣や食生活などだと思います。これまで膨大な読書論が書かれてきましたが、ここまで実践的な本は存在しませんでした。理想の知的生活を実現した著者は、本書にも登場するゲーテやカントの後継者であると言えるかもしれません。

 

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   渡部昇一先生と対談しました


 

 今年の8月14日、わたしは渡部先生と対談させていただきました。渡部先生が愛用されているという吉祥寺のホテルで、以下のようなテーマを中心に語り合いました。


●読書が人生を豊かにする
●記憶こそ人生
●老いを豊かにするための知的生活
●日本人論 カミ文明圏とは何か
●歴史の見方 歴史の真実

 

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   渡部先生、ありがとうございました!


 

 最初は、わたしにとっての「恩書」である渡部先生の大ベストセラー&ロングセラー『知的生活の方法』の思い出から始まって、渡部先生の世界一の書斎&書庫のお話、それから「四大聖人」「心学」「カミ文明圏」といった日本人の本質に迫るテーマを語り合い、最後は靖国神社を中心とした「鎮魂」「慰霊」の問題について意見交換をさせていただきました。対談は5時間にも及びましたが、わたしにとっては夢のような時間でした。渡部先生は本当に対談の名手というか、慈愛に満ちたお方で、浅学のわたしを相手に優しく問いかけて下さいました。おかげで、最初は憧れの方を前にして緊張していたわたしも次第にリラックスし、自分の考えを述べることができました。


 この対談の内容は『永遠の知的生活』(実業之日本社)としてもうすぐ刊行される予定です。わたしを読書の楽園に導いて下さった方とともに共著が出せるなんて、本当に夢を見ているようです。最後に、同書のタイトルではありませが、『知的生活の方法』こそはわが永遠の愛読書です!