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本棚にもルールがある』

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No.1137

 

 『本棚にもルールがある』成毛眞著(ダイヤモンド社)を読みました。
 著者はマイクロソフト社の元社長で、書評ブロガーとしても有名です。
 この読書館で著者の本を取り上げるのは『実践!多読術』『面白い本』に続いて3冊目です。

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   本書の帯



 帯には、本書のサブタイトルでもある「ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか」という言葉が大書され、続いて「本棚で過去の自分を把握し、未来のなりたい自分になる」「仕事の本は本棚に入れない」「社会人として必ず入れておくべきなのは『科学、歴史、経済』」「特別付録HONZ特製 書評の書き方つき」とあります。

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本書の帯の裏



 本書の「目次」は、以下のような構成になっています。


「はじめに」
第1章 本棚は外付けできるあなたの脳である
第2章 「理想の本棚」の仕組み
第3章 教養の深まる本の買い方、読み方
特別付録[HONZ特製]Webで読まれる書評の書き方
「おわりに」

 第1章「本棚は外付けできるあなたの脳である」の冒頭で、著者は「本棚に『ゆとり』のない人間は成長しない」として、「私は、最低でも年間で200冊は本を読む。書評サイト「HONZ」を主宰するようになって読書量が増えたが、それ以前から年間で100冊は読んでいた」と書いています。
 続いて、著者は以下のように述べています。


「気になった本は、片っ端から買うべきだ。自分の好きなジャンルの新しい情報、興味ある業界の最先端の知識、テレビで見て面白そうだと思った最新の科学について、本を読めば読むほど、昨日まで知らなかったことを知ることができる。多くの本を読めば、本を読まない平凡な人とは違った人間になれる。私が付き合っている優れた経営者たちや、クリエイティブな人間に、本を多く読んでいない人間はいない」

 著者にとっての「理想の本棚」の条件は以下の2点だそうです。


●見やすいこと
●2割の余白があること


 これを踏まえて、著者は以下のように述べます。


「本が見にくい本棚は機能しない。並べた本のタイトルが見えないようでは、本棚としての意味がない。
一方で、見やすいだけで本棚は力を発揮する。スッキリと並んだ本の背表紙のタイトルを眺めているだけで、新しい発想が生まれてくる。読まずに置いたままになっている積ん読本も、いつか読むのが楽しみになってくる」


「もうひとつの私の理想の本棚の条件は、本棚の容量に対して8割が本で埋まっていること、つまり、2割の空間があることである。その2割は、自分の成長の余白の象徴だ。自分の中に2割も成長の余白があると気づくと、それだけで今後の人生が変わってくるはずだ。その余白にどんなものを入れていこうかと、知的好奇心が湧くに違いない。
人間には成長の伸びしろがあるべきなのと同じように、本棚には、新しい本が入る余地があるべきなのだ」

 本書の内容の要約は、もうこれに尽きます。
 全体で212ページの本ですが、1割未満である17ページにして、もう著者に言いたいことは言い尽くされています。
 この「見やすいこと」「2割の余白があること」が本棚の理想であることはよく理解できます。しかし、わたしの書斎においてはこの2点はまったくクリアーされていません。本が溢れかえっているばかりか、書棚は2重に本が納められているからです。

 これを読んで、『永遠の知的生活』(実業之日本社)で対談させていただいた上智大学名誉教授の渡部昇一先生の書斎および書庫を思い出しました。渡部先生の書斎や書庫は大変見やすく、しかもおよそ2割の余白を確保されていたからです。一方、わたしのブログ記事「実家の書庫」で紹介した「気楽亭」の本棚は見やすくはありますが、余白がありません。

 『永遠の知的生活』には、以下のようなやり取りが書かれています。


一条 わたしの父も実家に書庫を兼ねた書斎をもっています。「気楽亭」といいます。先生の足元にも及びませんが、古今東西の名著を集めています。「気楽亭」の自慢の一つは東洋文庫(平凡社)の全点が揃っていることだったのですが、渡部先生の書庫には当然のように並べられていましたね。(苦笑)父の書庫には約7万冊の蔵書が収められているのですが、最大の失敗は蔵書がちょうど収まる書庫を設計したことです。渡部先生の書庫にはまだまだ空スペースがあって感心しましたが、ご存知の通り、本は際限なく増えていくものです。完成時に書棚を埋め尽くしている書庫には、もう本は入らない。これは大きな失敗でした。もし将来、わたしが自分の書庫を作ることがあるならば、ぜひこの点に注意したいと思います。 渡部 なるほど。空スペースを作らなかったのは、たしかに残念ですね。
『永遠の知的生活』P.57~58)

 さて、本書の著者である成毛氏は「本棚を編集できれば、人生も編集できる」として、以下のように用に述べています。


「本棚は、外付けできる脳であり、客観的に自分の過去と現在を把握するのを助け、末来の自分の姿を映し出す鏡でもある。そういった本棚の性格を踏まえて本棚を編集すれば、人生さえも編集できる可能性がある」

 第2章「『理想の本棚』の仕組み」では、冒頭で「必要な本棚は3つ」として、「社会人は3つの本棚を持つべきだ。その本棚は以下の3つだ。それぞれ、大きさもタイプも違う」と述べられ、さらに以下のように続きます。


(1)新鮮な本棚・・・・・・買ったばかりの本、これから読む本を置いておくスペース。そこにあるのは、これからの自分の教養だ。
(2)メインの本棚・・・・・・読み終えた本を効率良く並べて置いておく場所。3つの本棚のうち、最も収容量が多い。一般家庭にある本棚が、この本棚に近い。
(3)タワーの本棚・・・・・・ふとしたときに参照したくなる本を積んでおく本棚で、辞典やハンドブックで構成される。知識を層にして積み上げるイメージだ。

 本書の内容は全体的に共感できる部分が多かったのですが、第3章「教養の深まる本の買い方、読み方」の「旅先の読書は新しい読書体験のチャンス」に書かれていることは納得できませんでした。著者は以下のように述べています。


「旅先で必ず読むのは、そことは別のエリアの本だ。海外でも、その国とは関係のない本を読む。ベトナムに行けばパリの本、ニューヨークならメキシコの本といった具合だ。普段は読まない都市や国、土地のものがいい。日常からかけ離れた場所で旅の本を読むほど、身に迫って本が読める時間はないのである」

 これは、わたしは正反対の読書を心掛けています。
 つまり、海外に行ったら、その国の歴史を説明した本など、旅先に関連した本を固め読みするのです。そういった本は日本で読むよりもずっと身近に感じられて内容が頭に入ってきますし、何よりも知識が増すことによって旅そのものが楽しくなるからです。著者はなぜ「旅先で必ず読むのは、そことは別のエリアの本だ」などと言うのでしょうか。ここだけは、まったく理解できませんでした。