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幸せな会社の作り方』

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No.2123

 『幸せな会社の作り方』本田幸大著(扶桑社)を読みました。「SDGs時代のウェルビーイング経営の教科書」というサブタイトルがついています。カバー表紙には「WELL‐BEING COMPANY」とも書かれています。

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本書の帯

 

 帯には「経営の軸を『幸せ』に捉えれば、すべてが解決する」「社員の幸福度が高まると、業績が上がり、離職率は減る。親孝行休暇、毎日20分の昼寝制度、社内に瞑想室など、ユニークな制度で社員の『幸せトライアングル』を支える『ウェルビーイング(幸福)経営』とは」と書かれています。帯の裏には、「会社の理念を社員が許攸すれば、会社は育つ」と書かれています。

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本書の帯の裏

 

 本書の「目次」は、以下の通りです。
「はじめに」

1章 なぜ今「ウェルビーイング(幸福)経営」なのか?

2章 与える人「ギバー社員」が幸せな会社を作る

3章 「ギバー社員」を増やす

   「幸せトライアングル」という仕組み

4章 「幸せトライアングル」の

   「経済」と「健康」を支える制度

5章 人間関係を豊かにするユニークな制度

6章 離職率25%の「人が居着かない会社」だった

7章 企業理念の制定をきっかけに、右肩上がりに

8章 「幸せになりたい」ではなく、

   「不幸にならない」という考え方

9章 幸せを増幅して・幸福感溢れる世界へ」

「おわりに」

 

 「はじめに」で、著者は「どうしたら幸せになれるだろう」として、「こうした藁にもすがる思いでインターネットやスマートフォンで検索し情報を集めても、そこには「お金教」の人たちによる、稼ぐとは、儲けるとは、新たなビジネスモデルはこれだ、といったお金にまつわる情報しかありません。そして結局、お金がなければ幸せになれない、お金が人を幸せにするといった偏った思想が、世の中には蔓延しているとわかるだけです。『お金教』信者の一部の大人たちがLA、NYといった海外での生活や、安易な転職、副業を煽ることで、若い人たちが地に足のついた健全な生き方よりも無謀な夢追い人、ジョブホッパーのような生き方を選んでしまうことも多いように思います」と書いています。

 

 「誰しもが幸せになりたい」では、幸せはお金の総量だと思い、お金を手にしてみたとしても、幸せを感じられないとして、「社長や経営者になり、高層マンションに住み、高級車に乗り、派手な洋服、腕時計を身につけても、幸せを感じられない。売上1億を達成し、5億を達成し、10億、100億、1000億と右肩上がりに、誰かに追いつけ追い越せとお金を稼いでも、幸せにたどりつけない。年収が300万から400万、500万、800万、1000万、1500万、2000万に増えたところで、なぜだかもっともっとほしくなる。ハワイに行き、LAに行き、ヨーロッパに行き、あちらこちら世界中のリゾート地を旅行しても、一向に幸せの地は見つからない」と述べます。

 

 「『幸せ』を軸にした経営」では、本書のテーマである「ウェルビーイング経営」に言及します。「ウェルビーイング 」は、日本ではいまだ認知度の低い概念であり、主には「健康経営」(社員の健康を重視した経営)という側面で括られることの多い考え方ですが、著者は「ウェルビーイング 」「ウェルビーイング経営」とは、「幸福を追求することをビジネスを通して体現する」ことと捉え、「この概念が、多くの企業経営者、またはこれからの時代を必死に生き抜いていこうと思われているビジネスパーソンや多くの方にとって、大きな気づきとなってくれることを願っています」と述べます。

 

 1章「なぜ今『ウェルビーイング(幸福)経営』なのか?」の「『物質的な豊かさ=幸せ』という時代ではない」では、「あなたは今、この時代に希望を持てますか?」として、現在、考え方や働き方がより多様化し、働き方改革という言葉で新たな生き方が提唱されていることを指摘し、著者は「2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大により、世界、社会、生活が大きく変化しました。どのような『新しい生活様式』になるのか誰にもわかりません。『幸せ』ということや、物事の価値観も大きく変化するでしょう。そうした今、私たちが生まれてきた意味、人間として生きる意味、そして幸せとは何か、といった普遍的なテーマについて、深く掘り下げて考えてみる必要があるのではないでしょうか」と述べています。

 

 また、「『ウェルビーイング(幸福)』の考え方」として、「ウェルビーイング」という言葉がいまだ正確な意味が確立されていないことに言及します。「ウェルビーイング」とは、もともとは、1946年にWHO(世界保健機関)が出した憲章草案における一文を背景としてスタートした概念です。

 Health is a state of complete physical,mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

  直訳:「健康とは、身体面、精神面、社会面における、すべてのwell-being(良好-性)の状況を指し、単に病気・病弱でない事とは意味しない」

 

 これを受けて、著者は「"well-being"というのが「変な英語表現」でもあったため、そこから逆にインスパイアされ、欧米においてウェルビーイングやウェルネスという言葉が『身体だけではなく、精神面・社会面も含めた新たな"健康"』を意味する単語として使われるようになり、その後の健康ブームにも乗って広まっていったそうです」と述べています。「ウェルビーイング」とは、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念で、「幸福」と翻訳されることも多い言葉です。日本WHO協会は「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあることをいいます」と訳しています。

 

 その「ウェルビーイング」を、著者は、
身体的、精神的:個人を良い状態とすること
社会的:社会性を持って良い状態とすること
という2つに分解して捉えています。そして「ウェルビーイング=幸福」としたときに注目するべきなのが、この3つの概念の1つに社会性があるということだと指摘し、「幸せな状態は、個人だけでは完結しないというところにこの概念の面白さがあると感じています。つまり、幸せ(幸福)を考えるにあたっては、個人である身体的、精神的という側面と、社会的(社会性)というこの3つがすべて密接に関わる状態を考えていかないといけないということにたどりつきます」と述べるのでした。

 

 「今、『ウェルビーイング(幸福)経営』が必要な理由」では、今の時代になぜ、「ウェルビーイング(幸福)」が必要になってくるのかについて、著者は「それは現在の時代の変化にあります。偏向した右肩上がりの利益追及主義が叫ばれ、他社に負けじと各社が必死になって業界シェア争いを繰り広げています。そして、インターネットやスマートフォン、5Gという新たな時代が到来し、これまでになかった産業が勃興して、年功序列から実力主義へ、終身雇用の廃止へと大きな舵取りを迫られています。個人の尊重、多様性という名の働き方改革、コロナ禍で急きょ訪れたリモートによる働き方変革といった中で、これまでの『働く』という価値観が通用しなくなってきた今だからこそ、あえてこの時代に『幸せ』という普遍的な考え方から目を背けず、真摯に向き合う必要があると私は考えます」と述べています。

 

 2章「与える人『ギバー社員』が幸せな会社を作る」の「与えてもらうより、与えるほうが幸福感を生む」では、生物学的な側面からも、与えることがオキシトシンという幸せホルモンの分泌にも繋がり、結果、多幸感を生むということも解明されてきていることを紹介し、著者は「オキシトシンは、『愛情ホルモン』とも呼ばれ、実験結果によると、オキシトシンの分泌がさかんになるとストレスが解消されることがわかったのです」と述べています。

 

 オキシトシンの分泌に効果があるのは、「他者との触れ合い」です。EMIRA『人に優しくするとストレスに強くなる! ホルモン物質「オキシトシン」の秘密』によれば、具体的な行為としては、感謝の気持ちを持つことであるとして、著者は「誰かへの感謝や思いやりの気持ちを頭に思い浮かべるだけでも、オキシトシンが分泌されることが実験で判明しているのだそうです。著者は、「つまり、人は誰かに何かをしてもらうことではなく、人に何かをしてあげることで幸せを感じられるような設計が体にそもそも備わっているということです」と述べます。

 

 「有用な情報は共有する、自身が『ギバー』の実践者であり続ける」では、情報は溜めておいても何の価値もないことを訴えます。それを取り入れ、活かし、実践することで初めて意味を成するとして、著者は「私が経営者として学んでいることが、同じく幹部社員や社員と共有することで、活きた情報となるのです。本の情報も同じです。私が読んでみて良いなと感じた本も共有します。内容的に難しいものもありますので、社員の状況を見ながら戦略的に小出しにしたりもしますが、一切出し惜しみはしません。情報も与えるのです。私が見ている景色をすべて共有することは難しくても、情報を与え、情報感度を合わせることで、すぐには理解できなくても、いつかどこかのタイミングでストンと腑に落ちることもあるでしょう。時間をかけて、徐々にでも意思疎通が図れるようになるのです。今後も知り得た有用な情報を、惜しむことなく社員に提供していくことで、私自身も『ギバー』の実践者であり続けようと思います」と述べています。これを読み、わたし自身は社員に対して常に本や映画やその他の情報を与え続けており、「ギバー」の実践者ではないかと思いました。

 

4「『幸せトライアングル』の『経済』と『健康』を支える制度」では、著者が経営する会社におけるウェルビーイング経営の実践例が紹介されます。「給料日の読書感想文提出」では、給料日、給与明細を受け取る日に、毎月読書感想文のレポートを提出することを社員には義務化していることが紹介され、「弊社では本を読むことを強く推奨しています。というのも、過去の偉人や賢人が長い年月をかけて努力し実証を繰り返してきた秘伝ともいえるエッセンスを、200ページ前後、1000円程度で学ぶことができる、こんな素晴らしくありがたいことはないと考えるからです」と述べています。

 

 なぜ、読書が大切なのか。著者は、「自分は凡人である、自分は普通の人であると認識し、過去の成功者や先人に素直に教えを乞うことが、自分の成長ダイレクトに繋がっていくと考えています。そうしたことから、月に一度の給料日に、読書感想文をレポートとして提出してもらっています。普段読書をする習慣がついていない人たちも一度このルーティンを行い始めるとそのうち習慣化され、学ぶことが普通であるという考えを持った社員が増えていくことに繋がっていきます」と述べています。

 

 「瞑想の習慣化、瞑想ルームの完備」では、著者の会社が「瞑想」を日々の仕事の中に取り入れており、社員には瞑想をすることを強く推奨していることを紹介して、「毎日の各部署での朝礼、終礼時に、1分間心と呼吸を整え、瞑想を行います。業務の始まりと終わりに心を整えることで、激動の1日に、平穏でいられる状態を作ります。また、社内には『瞑想ルーム』があり、仕事中にも、それぞれのタイミングで瞑想を行える場を提供しています。業務が立て込みどうしても気持ちが慌しくなる、急なトラブルやイレギュラーが続き、なんだか落ち着かないときなどは、5分か10分程度、瞑想ルームに行き、心を落ち着かせる。そうすることで、常にリラックスした状態を作り出せ、安定した心で新たに業務に取り掛かることができます」と述べています。

 

 5章「人間関係を豊かにするユニークな制度」では、著者の会社で行っている〈人間関係を豊かにする制度〉が紹介されます。例えば、「親孝行休暇」として、著者は「親孝行を積極的に行うことを推奨している弊社では、毎年2回(最低1回)、ご両親の誕生日もしくは命日に、帰省することを推奨しています。そのために地方出身者には5割から最大8割の交通費補助を行うという制度です」と述べます。親は私たちにとってかけがえのない尊い存在であるとして、著者は「両親と不仲である、求めていた生活や教育を受けることができなかったという思いを抱えて生きてきた人は数多くいるかもしれません。しかし、生まれてきたあとのことと、私たちに生を授けてくれた両親への感謝と恩返しはまったく別物です。どんな両親であれ、私たちは親孝行をしなければいけません」と述べています。

 

 6章「離職率25%の『人が居着かない会社』だった」の「社内飲みニュケーションの実施」では、著者の会社は社内交流が活発で、巷で言われる「飲みニュケーション」も積極的に行ってきたとして、「社員数が10~20名前後の当時、普段から仕事終わりによく飲みに行っていたのですが『飲みニュケーション』を頻繁に行う会社は社員同士仲も良く、その結果生産性向上にも繋がるという話を聞いた私はすぐに実行に移しました」と述べます。しかし、最初の数日は「こういうのも良いね」と面白がって実施していましたが、さすがに連日となると帰宅も遅くなり、体調が優れないメンバーが出たり、基本全員参加のため上司も常にいる環境が続くので、一般社員が気疲れをしたりと、すぐにその取り組みは廃止されたそうです。著者は、「『幸せトライアングル』でいう『人間関係』を重視するあまり『健康』面への配慮ができておらず、不満が出てしまう結果になりました。当時の社員には可哀想なことをしたなと反省しています」と述べています。

 

 「悪しき社内恋愛の末路」では、仕事を通してお互いの人柄を知り、恋愛感情を抱き、良いご縁として結ばれるというのは人として生きる以上、自然の摂理であるとの考えを示しながらも、著者は「しかし、既婚者は全くそこにあてはまりません。日本の法律においても民法上に規定される不貞行為の1つでもあります。既婚者は不貞行為をしないということを前提として婚姻関係を結ぶのですから、それを守れないのは法律違反ということになります。それは会社内においても同じです。ましてや、上司と部下という関係性である以上、上司としても何が正しく、何が正しくない行為であるかということは明白にわかるはずです。仮にそうした感情を抱いてしまったとしても、自分自身を律し、正しく導いてあげるのが、上司の務めではないでしょうか」と述べています。

 

 7章「企業理念の制定をきっかけに、右肩上がりに」の「真っさらな『新卒社員』」では、著者は「私は新卒採用を強くお勧めします。会社の運営には人が必要です。そして、その人がどんなスキルやテクニックを持つかという能力面だけではなく、その人たちが集まり、重なり合うことで生まれる組織カルチャーが、会社の命運を握るとも考えています」と述べています。また、著者の会社は「社会の役に立つ立派な人間を1人でも多く輩出する」という企業理念を掲げているとして、「その理念に心の底から共感をしてもらえるか、そして、その考えや思いを自分の言葉で語ることができる人を増やしていくことができるか、ということが大切だと考えています。人を変えるのはとても難しいことで、ちょっとやそっと伝えただけではそうそう変わってくれません。それならば、真っさらな状態で社会に飛び込んでくる新卒社会人のほうが、純粋に会社のことを好きになってくれて、会社の理念や想いを自分ゴトとして受け入れてくれます」と述べています。

 

 「『社会の役に立つ立派な人間を一人でも多く輩出する』という企業理念の制定」では、会社で何より大切な共通言語は企業理念であるとして、著者は「会社の存在はすべて、企業理念に集約されます。どんな事業を行うか、どんな人を採用するか、どんな経営計画を立てるかはすべて、会社の存在意義である企業理念から始まり、それは会社が存続し続ける限り、未来永劫変わることはないのです」と述べています。これには、まったく同感です。わが社でも、企業理念というものを何よりも重要視しており、毎朝の朝礼や月初の総合朝礼、各種の式典などでは社員全員で唱和します。

 

 8章「『幸せになりたい』ではなく、『不幸にならない』という考え方」の「幸せになる=不幸にならないということ」では、「幸せになる」ことは「不幸にならない」ことと同義語であるとして、著者は「幸せになりたいと誰しもが考えます。幸せな状態は『経済、健康、人間関係』の『幸せトライアングル』が満たされているときであり、その三辺を大きくしていくことが幸せである状態を増幅させると述べましたが、ここからは違う切り口で考えてみます。幸せな状態を築くためには、幸せの邪魔をする『不』を取り除くという考え方です。お金がない状態を脱する、病気にならないための予防をする、家族や友人、仲間と悪い関係にならないための人間関係を築くなど、嫌な状態、避けたい状態を、可能な限り思い浮かべて未来予測をし、そうした状態にならないように、細部にこだわり日々1つずつ丁寧に潰していきます」と述べています。

 

 「こうしたい(幸せになりたい)=執着である」では、「幸せになるとは、不幸にならないということ」に加え、幸せになりたいという考え方は自分自身の「執着」を生むことに繋がるとして、「広辞苑で執着の意味を調べてみると『強く心をひかれ、それに囚われること』とあります。強く心を惹かれることは良いとしても、それに囚われてしまうというマイナスの意味も併せ持っています。怖い言葉ですね」と述べます。幸せになりたいという考えは、ベクトルを自分にしか向けられなくなってしまうリスクをはらんでいるということであると指摘し、著者は「そうなってしまうと、人としての正しい行動に繋がりません。正しい考えが土台にあるからこそ、人は正しい行動を取ることができます。そして、人として正しい行動を取っていると、それはいつか回り回って自分に何らかの形で返ってくるのです。仏教用語でいう『因果』や『縁起』という思想ですね。それは『幸せを受け取る』という考え方でもあります」と述べます。

 

 「幸せになりたい」ではなく「不幸にならない」という著者の考え方はよく理解できますが、わたしはさらに「幸せにしたい」という視点が大切であると考えています。拙著『アンビショナリー・カンパニー』(現代書林)では、「夢」と「志」の違いを説きました。「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じています。自分ではなく、世の多くの人々。「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」、この違いが重要です。 企業もしかり。もっとこの商品を買ってほしいとか、もっと売り上げを伸ばしたいとか、株式を上場したいなどというのは、すべて私的利益に向いた夢にすぎません。そこに公的利益はないのです。社員の給料を上げたいとか、待遇を良くしたいというのは、一見、志のようではありますが、やはり身内の幸福を願う夢でしょう。真の志は、あくまで「世のため人のため」に立てるものなのです。わたしは、この世で最も大切なものこそ「志」であると思います。

 

 「宗教観、哲学を取り入れる理由」では、令和の時代とは直感や感性、哲学の時代であるとして、著者は「いわば、考え方の時代です。『昭和、平成、令和』という時代の変遷を別の言葉で捉え直してみると『クラフト、サイエンス、アート』という言葉に置き換えることができます。この概念を紹介している本として、一条真也の読書館『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』で紹介した山口周氏の著書を取り上げています。「経営における『アート』と『サイエンス』」というサブタイトルのついた同書によれば、「クラフト、サイエンス」とは、工業化を行い良いモノづくりをして、それを標準化、合理化することだということです。

 

 この2つに共通しているのは正解を出せるということですが、正解を見出しにくい時代を迎えてしまった今、正解を考え続けること、その感覚的なものが「アート」であるとして、著者の思う「アート」とは、直感や感性、哲学、右脳といったことであるという考え方が示されます。著者は、「つまり、これからの令和の時代には「アート」的発想、直感や感性、思考、哲学といったことを深く学び実践していくことが必要になります。近年、グーグルやアップルといった超のつく最先端企業が、CPO(Chief Philosophy Officer=最高哲学責任者)と呼ばれる哲学者を登用していることからも、哲学や考え方といったことが重要視されていることがわかります」と述べます。

 

 9章「他責ではなく自責、インサイドアウトという考え方」では、インサイドアウトという考え方が説明されます。これは、一条真也の映画館『7つの習慣』で紹介したスティーブン・R・コヴィーの名著に登場する概念であり、何かうまくいかない課題と向き合った際に「すべての問題は自分の中にあり、自分が変わらなければ周囲も変わらない」という考え方です。和訳すると「自責」という意味合いの考え方です。著者は、「自分にできることを絶えず考え、そして行動をする人が陥りやすい発想があります。それは、自分はこんなにも考え、人のためを思い行動しているのに、なぜ周りは理解してくれないのか、なぜ思った通りに動いてくれないのか、そして、自分はこんなにもプラスの影響を与えているのに、なぜ感謝もせずに、自分に返そうと思わないのか、という発想です」と述べています。

 

 また、著者は「幸せや成長を求め、努力し続けている方なら、もしかしたら一度はこういう考えに至ったことがあるのではないでしょうか。経営者の方には、次のようなことを感じたことがある方もおられるのではないでしょうか。こんなにも社員のことを思い、社員の幸せを日々願っているにもかかわらず、なぜ社員は会社や経営者の愚痴を言い、成果を上げてくれないのかと。危険な発想ですね」と述べ、さらには「今自分の周りに起きていることの原因は自分にあるのだ、という自責思考、インサイドアウトの考え方を持つことから成長は始まるのです」と述べました。

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サンレーグループ20周年記念バッジ

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サンレーグループ報「Well Being」

 

 最後に、本書は「ウェルビーイング経営」についての本ですが、じつは、わが社サンレーは35年前からウェルビーイング経営に取り組んでいます。1986年の創立20周年には「Being!ウェルビーイング」というバッジを社員全員が付け、社内報の名前も「Well Being」でした。わたしの先代社長である 佐久間進(現サンレーグループ会長)の先見の明に驚いています。