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よくわかる伝説の「聖地・幻想世界」事典』

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No.1710


 30冊目となる「一条真也による一条本」をお届けいたします。『よくわかる伝説の「聖地・幻想世界」事典』(廣済堂文庫)です。「アトランティス、ラピュータから、桃源郷、ナルニア国まで」というサブタイトルがついています。2009年2月28日に刊行された監修書で、造事務所の編著です。

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『よくわかる伝説の「聖地・幻想世界」事典』(2009年2月28日刊行)

 

 カバーには城に向けて剣を突きだす騎士の姿が描かれ、帯には「シリーズ累計50万部突破!」「『ハリー・ポッター』『ナルニア国物語』『ゲド戦記』『ロード・オブ・ザ・リング』などにも登場した68の理想郷や異界の全貌が明らかに!!」「すべての場所を荘厳なイラストで再現」と書かれています。

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本書の帯

 

 また、カバー裏には以下の内容紹介があります。
「聖地――そこには、人びとを魅了するロマンがある。幻想世界――そこには、ファンタジックな景観が広がる。われわれが住む現実社会と一線を画す、魔訶不思議な異界にあこがれる人は多いはずだ。なぜなら、それらはすべて人間の心が生みだした世界だから。そう、人間の究極の"理想郷"は、あなたの心のなかにあるのだ。本書は、神話・伝説・おとぎ話の舞台から、実在する宗教遺跡まで、68の理想郷を紹介。伝説の『聖地』と『幻想世界』の旅を存分に楽しんでほしい」

 

本書の「目次」は、以下のようになっています。
〈はじめに〉 伝説の「聖地・幻想世界」にようこそ!
あなたを異界へといざなう 8大「聖地」「幻想世界」

【LEGEND1】西洋に伝わる聖地・幻想世界

すべての人のあこがれを駆りたてるヨーロッパの「空想名所」伝説
●一昼夜で海中に消えた幻の大陸 アトランティス
●ギリシャの神々の住処 オリュンポス山
●9つの世界を貫く宇宙樹 ユグドラシル
●アーサー王の眠る"この世のかなたの地" アヴァロン島
●日本にも伝わる謎の大地 ムー大陸
●最初の人間が暮らしていたパラダイス エデンの園
●アンデス奥地の黄金都市 エル・ドラド
●ユダヤ教における死後の世界 シェオール
●天から降る硫黄の火で滅んだ都市 ソドムとゴモラ
●実在する吸血鬼の本拠地 ドラキュラ城
[column]地球の形、大論争!
●猛々しい女戦士の国 アマゾニア
●アーサー王と円卓の騎士たちの拠点 キャメロット城
●船乗りたちがおそれた怪物岩 スキュラの岩
●イスラム教の"男の楽園" ジャンナ
●根元人種の住んでいた大地 レムリア
●ミノタウロスを封印する迷路 ラビュリントス
●精霊が住む西の楽園 ヘスペリスの園
●自然豊かな理想郷 アルカディア
●ゾロアスター教の天国 ガロー・デマーン
●まだ見ぬ東方のキリスト教国家 プレスター・ジョンの国
[column]ゼウスと帝釈天、最強の聖地の主はどっちだ!?

【LEGEND2】東洋に伝わる聖地・幻想世界

山海のかなたに思いをはせたアジアの「聖なる場所」の物語
●世界の中心にそびえる立方体 須弥山
●神々が労働する!?天上の集落 高天原
●地下に広がる死者の世界 黄泉の国
●雪山に囲まれた仏教王国 シャンバラ
●灼熱の責めを受ける地下世界 八大地獄
●仏教徒があこがれる究極の楽園 西方浄土
[column]伊勢神宮と出雲大社の謎
●六文で渡れる冥界への入口 三途の川
●太陽神が閉じこもった洞窟 天岩戸
●真っ赤に燃えさかる山脈 火焔山
●海のかなたにある神の国 ニライカナイ
●桃林の奥にたたずむ静かな村 桃源郷
●東の海に浮かぶ幻の島 蓬莱
●仙人だけが登れる霊峰 崑崙山
●竜神が住まう海底の宮殿 竜宮
●神が地上に降りるときにかかる虹 天浮橋
[column]報われない冥界の王、ボヤキ座談会

【LEGEND3】ファンタジーの聖地・幻想世界

豊かな創造力によって生みだされたファンタジー小説の舞台
●トールキンが創造した古来の地球 中つ国
●美しい海に囲まれた多島世界 アースシー
●ヨーロッパ社会が夢みた理想郷 ユートピア
●邪神と結託した恐怖の町 インスマス
●永遠の子どもの世界 ネヴァーランド
●宮沢賢治が夢みた理想郷 イーハトーヴ
●空中の科学都市と荒れはてた属国 ラピュータとバルニバービ
●だれもが主人公になれる世界 ファンタージエン
[column]ファンタジーを継承する舞台
●文明から切り離された魔法王国 オズの国
●"永劫の罰の地"への入口 地獄門
●ライオンがつくった魔法の国 ナルニア国
●常識や理性の通用しない世界 ワンダーランド
●陽光を覆う巨鳥がすむ無人島 ロック鳥の島
●魔法使いの卵が集う名門校 ホグワーツ
●知恵ある馬と愚かな人間の地 フウイヌム国
●地下30キロの海域 リンデンブロック海
●クトゥルフ神話への玄関口 アーカム
●大自然が生んだ漆黒の地下道 アラビア海底トンネル
[column]聖地を考えた人のホンネ座談会

【LEGEND4】実在する伝説の聖地

訪れる人を荘厳な思いに誘ういまも実在する名所の秘話
●東の海のはてにある黄金の国 ジパング
●イエス・キリストが処刑された地 ゴルゴタの丘
●幻の古代日本王国 邪馬台国
●モーセが神の言葉を聞いた聖地 シナイ山
●世界三大一神教に共通する聖地 エルサレム
[column]超巨大大陸・パンゲア
●ノアの方舟がたどり着いた場所 アララト山
●乳と蜜が流れる約束の地 カナン
●空海が開いた真言宗総本山 高野山
●シヴァ神の住まう氷の霊峰 カイラス山
●チベット仏教の本拠地 ラサ
●イスラム教最大の聖地 メッカ
●黄金に彩られた寺院都市 アムリトサル
●朝鮮民族発祥の地 白頭山
●謎めいた巨大環状列石 ストーンヘンジ
●大地に描かれた巨大な絵画 ナスカの地上絵
「聖地・幻想世界【索引】」
「参考文献」

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西方浄土

 

 本書は夢のトラベルガイドです。旅とは、日常暮らしている土地を離れ、異なる土地におもむき、非日常の世界を味わうもの。ならば、本書は最強のトラベルガイドであるはずです。なにしろ、本書が紹介している土地は、「伝説の聖地」、そして「幻想世界」。これ以上に非日常の世界はありません。

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エデンの園

 

 人類は、これまで多くの土地を夢想し、あこがれ、求めてきました。いわゆる「理想郷」です。たとえば、西方浄土、エデンの園、桃源郷、アトランティス、ユートピア、ネヴァーランドなどなど。しかし、よく見ると、これらの理想郷は必ずしも同じジャンルの中にはありません。極楽とも呼ばれる西方浄土は死後の理想世界ですし、エデンの園や桃源郷は地上の楽園であり、アトランティスは伝説の大陸、ユートピアは理想都市、そしてネヴァーランドはおとぎの国です。

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アトランティス

 

 これらバラエティに富んだ世界の相関関係について、わたしは次のように考えます。まず、天国や極楽といった天上界から三次元世界に生まれてきた人間が、以前の至福の生活を潜在的に記憶していて、楽園というものを地上に想定する。そして、楽園にまつわる神話から転じて、アトランティスという伝説の大陸、ユートピアという理想都市のアイデアなどが現れたのではないでしょうか。

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ナルニア国

 

 ユートピアはトマス・モアの小説に由来しますが、同じように文学的イマジネーションからは多くのファンタジー作品が誕生し、ネヴァーランドや中つ国、ナルニア国、アースシー、ファンタージェンといった魅惑的な舞台が創造されました。それらの理想郷は、いずれも人間たちが「かく在りたい」と願った夢の世界にほかなりません。

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ストーンヘンジ

 

 そして、本書には実在する聖地も登場します。わたしは本書が刊行される少し前にストーンヘンジを初めて訪れたのですが、そこで非常に強いパワーを感じました。それは、かつて伊勢神宮や出雲大社で感じたものと似ていました。思うに、「空間」とはデカルトがいうような延長的で均質なものではありません。世界各地には、さまざまな異界に通じている場所、すなわちパワースポットとしての「聖地」が存在するに違いありません。

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ラサ


 おそらく地球とは、聖地というブラックホールあるいはホワイトホールによって、たくさんの穴を開けられた多孔体なのでしょう。ストーンヘンジも伊勢も出雲も高野山も、シナイ山、エルサレム、メッカ、エルサレム、カイラス山、ラサ、アムリトサルも、すべては異界に通じる孔にすぎないのです。聖地で感じるパワーとは、異界から吹く風なのだと思えてなりません。本書は異界に通じる扉のカタログでもあるのです。

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ホグワーツ

 

「伝説の聖地」には、人々を魅了するロマンがあります。「幻想世界」には、ファンタジックな景観が広がります。いずれにせよ、わたしたちが住む現実世界と一線を画す、摩訶不思議な異世界にあこがれる人は多いはず。なぜなら、それらはすべて人間の心が生み出した世界だからです。そう、究極の聖地、最高の幻想世界は、あなた自身の心の中にあるのです。

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シャンバラ

 

 さらに、本書は極上のテーマパークでもあります。ロック鳥の島やアラビア海低トンネルでハラハラし、エル・ドラドやジパングでの宝探しに興じ、シャンバラや竜宮で癒される。おまけに、八大地獄やドラキュラ城といった、とびきり怖いホラー・アトラクションまである......。
 まさに至れり尽くせりの紙上テーマパークです。さあ、本書を読んで、「伝説の聖地」と「幻想世界」で、思う存分に心を遊ばせていただきたい。ひととき、この退屈な現実世界など忘れてしまおうではありませんか!

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リゾートの博物誌』(日本コンサルタントグループ)

 

 なお、本書は一条真也の読書館『リゾートの博物誌』で紹介した拙著を一般向けに親しみやすい内容とした形になっています。本書をケルト文学をはじめ幻想文学研究の第一人者である井村君江先生にお送りさせていただいたところ、井村先生から「とても興味深い御本ですね。本当は、こういうものを自分の弟子に作ってほしかったのですけれど......」と直筆で書かれたお手紙を頂戴しました。とても良い思い出となりました。
「令和」への改元まで、あと11日です。