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未来の年表2』

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No.1592

 『未来の年表2』河合雅司著(講談社現代新書)を読みました。
 この読書館でも紹介したベストセラー『未来の年表』の続編です。
 著者はわたしと同年齢で、1963年名古屋市生まれ。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授(専門は人口政策、社会保障政策)。中央大学卒業。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員、拓殖大学客員教授など歴任。2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。主な著作に『日本の少子化 百年の迷走』(新潮社)があります。
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   本書の帯


 帯には「45万部ベストセラーの第2弾!」「高齢者が『高齢化』し、街にあふれる」「少子高齢化で、『灯油難民』が続出する」といった情報がイラスト付きで紹介され、「10年後、20年後、あなたの身に迫る事態を一覧にしました」と書かれています。
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   本書の帯の裏


 また帯の裏には、「少子高齢社会のリアルな脅威は、何気ない日常にこそ潜んでいます」として、「やる気のない万年平社員急増」「親が亡くなると、地方銀行が消滅」「東京や大阪の繁華街に『幽霊屋敷』出現」「デパートの売り場が大混乱」といった情報がイラスト付きで紹介されています。さらには「今からあなたにできる『メニュー』8つも提案」「●働けるうちは働く●1人で2つ以上の仕事をする●ライフプランを描く●家の中をコンパクト化する●年金受給開始年齢を繰り下げる ほか」と書かれています。

 アマゾンの「内容紹介」には以下のように書かれています。

「本書は、『未来の年表』の続編である。ベストセラーの続編というのは大抵、前著の余勢を駆った『二匹目のどじょう狙い』である。しかし、本書は決して二番煎じをしようというものではない。『人口減少カレンダー』だけでは、少子高齢化という巨大なモンスターの全貌をとらえるには限界があった。だから今回は、全く違うアプローチで迫る。今回は、少子高齢化や人口減少が人々の暮らしにどのような形で降りかかってくるかを、あなたの生活に即しながら明らかにする。言うなれば、これからあなたに起きることを、お中元やお歳暮のギフトカタログのように一覧してみようというのだ。
 前著『未来の年表』が年代順というタテ軸を用いて俯瞰したのに対し、本書は起きる出来事を『ヨコ軸』、すなわち面としての広がりをもって眺める。
 少子高齢化や人口減少で起きることを、家庭、職場、地域社会といったトピックスに分けてカタログ化すれば、さまざまなシーンを『あなた自身の問題』として具体的に置き換えることができる。そしてそれは、10年後、20年後の日本でうまく立ち回っていくための指針となる」

 本書の「目次」は、以下のようになっています。

「人口減少カタログ/庄子家の一日に起きたこと」
「はじめに」
第1部 人口減少カタログ
序 国民の5人に1人が、古希を超えている
1 あなたの住まいで起きること
1-1 伴侶に先立たれると、自宅が凶器と化す
1-2 亡くなる人が増えると、スズメバチに襲われる
1-3 東京や大阪の繁華街に、「幽霊屋敷」が出現する
1-4 高級タワマンが、「天空の老人ホーム」に変わる
2 あなたの家族に起きること
2-1 食卓から野菜が消え、健康を損なう
2-2 小中学校の統廃合が、子供を生活習慣病にする
2-3 80代が街を闊歩し、窓口・売り場は大混乱する
2-4 老後資金が貯まらず、「貧乏定年」が増大
3 あなたの仕事で起きること
3-1 中小企業の後継者不足が、大企業を揺るがす
3-2 オフィスが高年齢化し、若手の労働意欲が下がる
3-3 親が亡くなると、地方銀行がなくなる
3-4 東京の路線が縮み、会議に遅刻する
4 あなたの暮らしに起きること
4-1 若者が減ると、民主主義が崩壊する
4-2 ネット通販が普及し、商品が届かなくなる
4-3 ガソリンスタンドが消え、「灯油難民」が凍え死ぬ
4-4 山林に手が入らず、流木の犠牲となる
5 女性に起きること
5-1 オールド・ボーイズ・ネットワークが、定年女子を「再就職難民」にする 
5-2 高齢女性の万引きが、刑務所を介護施設にする
第2部 今からあなたにできること
序 「戦略的に縮む」ほど、ポジティブな考えはない
【個人ができること】
(1)働けるうちは働く
(2)1人で2つ以上の仕事をこなす
(3)家の中をコンパクト化する
【女性ができること】
(4)ライフプランを描く
(5)年金受給開始年齢を繰り下げ、起業する
【企業ができること】
(6)全国転勤をなくす
(7)テレワークを拡大する
【地域ができること】
(8)商店街は時おり開く
おわりに「『豊かな日本』をつくりあげてきた"大人たち"へ」
「結びにかえて」
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   人口減少カレンダー


 「はじめに」で、著者は以下のように書いています。

「日本は劇的に変わっていく。例えば、25年後の2043年の社会を覗いてみよう。年間出生数は現在の4分の3の71万7000人に減る。すでに出生届ゼロという自治体が誕生しているが、地域によっては小中学校がすべて廃校となり、災害時の避難所設営に困るところが出始める。20~64歳の働き手世代は、2015年から1818万8000人も減る。社員を集められないことによる廃業が相次ぎ、ベテラン社員ばかりとなった企業ではマンネリ続きで、新たなヒット商品がなかなか生まれない。
 高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は36.4%にまで進む。高齢者の数が増えるのもさることながら、80代以上の『高齢化した高齢者』で、しかも『独り暮らし』という人が多数を占める」

 こうした高齢者が街中に溢れる社会とは、一体どんな様子なのでしょうか。著者は以下のように述べます。

「いま、東京や大阪といった大都会では、ラッシュアワーには5分と待たずに電車やバスがやってくる。なぜ、そんな過密ダイヤで運行できるのかといえば、乗客の大多数が人の流れについていける『若い世代』だからだ。
 たまに、車いすを使う障害者や杖をついた高齢者が、駅員の手を借りて乗降する場面に出くわす。ただ、それはあくまで少数派であり、駅員の手際よい作業でそんなに多くの待ち時間を要するわけではない。
 しかし、2043年とは、総人口の7人に1人が80歳以上という社会だ。独り暮らしであるがゆえに否応なしに外出する機会は増えるが、若い世代の『流れ』についていける人ばかりではない。こんな過密ダイヤはとても続けられない」

 また、著者は「ダチョウの平和」として、以下のように述べます。

「皆さんは、『ダチョウの平和』という言葉をご存じだろうか?
 危険が差し迫ると頭を穴の中に突っ込んで現実を見ないようにする様を指した比喩だ(実際のダチョウの習性とは異なるとの指摘もあるようだが)。日々の変化を把握しづらい人口減少問題こそ、この『ダチョウの平和』に陥りがちな難題である。それは切迫感が乏しいぶん、どこか人ごととなりやすい。何から手を付けてよいのか分からず、現実逃避をしている間にも、状況は時々刻々と悪くなっていく。そして、多くの人がそれを具体的にイメージできたときには、すでに手遅れとなってしまう―」

 さらに著者は、「『具体的な変化』に置き換える」として、高齢者たちが求めているのは高画質ではなく、むしろ「音」にあると述べます。耳が遠くなり、ボリュームを大きくしてテレビを見ている人は多く、聞き取りやすい小型スピーカーを搭載したテレビを安く手に入れたいという声は少なくないはずだというのです。著者は述べます。

「荷物を運ぶ人手は少子化に伴って減りゆく。"買い物難民"対策だと言って普及させればさせるほど需要が掘り起こされ、トラックドライバー不足はより深刻になる。無人のトラックが走り回る時代も遠くないとされるが、トラック自らが荷棚から個別のお届け物をより分け、重い荷物を玄関先まで運んでくれるわけではあるまい。少子高齢社会において、ネット通販が遠からず行き詰まることは簡単に想像できよう」

 第1部「人口減少カタログ」の序「国民の5人に1人が、古希を超えている」では、「高齢者の3人に1人が80代以上」として、こう書かれています。

「日本の高齢社会の特徴として、(1)高齢者の『高齢化』に加え、(2)独り暮らしの高齢者、(3)女性高齢者、(4)低年金・無年金の貧しい高齢者―の増大が挙げられる。このうち、すぐに社会に影響を及ぼしそうなのが、『高齢化した高齢者』および『独り暮らしの高齢者』の増大であろうと考える」

 「笑えない実話」として、著者は親の葬儀の問題を取り上げます。

「親の葬儀も大変だ。高齢社会の次には『多死社会』がやってくる。前著『未来の年表』では火葬場の不足を取り上げたのだが、足りなくなるのは火葬場だけではない。私の知人には、火葬場の予約はできたものの住職の都合がつかず、結局は10日待ちとなった人もいる。
 少子化の影響は、お寺も例外ではない。跡取り不足による廃寺や、住職がいないがために、1人の住職が複数のお寺を掛け持ちする場合もあるという。今後、葬式も法事も、自分たちが思い描いたスケジュール通りには進まないというケースが増えるだろう」

 1「あなたの住まいで起きること」の1-2「亡くなる人が増えると、スズメバチに襲われる」では、「女性の役4割が90歳まで生きる」として、以下のように書かれています。

「高齢者の『高齢化』が進んできた。75歳以上人口が1770万人となり、65~74歳の1764万人をついに超えた(総務省の2018年3月1日時点の人口推計)。『高齢化した高齢者』の増大は、大死亡時代につながる。2017年に134万人を数えた年間死亡数は、団塊世代が90代となる2040年頃に、167万9000人でピークを迎えるまで増え続ける(社人研の推計)。その後は、総人口の減少によって多少の下り坂となるが、おおむね160万人水準で推移する」

 子供に先立たれる可能性も小さくありません。
 「親が100歳、子供が70代」というケースを考えれば分かりやすいとして、著者は以下のように述べています。

「70代にもなれば、がんや心臓疾患などに倒れたとしても不思議ではないだろう。『高齢化した高齢者』が増える社会とは、『自分が死んだら、子供に葬儀を出してもらう』という、これまでの常識が通用しない社会でもある。連れ合いを亡くし、子供にも先立たれるといったケースの増大だけでなく、そもそも生涯シングルで身寄りのない高齢者も増え続けていく。誰もが独りぼっちの老後を送る可能性がある。こうした漠たる不安が、『終活』ブームを後押ししている側面はあるだろう」

 「高齢化した高齢者」の増大は、葬式の在り方にも変化を及ぼしているとして、著者は以下のように述べます。

「残された人も少ないから、参列者も小規模となる。親族にすれば簡素に済ませようという意識が働きやすくなる。家族葬や直接火葬場に運ぶ「直葬」も珍しくなくなった。高齢者の孤独死が話題となるが、引き取り手がなく、名前さえ分からない人も多数に上る。最終的に自治体が火葬し、『無縁遺骨』は市民霊園の共同墓に納められるといったケースはすでに珍しくない。法事に関しても簡素化の流れにあり、執り行わないという人もいる。お布施に対して『料金体系が不透明』と考える人が増えたためか、料金明瞭で安価なインターネットによる僧侶派遣サービスも登場している」

 「土地所有者の住所が『満州国』」として、著者はこうも書いています。

「子供は1人だけという人が亡くなれば、残された世代は争う相手が存在しないことになる。子供のいない人が亡くなったならば、相続人そのものが不在だ。"争族"に代わって増えそうなのが、相続の手続きを敬遠し、相続登記を行わない人である。現金などに比べて流動性の低い住宅や土地にその傾向が見られるが、人口減少に伴って、あなたの身近なところで起こる問題の1つに『所有者不明土地』の増大がある」

 日本の場合、不動産登記が義務化されていないため、登記にともなう労力やコストを嫌って故人名義のまま放置することとなります。「ウソのような話だが」と断って、著者は「登記簿上の所有者の住所が『満州国』となっている極端な例まで見つかったという。こうした土地が長期間にわたって放置されると、相続人がねずみ算式に増えて、さらに問題を複雑化させる」と述べています。

 続いて、人口減少に伴う土地需要の低迷は、すでに空き家の増大として大都市部を含む全国的な課題となっているとして、著者は、「総務省の『住宅・土地統計調査』(2013年)によれば、全国の空き家は約820万件に上る。野村総合研究所の試算(2016年)では、2033年の空き家数は2167万戸弱、空き家率は30.4%まで上昇する。全国の約3戸に1戸が空き家になる計算だ。利活用が見込まれない空き家は、やがて取り壊されて空き地となり、さらに不明土地の増大につながっていく」と述べています。

 さらに「すでに九州の面積を上回る」として、国土交通省が地籍調査(2016年度)を実施した1130地区の約62万筆を調査したところ、20.1%が所有者不明土地であったことが紹介されます。「所有者不明土地問題研究会」(顧問・加藤勝信厚生労働相)がこれらのデータを元に、一定の条件下で相続登記されなかったり、所有者の住所が変わって連絡がとれなくなったりした土地を推計したところ、所有者不明と考えられる土地面積は全国で約410万haに及ぶといいます。これは九州本島(約367万ha)を上回る面積です。

 3「あなたの仕事で起きること」の3-3「親が亡くなると、地方銀行がなくなる」では、「捨てられる銀行」として、以下のように書かれています。

「マーケットの規模が縮小する人口減少は、地域に密着して営業してきた地元の名門企業の状況を特に不利にする。地域に密着してきたが故に事業を縮小しづらく、商売替えも難しい。社名に都道府県名を掲げる企業ともなれば、東京などの大都市部に営業エリアを拡大するのも限界がある。これまでは強みだった『暖簾』『看板』という地域ブランドが、むしろ足枷となるのだ。都道府県の名前を掲げている企業の代表格といえば、金融機関である」

 金融庁「地域金融の課題と競争のあり方」という資料が、東京都を除く46道府県の地方銀行の2016年3月期決算をもとに、各行が本店を構える道府県で本業で稼いだ金利や手数料によって、人件費などの営業費用を賄えるかどうかを分析しています。それによれば、「1行単独になっても不採算」というところが、群馬や石川、奈良、宮崎など23県に上りました」
 このデータをもとに、著者は以下のように述べます。

「融資先が減るとは、雇用の受け皿が減るということだ。地域に働き口がなくなれば、若い世代は仕事を求めて都会などに流出する。これが『東京一極集中』の大きな要因であるが、東京一極集中を人の移動だけで捉えるのは誤りだ。人が動けば、それに伴って預金も動くことになる。少子高齢化は『預金の東京一極集中』も引き起こしているのである。

 なぜ、遺産マネーは、東京に流出するのでしょうか?
 その「からくり」について、著者は以下のように説明します。

「政府税制調査会の資料によれば、2013年に亡くなった人(被相続人)の68%が80歳以上であった。亡くなった親の相続遺産を受け取るのは50~60代あたりだろう。この世代が若者であった1970年代後半から1980年代前半にかけては大都市圏、とりわけ東京圏への人口流入が活発な時期であった。地方から東京圏(1都3県)に移り住んだこれらの世代の多くは、今でも老いた親と別居している人が少なくない。その分、遺産マネーが東京圏に集まりやすくなっているのだ」

 3-4「東京の路線が縮み、会議に遅刻する」では、「パイロットが不足する『2030年問題』」として、著者は以下のように述べています。

「『2030年問題』という言葉を聞いたことはあるだろうか。国交省の資料によれば、国内には約6400人(2017年1月1日現在)のパイロットがいる。だが、その多くはバブル経済期に採用されたベテラン機長で、40代後半に偏っている。彼らが、2030年頃から大量に定年退職し始めるということである。国交省は訪日客の増加を織り込めば、2030年の新規採用数を現在の1.4倍の430人まで増やさないと追いつかないというが、勤労世代が減りゆく中では決して簡単ではない。パイロット不足は世界共通の課題であり、外国人パイロットも当てにしづらい」

 4「あなたの暮らしに起きること」の4-2「ネット通販が普及し、商品が届かなくなる」では、「訳7割の運送業者が人手不足」として、宅配便の取扱数は1987年の7億6000万個から、2015年には37億5000万個に膨らんでいることが紹介されます。自宅にいながら買い物をしたり、食事を宅配してもらったりするライフスタイルが増えていると見られます。さらにトラックドライバーの需要を伸ばす要素がある。「買い物弱者」の増加です。

 内閣府がまとめた報告書「地域の経済2016」によれば、2040年時点での人口規模が2万人以下の地域ではペットショップや英会話教室が、1万人以下では救急病院や介護施設、税理士事務所などが、5000人以下になると一般病院や銀行までもが、姿を消すといいます。著者は、「ネット通販の普及は、この予測をさらに深刻なものとしかねない。利益率の高い衣料品をネット通販に奪われ、『一番大きな影響を受けている』とされる百貨店が、むしろネット通販に力を入れ始め、店舗の縮小、再編へと踏み出しているからだ」と述べています。

 5「女性に起きること」の5-1「オールド・ボーイズ・ネットワークが、定年女子を『再就職難民』にする」では、定年女子の再就職を厳しくしている要因の1つに、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の存在があることを指摘し、著者は以下のように述べます。

「『オールド・ボーイズ・ネットワーク』とは、排他的で非公式な人間関係や組織構造のことだ。伝統的に男性中心社会であった企業コミュニティーにおいて、暗黙の内に築き上げられてきた」

 社内派閥や飲み仲間、業界の勉強会、経営者の親睦団体など、ネットワークの形態はさまざまです。多くの男性はこうした人脈を通じて情報交換をしたり、仕事上の便宜を図ったりしています。女性たちは、ほとんどが蚊帳の外に置かれているため、組織の文化や暗黙のルールも伝わりにくいのではないでしょうか。

 第2部「今からあなたにできること」の序「『戦略的に縮む』ほど、ポジティブな考えはない」では、著者は「いまだ多くの人が『戦略的に縮む』というキーワードをネガティブに捉えている。ある講演では、『演題から"縮む"という言葉を削除してください』と、主催者から要請されたこともあった」と述べています。

 さらに著者は、以下のように述べます。

「高度経済成長を実現させ、豊かになった社会を目にしてきた私と同年代以上の世代には、拡大して数字が伸びることが良いことで、『縮む』のは悪いことだという観念が根強いのだ。しかし、『縮む』ということは、決して『衰退』や『負け』を意味するわけではない。要は、その"やり方"なのである。多少縮んだところで現状より豊かにもできるし、日本が世界からより尊敬される国になれるという、すぐれてポジティブな考えである」

 【女性ができること その1】の(4)「ライフプランを描く」では、「ダブルケアというリスク」として、著者は以下のように述べています。

「晩婚・晩産は、夫婦を思わぬ問題に巻き込んでいく可能性もある。30代後半から40代で出産となると、50代になっても"子育てまっただ中"という人が増えよう。ところが、50代といえば自分の親の介護が重くのしかかってくる頃だ。育児が一段落する前に、年老いた親が要介護状態となり、育児と介護を同時に行わざるを得ない"ダブルケア"になるリスクが高くなる。こうした状態に陥っている夫婦が増えている」

 さらなる問題があります。
 親の晩婚・晩産が世代を超えて子供に影響を及ぼすというのです。著者は、「50歳と40歳の両親から生まれた子供が20代後半で結婚したとしよう。その子供は自分が晩婚でなくとも、結婚時に両親が高齢化しているために、ダブルケアに直面する可能性が大きい。これは、夫が晩婚で妻との年齢が大きく離れた『年の差婚』でも起こり得る」と述べます。

 おわりに「『豊かな日本』をつくりあげてきた"大人たち"へ」では、著者は以下のように述べるのでした。

「残念ながら日本の少子化は止まりません。2017年には総人口が40万人減りましたが、2050年代には毎年90万人規模で減っていくと推計されています。そこまで先の話をしなくとも、社会の激変は避けられません。これから10年も経たないうちに国民の3人に1人は高齢者となります。増えるのは80歳以上で、しかも独り暮らしが多数を占めるようになります。若者が減れば自衛官や警察官、消防士といった職種も人材確保に苦労するでしょう。国防や治安、災害救助といった『社会の基盤』まで崩れてしまう可能性があるのです」

 非常に残酷というか、怖ろしい未来が、わたしたちを待っています。
 しかし、わたしたちが悲観的になってはさらに悲惨な未来が待ち受けることになります。この手の未来予測本では、高齢者が多くなることは社会にとって良くないことだという前提で書かれることが多いように思います。
 しかし、高齢者が増えることは必ずしも悪いことではありません。高齢者を尊重することを「敬老」思想といいますが、これは古代中国に生まれた儒教に由来します。わたしは古今東西の人物のなかで孔子を最も尊敬しており、何かあれば『論語』を読むことにしています。
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   「サンデー毎日」2016年9月25日号


 その『論語』には、「われ十五にして学に志し、三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従って矩を踰えず」という孔子の有名な言葉が出てきます。
 60になって人の言葉が素直に聞かれ、たとえ自分と違う意見であっても反発しない。70になると自分の思うままに自由にふるまい、それでも道を踏み外さないようになった・・・・ここで、孔子は「老い」を衰退ではなく、逆に人間的完成としてとらえています。ブッダは「生老病死」を苦悩としましたが、孔子は大いに「老い」を肯定したのです。この孔子の思想をベースに、わたしは「人は老いるほど豊かになる」という老福社会の実現について考え、かつ実践していきたいと考えています。