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未来の年表』

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No.1473


 『未来の年表』河合雅司著(講談社現代新書)を読みました。
 最近、人口問題に関する本がベストセラーの上位を独占していますが、その中でも最も売れているのが本書です。「人口減少日本でこれから起きること」というサブタイトルがついています。

 著者はわたしと同年齢で、1963年名古屋市生まれ。産経新聞社論説委員、大正大学客員教授(専門は人口政策、社会保障政策)。中央大学卒業。内閣官房有識者会議委員、厚労省検討会委員、農水省第三者委員会委員、拓殖大学客員教授など歴任。2014年、「ファイザー医学記事賞」大賞を受賞。主な著作に『日本の少子化 百年の迷走』(新潮社)があります。
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   本書の帯


 本書の帯には以下のようなショッキングな情報が並んでいます。


2020年 女性の半数が50歳超え
2014年 全国民の3人に1人が65歳以上
2027年 輸血用血液が不足
2033年 3戸に1戸が空き家に
2039年 火葬場が不足
2040年 自治体の半数が消滅
2042年 高齢者人口がピークを迎える
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   本書の帯の裏


 帯の裏には「2035年、首都圏も高齢者が激増!」として、「65歳以上の高齢者人口の割合」の図が掲載されています。また、「『日本を救う処方箋』も本書で提言」として、以下のように書かれています。


●24時間社会からの脱却
●中高年の地方移住推進
●非居住エリアを明確化
●第3子以降に1000万円
●「匠の技」を活用
●「高齢者」を削減 ほか

 さらにアマゾンの「内容紹介」には、以下のように書かれています。


「日本が人口減少社会にあることは『常識』。だが、その実態を正確に知る人はどのくらいいるだろうか? 人口減少に関する日々の変化というのは、極めてわずか。ゆえに人々を無関心にする。だが、それこそがこの問題の真の危機、『静かなる有事』である。
 書店には、人口減少・少子高齢社会の課題を論じた書物が数多く並ぶ。しかし、テーマを絞って論じるにとどまり、恐るべき日本の未来図を時系列に沿って、かつ体系的に解き明かす書物はこれまでなかった。それを明確にしておかなければ、講ずべき適切な対策とは何なのかを判断できず、日本の行く末を変えることは叶わないはずなのに、である。
 本書が、その画期的な役目を担おう。第1部は『人口減少カレンダー』とし、年代順に何が起こるのかを時系列に沿って、かつ体系的に示した。未来の現実をデータで示した『基礎編』である。第2部では、第1部で取り上げた問題への対策を『10の処方箋』として提示した。こちらは、全国の公務員・政策決定者にも向けた『応用編』と言える。これからの日本社会・日本経済を真摯に考えるうえでの必読書!」

 本書の「目次」は、以下のようなっています。


第1部 人口減少カレンダー
序 2016年、出生数は100万人を切った
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2018年 国立大学が倒産の危機へ
2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
2021年 介護離職が大量発生する
2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
2025年 ついに東京都も人口減少へ
2026年 認知症患者が700万人規模に
2027年 輸血用血液が不足する
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
2035年 「未婚大国」が誕生する
2039年 深刻な火葬場不足に陥る
2040年 自治体の半数が消滅の危機に
2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに
2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
2065年~ 外国人が無人の国土を占拠する
第2部 日本を救う10の処方箋―次世代のために、いま取り組むこと

序 小さくとも輝く国になるための第5の選択肢
【戦略的に縮む】
1・「高齢者」を削減
2・24時間社会からの脱却
3・非居住エリアを明確化
4・都道府県を飛び地合併
5・国際分業の徹底
【豊かさを維持する】
6・「匠の技」を活用
7・国費学生制度で人材育成
【脱・東京一極集中】
8・中高年の地方移住推進
9・セカンド市民制度を創設
【少子化対策】
10・第3子以降に1000万円給付
おわりに「未来を担う君たちへ」
「結びにかえて」

 この「目次」の内容を見ただけで暗澹たる気分になっていまいます。
 本書は、日本史上最大といってもよい「国難」を見える化していますが、その「目次」はさらにコンパクトに見える化しています。「目次」の項目名だけでもメモしておけば、会議での発言やスピーチなどに役立つことでしょう。

 「はじめに」では、「"論壇"の無責任な議論」として、人口減少への対策に関してじつにピント外れな議論が目立つとして、著者は「今取り上げるべきなのは、人口の絶対数が激減したり、高齢者が激増したりすることによって生じる弊害であり、それにどう対応していけばよいのかである。経済が成長し続けたとしても、少子化に歯止めがかかったり、高齢者の激増スピードが緩んだりするわけでは断じてない」と述べています。

 近年、人口減少に関する衝撃的な2つの数値が相次いで公表されました。
 1つは、2015年発表の国勢調査で、人口減少が実際に確認されたことです。ここで、日本の総人口は約1億2709万5000人と発表されました。5年前の前回調査に比べると約96万3000人が減少したわけです。1920年の初回調査から約100年にして初めての減少となりました。もう1つは、翌2016年の年間出生数が初めて100万人の大台を割り込み、97万6979人にとどまったことです。

 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が発表した「日本の将来推計人口」(2017年)によれば、2015年には1億2700万人だった日本の総人口が、40年後には9000万人を下回り、100年も経たないうちに5000万人ほどに減少することが予測されています。その推計について、著者は「こんなに急激に人口が減るのは世界史において類例がない。われわれは、長い歴史にあって極めて特異な時代を生きているのである」と述べています。まったく同感です。

 さらに社人研の推計によれば、西暦2900年の日本の総人口はわずか6000人、西暦3000年にはなんと2000人まで減るといいます。これについて、著者は以下のように述べています。


「ここまで極端に減る前に、日本は国家として成り立たなくなることだろう。それどころか、日本人自体が『絶滅危惧種』として登録される存在になってしまいかねないのだ。要するに、国家が滅びるには、銃弾一発すら不要なのである。『結婚するもしないも、子供を持つも持たないも、個人の自由だ』と語る人々が増え、子供が生まれなくなった社会の行き着く果てに待ち受けるのは、国家の消滅である」

 「『静かなる有事』が暮らしを蝕む」として、著者は日本の喫緊の課題を以下の4点に整理し、「まず認識すべきは、社会のあらゆる場面に影響をもたらす、これら4つの真の姿だ」と述べています。


1.出生数の減少
2.高齢者の激増
3.勤労世代(20~64歳)の激減に伴う社会の支え手の不足
4.これらが互いに絡み合って起こる人口減少

 「2025年問題」という言葉をよく聞くようになりました。
 これは、人口ボリュームの大きい団塊世代が75歳以上となる2025年頃には、大きな病気を患う人が増えて、その結果、社会保障給付費が膨張するのみならず、医療機関や介護施設が不足するという問題です。しかし、「問題はそれだけにとどまらない」として、著者は述べています。


「2021年頃には介護離職が増大、起業の人材不足も懸念され、2025年を前にしてダブルケア(育児と介護を同時に行う)が大問題となる。2024年頃に向けて死亡数が激増し、火葬場不足に陥ると予測され、高齢者数がピークを迎える2042年頃には、無年金・低年金の貧しく身寄りのない高齢者が街に溢れかえり、生活保護受給者が激増して国家財政がパンクするのではないかと心配される」

 第1部の「人口減少カレンダー」には、読んでいて気が滅入ってくるネガティブな予測が続きますが、わたしは冠婚葬祭を業としていますので、やはり「結婚」と「死」に関する予測が特に気になります。結婚については「2035年 『未婚大国』が誕生する」に紹介されています。厚生労働省の「人口動態統計月報年計」(2016年)によれば、2016年の婚姻件数は62万523組となり、前年に比べて1万4633組も下回り、戦後最小を更新しました。まさに「底抜け状態」と言えるでしょう。

 「生涯未婚率」という言葉があります。50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合のことですが、2015年版「厚生労働白書」によれば、生涯未婚率は1990年を境にしてうなり上りの状態です。2015年の時点を見ると、男性は24.2%で4人に1人、女性は14.9%で7人に1人ですが、2035年になれば、男性は29.0%で3人に1人、女性は19.2%で5人に1人が生涯結婚しないことが予測されます。

 日本は「未婚大国」となるわけですが、「交際には消極的だが結婚への意欲は強い」として、著者は以下のように述べています。


「若者が本当に恋愛への関心をなくしたのであれば、多くの男女が『自分には魅力がない』と不安を口にする必要などないはずだ。むしろ、『恋人がいない』状況が長期化したことによって自信を失い、恋愛や結婚が難しいことを正当化しようという意識が働き、それが消極姿勢として表れていると考えられる」

 著者は、男性の34.2%、女性の47.6%が「交際相手との結婚を考える」としている点に注目します。これは「結婚に結びつかない恋愛はありえない」ということで、これについても「結婚相手となるような相手が簡単には見つかるはずもない」ということを、恋人がいない言い訳の1つにしていると推測しています。著者は「いずれにしても、未婚者の増加をこのまま放置したのでは、将来の独居高齢者につながり、次世代は『社会コスト』の増大を押し付けられることになる」と述べます。
 わが社は「オークパイン・ダイヤモンドクラブ」という婚活サポート事業を展開していますが、日本の未来にとってきわめて重要な仕事と考えます。

 それから冠婚葬祭の「葬祭」に関する予測では、「2039年 深刻な火葬場不足に陥る」が参考になりました。超高齢社会は「多死社会」とセットになっていますが、厚労省「人口動態月報年計」では、2016年の年間死亡者数は130万7765人で戦後最多を更新しました。社人研の推計では、2030年に死亡者数は160万人を突破し、2039、2040両年の167万9000人でピークを迎えます。その後もしばらくは160万人レベルで推移します。しかしながら「多死社会」への備えは十分とは言えず、死亡者数の増大で斎場や火葬場の不足が懸念されています。

 この問題について、著者は以下のように述べています。


「問題を根本的に解決しようとするなら、斎場や火葬場を増やすしかないわけだが、簡単なことではない。誰もが御世話になる施設でありながら、いざ具体的な建設計画が持ち上がると地域住民から必ず、『地域のイメージが悪くなる』などといった反対の声が上がるからだ。新設には用地取得や地域住民の理解が極めて高いハードルとなり、遅々として進まない。しかも、将来的には人口減少によって死亡者数自体も減る。新設にあたってはこうした点も勘案しなければならない。現実的にはあり得ない話なのだが、もし死亡者数のピーク時に合わせてどんどん増やすことができたとしても、いずれは過剰となるのだ」

 この問題に関して、わたしは多くを語りません。
 しかしながら、自分なりの未来予想図はあります。
 もうすぐ施設数が70を超える紫雲閣グループでは「セレモニーホールからコミュニティセンターへ」をスローガンに掲げていますが、その具体的実践として、「隣人祭り」から「盆踊り」まで各種イベントの開催、「こども100番」や「赤ちゃんの授乳」場所の提供なども行っています。さらには日本最初の総合葬祭会館として知られる「小倉紫雲閣」の大ホールを映画館としても使う計画があります。主に「友引」の日を選んで、「老い」や「死」をテーマとした映画作品を上映し、高齢者の方々を中心に「老いる覚悟」と「死ぬ覚悟」を自然に得る場にしたいと考えています。「友引の日は映画を観よう!」をキャッチフレーズに、明るい世直しに取り組んでいきたいと考えています。

 第2部「日本を救う10の処方箋―次世代のために、いま取り組むこと」では、人間ではなく、蔵書を"地方移住"させる「知の巨人村」構想に興味を持ちました。人口が減る地方都市が、定年退職を迎えた大学教授が抱える学術書や資料や美術品を保管するというアイデアですが、これは面白い。たしかに地価の高い大都市よりも地方都市に蔵書を集めるべきです。蔵書を預けた一流の学者も定期的に訪れ、各地に「知」の花が咲くことでしょう。

 本書を読んで暗澹たる気分になりましたが、よく考えたら将来の日本が外国から大量の移民を受け入れることが前提になっていません。あくまでも、移民受け入れを拒否し続けていたらどうなるかという予測であり、本書のヒットが移民受け入れの機運を高めるようにも思えます。
 そして、わたしの本業である冠婚葬祭業が国を救う「世直し」の仕事であることを再確認し、改めて誇りを持つことができました。