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般若心経 自由訳』

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No.1460

 

 わたしの最新刊となる『般若心経 自由訳』(現代書林)の見本が出ました。「『永遠』の秘密を説く 大いなる智慧」というサブタイトルがついており、 拙著『慈経 自由訳』の姉妹本です。

 「フォトグラファー」こと沖縄在住の写真家である安田淳夫氏の作品を中心とした素晴らしい写真の数々が自由訳を彩ってくれました。
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    『般若心経 自由訳』(現代書林)

 


 帯には以下のように書かれています。

 

「『空』とは『永遠』のことだった。

 『般若心経』は死の真実を解き明かす!

 『死は不幸ではない!』

 そこには、万人が死を受け容れるための呪文が隠されていた」

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    本書の帯 

 

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   本書の帯の裏

 


 仏教には啓典や根本経典のようなものは存在しないとされます。しかし、あえていえば、『般若心経』が「経典の中の経典」と表現されることが多いです。「経」という漢字には、「タテイト、動かないもの、不変の真理」といった意味があり、儒教の書物の分類でいうと「聖人の制作したもの」を指します。仏教の経典はインドまたは西域の国語から漢文に翻訳されました。この場合には「スートラ」というインド語に「経」という漢字を当てはめたのです。『般若心経』は、英語では「ハート・スートラ」といいます。
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    『般若心経 自由訳』より

 


 『般若心経』とは、何よりも大乗仏教の経典です。代表的な大乗経典としては『般若経』『華厳経』『維摩経』『勝鬘経』『法華経』『浄土三部経』などがありますが、同じ大乗経典といっても内容はさまざまです。起源も異なり、思想的に矛盾することさえもあります。大乗経典のうちのあるものは、大乗側の人々が「小乗経典」と呼ぶもの、すなわち上座仏教の経典と同じくきわめて古い時代の思想内容を持ちます。ただし資料としては古くても、大乗経典の方が形をなすのは遅れました。上座部派の人々が教団の権威を樹立するために早くから聖典の確立の努力した一方で、大乗の人々はこの点に関して自由な考えを持っていたからです。

 

 『西遊記』で知られる唐の僧・玄奘三蔵は、天竺(インド)から持ち帰った膨大な『大般若経』を翻訳し、262字に集約して『般若心経』を完成させました。そこで説かれた「空」の思想は中国仏教思想、特に禅宗教学の形成に大きな影響を及ぼしました。東アジア全域にも広まりました。

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    『般若心経 自由訳』より 

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   『般若心経 自由訳』より

 


 日本に伝えられたのは8世紀、奈良時代のことです。遣唐使に同行した僧が持ち帰ったといいます。以来、1200年以上の歳月が流れ、日本における最も有名な経典となりました。特に、遣唐使に参加した弘法大師空海は、その真の意味を理解しました。空海は、「空」を「海」、「色」を「波」にたとえて説いた『般若心経秘鍵』を著しています。わたしの自由訳のベースは、この空海の解釈にあることをここに告白しておきます。

 

 ダライ・ラマ14世は『般若心経』について、ことあるごとに「日本では、この経典は亡くなった人のために葬儀の際よく朗唱されます」と述べています。すべての宗派の葬儀で『般若心経』が読誦されている訳ではありませんが、曹洞宗や真言宗などでは読誦されています。考えてみれば、一般の日本人にとっては、お経そのものが宗派を超えて葬儀を連想させるものとなっています。そのダライ・ラマ法王の言葉に触れたとき、わたしは『般若心経』を自分なりの解釈で自由訳してみようと思ったのです。

 

 『般若心経』とは、多くの日本人にとってブッダのメッセージそのものかもしれません。そして、そのメッセージとは「永遠」の秘密を説くものであり、「死」の不安や「死別」の悲しみを溶かしていく内容となっています。超高齢社会を迎えたすべての日本人にとって、本書が「老いる覚悟」と「死ぬ覚悟」、そして、「安らぎ」と「幸せ」を自然に得ることができる書となれば、こんなに嬉しいことはありません。

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    「空」とは、「0」ではなく「永遠」である!

 


 2017年年4月8日、ブッダの誕生日である「花祭り」の日、わたしは『般若心経 自由訳』を完成させました。これまで、日本人による『般若心経』の解釈の多くは間違っていたように思います。なぜなら、その核心思想である「空」を「無」と同意義にとらえ、本当の意味を理解していないからです。「空」とは「永遠」にほかなりません。「0」も「∞」もともに古代インドで生まれたコンセプトですが、「空」は後者を意味しました。

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    『般若心経 自由訳』より

 


 また、「空」とは実在世界であり、あの世です。「色」とは仮想世界であり、この世です。わたしは、「空」の本当の意味を考えに考え抜いて、死の「おそれ」や「かなしみ」が消えてゆくような訳文としました。ブッダが最初に説いた上座仏教の根本経典をわたしなりに解釈した『慈経 自由訳』(三五館)とあわせてお読みいただければ嬉しいです。
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    『慈経 自由訳』『般若心経 自由訳』

 


 日本人の「こころ」は神道・儒教・仏教の三本柱が支えているというのがわが持論ですが、それに相当する書物が『古事記』『論語』『般若心経』ですが、それらは「過去」「現在」「未来」についての書でもあります。すなわち、

  『古事記』とは、わたしたちが、どこから来たのかを明らかにする書。

 『論語』とは、わたしたちが、どのように生きるべきかを説く書。

 『般若心経』とは、わたしたちが、死んだらどこへ行くかを示す書。
     
 日本人には、何は置いても、『古事記』『論語』『般若心経』が必要です。 『古事記』に関しては、義兄弟の宗教哲学者・鎌田東二氏の名著『超訳 古事記』がありますので、わたしは『論語』と『般若心経』で自分なりの解釈を打ち出してみたいと思いました。

 ということで、子どもに『論語』を、お年寄りに『般若心経』を!

 ということで、「天下布礼」の一環として、『はじめての「論語」』を発売し、さらには『般若心経 自由訳』を上梓する運びとなったわけです。

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    子どもに『論語』を、お年寄りに『般若心経』を!

 


 本書の特徴は、『般若心経』におけるキーワードである「空」を「無」の同義語ではなく「永遠」の意味にとらえたことにありますが、空海の『般若心経秘鍵』とともに、この読書館でも紹介した篠原令氏の『「般若心経」の真実』を参考にさせていただきました。また、最後の呪文を赤ん坊の泣き声に例えたくだりは、『般若心経 絵本』諸橋精光著(小学館)を参考にしています。改めて、ここに感謝申し上げます。

 

 このたび自由訳してみて、わたしは『般若心経』がグリーフケアの書であることを発見しました。このお経は、死の「おそれ」も死別の「かなしみ」も軽くする大いなる言霊を秘めています。空海はそこに「真言」の神髄を見たのだと思います。葬儀後の「愛する人を亡くした」方々をはじめ、1人でも多くの方々に本書をお読みいただき、「永遠」の秘密を知っていただきたいです。

 本書は8月2日に全国の書店で発売されます。

 どうか、御一読下さいますよう、お願い申し上げます。

 美しいフォトブックですので、プレゼントにも最適です!