No.1449 児童書・絵本 | 論語・儒教 『はじめての「論語」~しあわせに生きる知恵』 一条真也著(三冬社)

2017.06.24

 『はじめての「論語」』(三冬社)の見本が出ました。
 「しあわせに生きる知恵」というサブタイトルがついています。

   『はじめての「論語」 しあわせに生きる知恵』(三冬社)

 本書は、一条本では、初めての児童書となります。
 お子さんやお孫さんと一緒に『論語』を学ぶことをイメージして書きました。
 北九州をはじめとした公立小学校などにも寄贈する予定です。
 版元は、ロングセラー「だるまんの陰陽五行」シリーズで有名です。

   本書の帯の裏

 本書の「目次」は、以下のようになっています。

「はじめに」
第1章 仁
人間には、愛と思いやりが大切です!
(1)いっしょに勉強する仲間を大事にしましょう
(2)ずっと友だちでいられる人を見つけましょう
(3)正直に人とつきあいましょう
(4)まちがいを改めないと、どうなるの?
(5)友だちができる人、できない人
(6)なぜ「礼儀」を大事にしなければいけないの?
(7)失敗を人のせいにしてはいけません
(8)自分の言葉どおりに行動できますか?
第2章 義
将来、「何をしていくか」を見つける
(1)まわりの”評価”ばかり気にしてはいけません
(2)昔のことを学び、これからに活かしましょう
(3)自分の考えが「正しいかどうか」たしかめよう
(4)知らないことは「知らない」といおう
(5)「臆病なこころ」を捨ててしまうために
(6)夢をかなえるために自分を磨きましょう
(7)寝食を忘れて打ち込めるものはありますか?
(8)分が変われば世の中も変わる
(9)「天命」という言葉を知っておこう
第3章 礼
人として生きる「道」を守る
(1)ルールを守らないと世界はどうなるの?
(2)自分をつらぬく生き方をつくるためには
(3)外見となかみのバランスをじょうずにとる
(4)人の気持ちをわかろうとしていますか?
(5)学ぶ気があれば、いつでも学べます
第4章 智
善悪の区別と?ほんとうの自分?を知る
(1)”悪い人”になっていませんか?
(2)”悪い人”ってどんな人たち?
(3)失敗は反省するだけでなく、そこから学ぶ
(4)人の成功をこころからよろこぶ人になれるか
(5)「自分だけが正しい」なんて、うぬぼれてない?
(6)ムダづかいの癖がありませんか?
(7)まわりの忠告を聞き流していませんか?
第5章 忠
誰にもでも真心で接するということ
(1)うわべだけ仲良くしてもなんにもならない!
(2)自分にまちがいがないかどうか、気づいてる?
(3)自分がしてほしくないことを、相手にしていませんか?
(4)誰からでも学ぼうという気持ちをもつ
(5)自分のこころにやましいところはありませんか?
(6)こころのなかでは嫌っている相手とどう接するか?
(7)人を思いやるこころを持ち続けられるか?
第6章 信
自分を信じ、人を信じてともに成長する
(1)自分のためになる友だちがいますか?
(2)「もうこれ以上はむり」と、あきらめていませんか?
(3)教わるのを「はずかしい」と思っていませんか?
(4)いい言葉を使い、いい表情をしていますか?
(5)自分だけが正しいと思っていませんか?
第7章 孝
自分と親、ご先祖さまへと続く生命の”つながり”
(1)人としての「自然の人情」を大事にしましょう
(2)なぜご先祖さまに感謝しなければならないの?
(3)なぜ親を大切にしなければいけないの?
(4)年配の人への尊敬の念をもちましょう
(5)「どこに行くか」「どこにいるか」を家族に伝えていますか?
(6)お葬式はとても大事です
第8章 悌
謙虚な気持ちで、人のいいところを認め、敬うこと
(1)仲間をこころから大事にしていますか?
(2)リラックスする時間を持っていますか?
(3)家ではいつもニコニコしていよう
(4)年下の人をばかにしていませんか?

   「目次」はこんな感じです

 今から2500年前ほど昔の中国の国に、孔子という人物がいました。
 孔子は「人がしあわせに生きるためには、どうすればいいか」ということを考えた人で、孔子とその弟子たちの言葉や行動をまとめた本が『論語』です。
 孔子は、紀元前551年に生まれました。同じ頃、インドには釈迦、つまりブッダが生れ、それから80年ほどしてギリシャにソクラテスが生れています。孔子は儒教、ブッダは仏教、そしてソクラテスは哲学の祖だとされています。

   わたしもイラストで登場します

 こういった偉人たちがほぼ同じ頃に活躍していたというのは、考えてみれば不思議です。さらに紀元4年にはイスラエルにイエスが生まれています。そう、キリスト教の祖です。この孔子、ブッダ、ソクラテス、イエスの四人は「四大聖人」と呼ばれ、明治時代の日本では非常に尊敬されました。中でも、孔子とブッダの2人はそれ以前の江戸時代からよく知られ、わたしたち日本人に大きな影響を与えてきました。そして、孔子の教えが書かれた『論語』は、千数百年にわたって、わたしたちの祖先に読みつがれてきたのです。

   「仁」のイラストはこんな感じです

 『論語』ほど日本人の「こころ」に大きな影響を与えてきた本はないのではないでしょうか。特に江戸時代には、あらゆる日本人が『論語』を読みました。武士だけでなく、町人たちも『論語』を読みました。そして、子どもたちも寺子屋で『論語』を素読して学んだのです。
 なぜ、それほどまでに日本人は『論語』を学んだのでしょうか。それは、『論語』に書いてある教えを自分のものとすれば、立派な社会人になることができ、人の上に立って多くの人を幸せにすることができ、さらには自分自身が幸せになれるからです。

   なぜ「礼儀」を大事にしなければいけないの? 

 江戸時代、滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』という本が大ベストセラーとなり、多くの日本人に読まれましたが、その中にも『論語』の教えが書かれています。すなわち、「仁義礼智忠信孝悌」です。
 「仁」とは、愛と思いやりのことです。
 「義」とは、悪いことをにくむ気持ちです。
 「礼」とは、人として生きる「道」を守ることです。
 「智」とは、善いことと悪いことの違いを知ることです。
 「忠」とは、誰にでも真心で接するということです。
 「信」とは、自分を信じ、人を信じて、ともに成長することです。
 「孝」とは、自分と親、ご先祖さまへと続く「いのち」のつながりです。
 「悌」とは、年齢が違っても、人の長所を認め、大切にすることです。

   「礼」のイラストはこんな感じです

 これらの8つの教えは、『論語』の教えを日本人向けにまとめたもので、とてもわかりやすくなっています。そして、これら8つを自分のものとした人のことを「君子」と呼びます。『論語』には「君子」という言葉がたくさん出てきますが、はじめは地位のある人のことでした。それから、徳のある人をさす言葉になりました。人間界で最も素晴らしい人を「聖人」といいます。孔子はまさに聖人ですが、君子は聖人ではありません。あくまで、この現実の社しゃかい会に存在する立派な人格者で、生まれつきなれるものではありません。『論語』には「君子は上達す」という言葉がありますが、努力すれば誰でもなれる人、それが君子なのです。

   自分だけが正しいと思っていませんか?

 そんなことをいうと、「なんだか、かた苦しいなあ」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。孔子は大いに人生を楽しんだ人でした。きれいな色の着物を好み、音楽を愛した人でした。『論語』には「楽しからずや」「悦よろこばしからずや」といった前向きな言葉がたくさん出てきます。
 同じ聖人でも、ブッダやイエスの言葉には人間の苦しみや悲しみについては出てきても、楽しみや喜びなどはまず見当たりません。この点、『論語』に前向きな言葉が多いのは、本当に素晴らしいことだと思います。孔子は、とにかく「どうすれば、幸せに生きることができるか」を考えた人なのです。

   お葬式はとても大事です

 本書では、『論語』に出てくる孔子の言葉をわかりやすく紹介しました。
 ぜひ、『論語』の言葉を、心をこめて読んでほしいと思います。できれば、声に出して読んでほしいです。わたしたちのご先祖さまは、子どものとき、『論語』を大きな声で読んでいたのです。
 『論語』の言葉に後には、わたしが説明をしています。
 また、イラストも取り入れ、わかりやすくしました。
 大塚さやかさんが素敵なイラストを描いて下さいました。
 本書を読んだ小中学生たちが、これからの長い人生をしあわせに生きるために必要な言葉を1つでも見つけてくれれば、とても嬉しいです。きっと、その言葉は、子どもたちの一生の宝物となることでしょう。

   子どもに『論語』を、お年寄りに『般若心経』を!

 本書に続き、もうすぐ、『般若心経 自由訳』(現代書林)も刊行されます。「子どもに『論語』を、お年寄りに『般若心経』を!」を合言葉とし、わたしは「天下布礼」をさらに推進させたいと願っています。 
 『はじめての「論語」』は7月7日に全国一斉発売されます。ぜひ、お子さんやお孫さんのために1冊お求め下さい。プレゼントにも最適ですよ!

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