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結魂論』

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No.0996

 

 じつに久々の自著解説です。読書館では「一条真也による一条本」は5月20日に『ハートビジネス宣言』の解説をして以来ですから、5カ月以上も間隔が空きました。しかし、実際の『ハートビジネス宣言』と今回紹介する『結魂論』の間には10年半もの長い長い時間が流れていたのです。

 

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   『結魂論~なぜ人は結婚するのか』(2003年12月25日刊行)

 


 『ハートビジネス宣言』を上梓した後、わたしは10年以上も本を書きませんでした。その間は、ひたすら一人前の経営者になるための修業をしていました。じつは、わたしは本を書いてきた経験が経営者としてマイナスになるのではないかと思っていました。文章を書くことと、実際に人を使うことは全然違うことだからです。周囲の人、当時の社長だった父親からも、「商売をするのなら商売に徹しなくてはならない、これまでの物書きの人生はやめて、一から商売人としてやり直さなくてはいけない」と言われました。わたし自分もそのつもりで、商売にどっぷりとつかったのです。結果、10年半、わたしは1冊も本を書きませんでした。


 2001年10月1日、わたしが38歳のときに株式会社サンレーの代表取締役社長に就任しました。社長就任からしばらく経った頃、エッセイストの滝悦子さんという方がパーソナリティを務めているラジオ番組の取材を受けました。そのとき、滝さん「本を書けるということは、あなたの武器よ。それを封印するのはもったいないわよ」とのアドバイスを受けました。


 ちょうどその頃、ドラッカーの「強みを生かす」という考え方を知りました。自分の強みとは、やはり自分の好きなこと、得意なことから生まれてくるはずです。わたしは、「自分は何が好きで、何をしている時に生きがいを感じる」のだろうかと考えてみました。するとやはり、書くことなのです。この自分の強み、生きがいでもある「書く」ということを、なんとか経営に生かすことはできないかと思いました。

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    2冊同時刊行でした

 

 

 また、社長就任以来、わたしは冠婚葬祭の根幹をなす「礼」を追求し、人間尊重思想としての「礼」を広める「天下布礼」をスローガンとしてきました。その流れの中で、本業である冠婚葬祭業の経営はもちろん、本を書くと言う行為も「天下布礼」にとって不可欠であるということに気づきました。そして、2003年12月25日に『結魂論』『老福論』(ともに成甲書房)の2冊を同時に上梓したのです。

 

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   本書の帯

 

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   本書の前そで


 

 『結魂論』のサブタイトルは「なぜ人は結婚するのか」で、帯には「愛の秘密、男と女の謎にとことん迫る。」「ベストセラー『ハートフルに遊ぶ』から15年、渾身の書き下ろし」と書かれています。また、本書の前そでには「男と女と結婚を、見つめつづけた集大成がここにある。」と書かれています。
本書の目次構成は、以下のようになっています。

 

「はじめに」


第1章  今どき結婚事情
      ●結婚って何?
      ●恋愛相手と結婚相手
      ●男の魅力、女の魅力
      ●「好き」になる裏のからくり
      ●ハイパーガミーという文化
      ●経済成長がもたらすチャンス
      ●専業主婦はステータスだった
      ●不況だと結婚しにくい
      ●腹立たしい出会い系サイト
      ●出会い系サイトの隆盛
      ●出会い系サイトの落とし穴
      ●「思い込み」と「演技」を超えて
      ●結婚相手をさがす方法
      ●断りにくい「見合い」
      ●今どき不倫事情
      ●結婚とは結魂である


第2章  デートから結婚式まで
      ●愛と結婚の経済学
      ●理想のデートを考える
      ●ハウスウェディングの次にくるもの
      ●神前結婚式を見直す
      ●幸せになるための披露宴
      ●文化としての結婚式


第3章  男と女の謎・愛の秘密
      ●男と女はわかりあえるか
      ●愛について考える
      ●プラトニック・ラブとは何か
      ●純愛小説を読む
      ●不倫映画を観る
      ●男はなぜ外に飲みに出るか


第4章  なぜ人は結婚するのか
      ●離婚、そして幻のカップル
      ●離婚する理由
      ●結婚の起源と未来
      ●娘よ!
      ●妻と花を育てる
      ●結婚の神秘主義


「宇宙の中心で、結婚をさけぶ―あとがきに代えて」


「参考文献一覧」

 

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   このカードを本に挟みました(出版記念パーティー用)


 

 10月5日 - 高円宮家の次女の典子さまと、島根県の出雲大社の神職、千家国麿さんの結婚式が出雲大社で行われました。本書では、「ニッポン人には和が似合う」と訴え、大いに神前結婚式を薦めています。


 それにしても、日本人の離婚が年間で30万件を超え、なお増え続ける一方です。わたしは、本書でそのネガティブ・トレンドを食い止める「結魂」というキーワードを提唱しました。そもそも縁があって結婚するわけですが、「浜の真砂」という言葉があるように、数十万、数百万人を超える結婚可能な異性のなかからたった一人と結ばれるとは、何たる縁でしょうか!


 かつて古代ギリシャの哲学者プラトンは、元来が1個の球体であった男女が、離れて半球体になりつつも、元のもう半分を求めて結婚するものだという「人間球体説」を唱えました。元が1つの球であったがゆえに湧き起こる、溶け合いたい、1つになりたいという気持ちこそ、世界中の恋人たちが昔から経験してきた感情です。プラトンはこれを病気とは見なさず、正しい結婚の障害になるとも考えませんでした。


 人間が本当に自分にふさわしい相手をさがし、認め、応えるための非常に精密なメカニズムだととらえていたのです。そういう相手がさがせないなら、あるいは間違った相手と一緒になってしまったのなら、それは私たちが何か義務を怠っているからだとプラトンはほのめかしました。そして、精力的に自分の片割れをさがし、幸運にも恵まれ、そういう相手とめぐり合えたならば、言うに言われぬ喜びが得られることをプラトンは教えてくれたのです。そして、彼のいう球体とは「魂」のメタファーであったと思います。


 また、17世紀のスウェーデンに生まれた神秘思想家スウェデンボルグは、「真の結婚は神的なものであり、聖なるものであり、純潔なものである」と述べました。天国においては、夫は心の「知性」と呼ばれる部分を代表し、妻は「意思」と呼ばれる部分を代表している。この和合はもともと人の内心に起こるもので、それが身体の低い部分に下ってくるときに知覚され、愛として感じられるのです。そして、この愛は「婚姻の愛」と呼ばれます。両性は身体的にも結ばれて1つになり、そこに1人の天使が誕生する。

 

 つまり、天国にあっては、夫婦は2人ではなくて1人の天使となるのです。プラトンとスウェデンボルグをこよなく敬愛するわたしは、結婚とは男女の魂の結びつき、つまり「結魂」であると信じています。


 久々に本書を読み返してみて、「宇宙の中心で、結婚をさけぶ―あとがきに代えて」の最後に書かれた以下の文章が新鮮に感じました。


 「私たちは、20世紀の半ばすぎに銀河系太陽系第三惑星の地球上の日本列島に、ミミズでもオケラでもアメンボでもなく人間として生まれてきて、出会い、結婚した。無限なる『時間』の縦糸と、無限なる『空間』の横糸が織りなす『縁』という摩訶不思議なタペストリーの上で、二人は出会って結婚した。この世に奇跡があるなら、これ以上の奇跡があるでしょうか。もちろん、私たち夫婦だけの話ではない。すべての結婚は奇跡なのです。
 今の地球上に限定してみても、60億人のなかの1人と、別のもう1人が、はじめから2人しかいなかったかのように結ばれること。
 この奇跡をそのまま驚き、素直に喜び、心から感謝する。そして奇跡を獲得し宇宙の中心に立つ2人は、手をつないでさけぶのです。
 『私たちは出会った!』そして、『私たちは結婚した!』と」