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ミャンマー仏教を語る』

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No.0925

 

 最新刊『ミャンマー仏教を語る』(現代書林)の見本が届きました。「世界平和パゴダの可能性」というサブタイトルがついています。表紙にも世界平和パゴダの写真が使われています。


 本書には、2013年9月21日に世界平和パゴダ建立55周年を記念して開催された「仏教は世界を救う」をテーマにしたパネルディスカッションの内容が掲載されています。巻頭には、世界平和パゴダ住職であるウィマラ長老の基調講演、日緬仏教文化交流協会(日緬協)の佐久間進会長による主催者挨拶が収録されています。また巻末には、日緬協メンバーでもある京都大学こころの未来研究センター教授の鎌田東二先生が寄稿されています。

 

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   日緬協・佐久間会長による挨拶

 

 

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   著者(パネリスト)プロフィール

 

 

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   パネルディスカッションのようす

 

 

 パネリストは、以下の方々でした。そのまま本書の共著者となります。


●井上ウィマラ氏(高野山大学文学部教授)
●天野和公氏(「みんなの寺」坊守・作家)
●八坂和子氏(ボランティアグループ一期会会長)
●一条真也(作家・株式会社サンレー社長)
(コーディネーター)内海準二氏(出版プロデューサー)


井上氏は、この読書館で紹介した『人生で大切な五つの仕事』の著者です。同じく天野氏は、コミック『ミャンマーで尼になりました』の著者です。井上氏、天野氏ともにミャンマーで仏教の修行をされています。また、八坂氏は世界平和パゴダの前大僧正のお別れ会をはじめ、情熱的な活動でパゴダを守ってこられた方です。コーディネーターの内海氏は、あの「出版寅さん」です。私の「新ハートフル・ブログ」読者のみなさんには、もう有名ですね。

 

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世界平和パゴダの意義について話しました

 


 世界平和パゴダ」の意義について、わたしは以下のように述べています。


 「世界平和パゴダは、ミャンマーと日本の友好のシンボルです。そして、その可能性を語り合うことは、大きな意義のあるものと思います。わたしは、現代の日本において、いや東アジアにおいて「世界平和パゴダ」はとても大きな意味と可能性を持っていると思っています。それをパネリストのみなさん、この会場にお集まりのみなさんにお伝えして、ぜひ感想や意見をお聞きしたいと思うのです。「世界平和パゴダ」の重要性は主に3つあります。


 (1)アジアの平和拠点であること。
 (2)戦没者の慰霊施設であること。
 (3)上座部仏教の寺院であること。


 (1)の「アジアの平和拠点」から、順を追って説明します。言うまでもなく日本はアジアに属する国ですが、門司はアジアの玄関口です『海賊とよばれた男』がベストセラーにもなっていますが、主人公のモデルは、出光興産の創業者・出光佐三です。出光興産は、北九州市の門司からスタートしました。現在は内科・小児科医院となっている創業の地は、ここからすぐ近くです。『海賊とよばれる男』は、太平洋戦争で日本が敗戦する場面から始まります。大東亜共栄圏を築くという大日本帝国の野望は無惨に消滅しましたが、じつはそれ以前に出光佐三は東アジアに一大ネットワークを構築していたのです。


 1929年(昭和4年)の出光商会(出光興産の前身)の支店別売上高を見ると、1位が大連で2位が下関、以下は京城、門司、台北、博多、若松の順になっています。満州、韓国、台湾の各都市の支店と北九州の支店が並んでいるリストを見て、わたしの胸は高まりました。出光がいち早く東アジア諸国に進出できたのは、門司に本店を置いていたからです。


 しかし、現在の日本は中国や韓国といった隣国と非常に微妙な関係というか、領土問題をめぐって険悪な関係にあります。このままでは日本は東アジアの中で孤立してしまう不安があるわけですが、幸いなことに「アジア最後のフロンティア」とミャンマーとは良好な関係にあります。今年5月の安倍首相のミャンマー訪問によって、日本とミャンマー両国の絆は間違いなく強くなりました。これから、日本は官民をあげてミャンマーの新しい国づくりを応援していくことでしょう。


 「二国間の新しいページを開くことができた」と日本の取り組みを評価したテイン・セイン大統領は、「脱中国」を目指しています。その中国に対して、日本は楔を打ち込むことができたと思います。ミャンマーと日本の交流のシンボルである世界平和パゴダは、そのままアジアの平和拠点となるのではないでしょうか。


 (2)の「太平洋戦争の慰霊施設」ですが、第2次世界大戦後、ビルマ政府仏教会と日本の有志によって昭和32年(1957年)に建立されました。「世界平和の祈念」と「戦没者の慰霊」が目的でした。戦時中は門司港から数多い兵隊さんが出兵しました。映画化もされた竹山道雄の名作『ビルマの竪琴』に登場する兵隊さんたちです。残念なことに彼らの半分しか、再び祖国の地を踏むことができませんでした。そこでビルマ式寺院である「世界平和パゴダ」を建立して、霊を慰めようとしたわけです。


 戦争の慰霊施設というと多くの日本人は靖国神社をイメージされるのではないでしょうか。安倍内閣の閣僚が靖国参拝することについて、中国や韓国が抗議をしているようですが、自国の死者への慰霊や鎮魂の行為に対して、他国が干渉してくるなど言語道断です。わたしは、「葬礼」こそは各民族を超えた人類の精神文化の核であると確信しています。


 中国も韓国も、安倍首相の靖国公式参拝を絶対に許さない姿勢です。英霊に対する想いの強い安部首相も、あえて混乱を招く行為は控えることと思います。しかし、日本の首相として先の戦争で亡くなられた戦没者への慰霊と鎮魂の務めもあるはずです。そこで、わたしはぜひ、世界平和パゴダを安倍首相に参拝していただきたいと願っています。パゴダは、靖国神社の代替施設となりうる。しかも、A戦犯の合祀うんぬんも関係ない。現在、世界平和パゴダはビルマ戦線の戦没者の慰霊施設という位置づけですが、ぜひ拡大解釈して、すべての戦没者の慰霊施設にするべきだと思います。もともと北九州市は安倍首相、麻生副総理のお二人にとっての重要な政治的地盤でもあり、できれば御両人揃ってのパゴダ参拝が望ましいかもしれません。


 (3)の「上座部仏教の寺院」ということですが、世界平和パゴダの本格再開によって、ブッダの本心に近い上座部仏教は今後さまざまな影響を日本人の「こころ」に与えることでしょう。それは「無縁社会」などの問題にも直結すると思います。その件は後でお話しすることにして、仏教そのものに着目すれば、大乗仏教の国である日本も、上座部仏教の国であるミャンマーも、ともに仏教国ということになります。ともにブッダが説かれた「慈悲」という思いやりの心を大切にする国同士だということです。


 また、ぜひともノーベル平和賞受賞者のアウンサウン・スーチー女史に世界平和パゴダを参拝していただきたいと思います。それが実現したとき、日本とミャンマー両国の絆は完全に結ばれるでしょう。スーチー女史は熱心な仏教徒で、過去にも門司のパゴダを訪れていると伺っています。

 

 もちろん、経済面での協力が非常に大事であることは承知しています。

 

 しかし、くれぐれもミャンマーが仏教国であることを忘れてはなりません。両国の仏教交流が成功してこそ、初めて両国民の心はひとつになるのです。


 本書はパネリストを務められた井上氏、天野氏、八坂氏とわたしの共著という形になりますが、みなさん、それぞれのお立場から非常に示唆に富んだ提言をされています。いわゆる「日本仏教アップデート」を考えるためにも貴重な一冊になると確信します。この本の出版によって、ミャンマー仏教について知り、さらには世界平和パゴダに関心を持って下さる方が増えれば嬉しいですね。


 『ミャンマー仏教を語る』は、今月15日に発売の予定です。