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こんなに違うよ! 日本人・韓国人・中国人』

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No.0576

 

  『こんなに違うよ! 日本人・韓国人・中国人』造事務所編著(PHP文庫)を読みました。

 

 編著者の造事務所は、ベストセラーを連発する当代一の編集プロダクションです。「出版界の木下藤吉郎」こと堀川尚樹さんが副社長を務めています。


 わたしは、これまで多くの本を造事務所さんと作っており、このたびの孔子文化賞受賞のきっかけとなった『世界一わかりやすい「論語」の授業』(PHP文庫)でも協力していただきました。同書では、造事務所の若手のホープである中田浩平さんにもお世話になりました。中田さんは金沢出身のナイスガイで、よく笑う人です。

 

 さて本書は、タイトルの通りに日本人・韓国人・中国人を徹底比較した本です。裏表紙の内容紹介には、次のように書かれています。

 

 「経済や文化など、近年ますます交流が盛んになっている日中韓。外見は見分けがつかないほどソックリなのに、中身は全く違う三国の国民性を衣食住、恋愛、お金、政治など、あらゆるジャンルから徹底比較。『肥満率が一番高い韓国人』『中国人が一番行きたい国はアフリカ!?』『自転車の事故が多い日本の交通事情』『中国に王さんは1億人いる!』など、ビックリ&役に立つ教養が満載」

 

 そう、本書には「ビックリ&役に立つ」ことがたくさん紹介されています。それに加えるならば、本書に書かれている情報はどれも「面白い!」です。


 本書は、「衣」「食」「住」「健」「恋」「楽」「働」「文」「金」「教」「環」「政」「運」という13のキーワードでさまざまな情報を紹介しています。すなわち、「ファッション・美容」「ごはん」「住まい」「健康・福祉」「恋愛・結婚」「娯楽」「仕事」「文化」「お金・経済」「教育」「国土・環境」「政治」「運輸・交通」に関する国民性ファイルが開示されているのです。

 

 さらに各キーワードからなる章の終わりには、そのテーマの北朝鮮事情も詳しく紹介されています。本書を読めば、日本・韓国・中国、プラス北朝鮮の人々の国民性がわかります。こんな便利な本は、まず見たことがありません。

 

 「東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会」のメンバーとして、わたしは現在、「儒教文化圏」と呼ばれる東アジア諸国のことを調べていますので、本書には大変お世話になりました。


 豊富なデータの多い本書の中でも、わたしが強い興味を抱いたのは、やはり冠婚葬祭に関するものです。たとえば、「結婚率」について、以下のように書かれています。

 

 「『婚活』が真剣に語られるように、日本では近年、若い男女の結婚のハードルが高くなっている。韓国、中国とくらべても、日本の婚姻率は低い。

 初婚年齢を見ても、中国は男性25歳、女性23歳、韓国は男性30歳、女性27歳に対し、日本は男性31歳、女性29歳。この背景には、日本では男女とも個人主義が進んで昔ながらの見合い結婚が衰退した点、女性の社会進出、さらに近年では、雇用形態の変化にともない収入が安定しない男性が増えていることも影響している。

 日本を含めて東アジアでは、もともと、血統の存続を重視する儒教文化の影響で、結婚は新郎と新婦の個人のあいだで行なうというより、新郎の家と新婦の家のあいだで行なうという意識が強かった」


 また、「結婚費用」については、以下のように書かれています。

 

 「韓国では、結婚となると、挙式自体の費用のほかに新郎新婦家の双方がおたがいに豪華な贈り物(現金の場合も多い)を交換しあったり、やたらお金をかける。そこにはなんと新郎新婦が購入する新居の費用も含めるため、じつに1億7000万ウォン(約1700万円)にもなる。日本での相場の3倍以上だ。

 しかも、招待客でなくても知り合いなら結婚式には顔を出して祝ってあげるという習慣があり、1000人近くもの参列者が集まることも、まれにある」

 

 「中国での結婚式費用の相場は約12万元(約180万円)ともいわれるが、北京や上海のような大都市の裕福な層では56万元(約900万円)にもなる。日本でもめずらしいほどの豪華さだ」


 「離婚率」については、以下のように書かれています。

 

 「儒教の価値観が強く残る中国と韓国では、日本にくらべると、離婚に対する抵抗感はまだまだ強い。各国の意識調査では、離婚を『まったくまちがっている』とする層は、日本では約4%、韓国は約18%、中国では約52%である。

 ところが、韓国は、現在では日本以上に離婚率が高まりつつある。

 1990年代の中ごろまでは、離婚率は1000人当たり1.5人で、日本より低かった。しかし、1997年のIMF危機以降は離婚率が急増している。これは、リストラされて権威の落ちた夫が増えたほか、安定した生活がくずれたことで表面化した家庭内のトラブルがいろいろあるためだろう。夫婦の考えることは、日本とほぼ同じなのだ」

 

 「日本や韓国にくらべると離婚率が低い中国。伝統的儒教精神もさることながら、この理由のひとつに、結婚や離婚の手続きが面倒だったという事情があるのもたしかだ。

 実際、2003年に婚姻法が改正され、離婚の手続きが簡略化されたとたん、離婚率も上昇傾向らしい」


 冠婚関連のデータに続いて、葬祭関連も見てみたいと思います。

 

 「宗教」という項目に、次のように書かれていました。

 

 「日本の仏教の特徴は、代々のお墓がお寺に属する点である。これは、江戸時代につくられた檀家制度のためで、仏教には本来は先祖供養の考えはない。

 韓国も古くから仏教徒が多いが、冠婚葬祭の習慣には儒教の影響が強い。たとえば、父母の遺骸を焼くのは親不孝と考えるため、火葬ではなく土葬が主流である。

 また、韓国は日本よりキリスト教が普及している。とくに戦後はアメリカの支援で多くのプロテスタント系の学校や教会がつくられ、熱心な信徒が増えた。

 一方、共産主義を掲げる中国は、公式には無宗教の国である。信教の自由は認められているが、仏教やキリスト教などの「明確な信徒」は人口の5%ほどにとどまる」


 最後に、「自殺率」という気になる項目がありました。次のように書かれています。

 

 「近年、韓流スターの自殺がワイドショーを騒がせることが多い。実際、2001年ごろから韓国では自殺率が急増している。死因にしめる自殺率は、韓国では4.7%にのぼり、日本の2.9%、中国の3.6%より高い。

 ところが『自殺はまったくまちがっている』と考える人は、日本では約46%、中国では63%で、韓国では約45%と日本とほとんど変わらないのである。

 ここには、深い事情がかくされている。なぜ韓国で自殺が多いのか? 

 自殺の動機には、精神的な悩み、経済的な問題などが挙がる。その背景には、近年の韓国が学校でも会社でも、つねにライバルとあらそう競争社会になったという事情がある。また、かつての日本のように、恥をさらすより死を選ぶ意識も強い。

 さらに、昔ながらの家族や隣近所などとの付き合いが薄れて、身近に相談できる人がいない人が増えている状況もあるのだ。

 ちなみに、自殺率の世界平均は1.5%なので、国際的なレベルから考えてみると、日本も含めて東アジアは自殺率は高めな国々となってしまうのだ」

 

 うーん、東アジアは全体的に自殺率が高いのですね。いやいや、これは、わたしも知りませんでした。東アジアは「儒教文化圏」ですので、何か儒教とも関係があるのでしょうか?


 儒教といえば孔子が開いた教えですが、わたしは北陸大学の未来創造学部の客員教授として、「孔子研究」、つまり儒教の講義を担当しています。数百名におよぶ教え子の中には、中国や韓国からの留学生もたくさんいます。

 

 彼らと接していると、日本人も中国人も韓国人もない、みんな孔子の思想を学ぶ者であり、わたしの可愛い教え子たちです。彼らを中心に、まずは金沢の地で「隣人祭り」ならぬ「隣国祭り」のようなイベントを開催したいと思っています。さらに、そのムーブメントを3つの国全体に拡げていければと願っています。

 

 国と国とが仲良くする「隣国祭り」は平和の祭りに他なりません。世界的に見て、隣国ほど仲が悪く戦争を起こしやすいものですが、それだけに「隣国祭り」の重要性は測り知れません。考えてみれば、地球レベルでの「隣国祭り」こそ、万国博覧会やオリンピックやサッカーのワールドカップかもしれませんね。


 「隣国祭り」のシンボルは、梅の花を考えています。わたしは、日本・韓国・中国の三国間の平和を強く願っています。

 

 しかし、靖国問題をはじめ三国間の理解、そして平和は難しいものがあります。ここで、梅が三国の平和のシンボルであることに注目すべきだと思います。日本では桜、韓国ではむくげ、中国では牡丹が国花ですが、三国共通に尊ばれる花こそ梅なのです。梅は寒い冬の日にいち早く香りの高い清楚な花を咲かせます。それはまさに気高い人間の象徴なのです。日本人も中国人も韓国人も、いたずらにいがみ合わず、偏見を持たず、梅のように気高い人間を目指すべきだと思います。


 梅を愛することは、日本人・韓国人・中国人の共通点です。それぞれの国民の「違い」を知ることも大事ですが、梅を愛するという「共通点」もぜひ知って下さい。

 

 いずれにしろ、「隣国祭り」開催のためにも、本書の内容は非常に参考になります。本書は、読んで知識が豊富になるだけではなく、「なるほど」という気づき、「これは、どうしてだろう?」という問題意識をたくさん与えてくれる好著です。

 

 これから韓国や中国へ旅行に行かれる方も、韓国人や中国人の知り合いがいる方も、ぜひご一読をおススメいたします。