No.2128 オカルト・陰謀 『ヨーロッパの都市伝説』 片野優&須貝典子著(祥伝社新書)

2022.04.26

 『ヨーロッパの都市伝説』片野優&須貝典子著(祥伝社新書)を読みました。「歴史と伝承が息づく13話」というサブタイトルがついています。想像していた以上にオカルト寄りの本でしたが、面白かったです。共著者の片野氏は、ジャーナリスト。1961年、群馬県生まれ。東京都立大学法学部卒業。集英社退社後、オーストリア、ハンガリーを経てセルビアのベオグラード在住。著書に『ヨーロッパ環境対策最前線』『ここが違う、ヨーロッパの交通政策』『フクシマは世界を変えたか』など。須貝氏は、旅行ジャーナリスト。1962年、新潟県生まれ。東京女子大学短期大学部卒業。集英社退社後、オーストリア等を経てセルビア在住。片野氏との共著に『図説 プラハ(ふくろうの本)』『こんなにちがうヨーロッパ各国気質』『日本人になりたいヨーロッパ人』などがあります。

本書の帯

 本書の帯には、右上から時計回りに、吸血鬼研究者イヴァン・ネシッチ氏、呪いの人形アナベル、セルビア・メドヴェジャ村の墓地、血の侯爵夫人バートリ・エリザベート、エンフィールド時間の心霊現象の写真が使われ、「火事を招く絵、実在した呪いの人形、650人の処女を殺害した伯爵夫人、21世紀に暴かれた切り裂きジャック……真相に迫る!」と書かれています。

本書の帯の裏

 カバー前そでには、「大人のための都市伝説」として、「歴史の重みや因習を引きずるヨーロッパの都市伝説は怖くて深い――ヨーロッパで約30年間暮らし、33カ国を取材してきた著者は言う。自殺を誘発する曲はどのようにして生まれたのか(第1話)、なぜバチカンはファティマの奇跡を公認しながら第三の予言を隠蔽したのか(第5話)、切り裂きジャック事件の真犯人とは(第8話)など13話の真相に迫る。21世紀に明らかになった新事実や現地取材で発掘した事象を披露。歴史的背景もていねいに解説している。けっしてマユツバではない、読み応えのある大人のための都市伝説!」と書かれています。

 本書の「目次」は、以下の構成になっています。
第一章 呪い
 第1話 自殺を誘発する曲『暗い日曜日』
 第2話 火事を招く絵『泣く少年』
 第3話 実在した「呪いの人形アナベル」
第二章 怪奇現象
 第4話 最強の心霊現象・エンフィールド事件
 第5話 バチカンが正式に認めた、ファティマの奇跡
 第6話 ドッペルゲンガーを目撃した有名人
第三章 事件
 第7話 650人の処女を生贄にした伯爵夫人
 第8話 21世紀に暴かれた、切り裂きジャック
第四章 歴史の闇
 第9話 ルートヴィヒ二世の幽霊
第10話 怪僧ラスプーチン暗殺の謎
第11話 天才科学者ニコラ・テスラの未開発技術
第五章 伝承
第12話 現代によみがえった吸血鬼
第13話 ユダヤ教の人造人間ゴーレム

「はじめに」の冒頭を、著者はこう書きだしています。
「歴史と伝統が脈打つヨーロッパは、怪奇譚や都市伝説の宝庫である。それらは国境を越えて広く語り継がれてきた古い伝承もあれば、20世紀以降に成立した比較的新しい都市伝説もある。その中から、本書は信頼のおける文献や裏づけがあり、かつストーリー性の高い13話を選んだ。『都市伝説は若年層が読むもの』とのイメージがあるかもしれないが、歴史や文化、宗教から国際情勢までを包含したヨーロッパの都市伝説は、知識と教養を備えた”大人向き”と言えると思う」

 共著者である片野氏と須貝氏は、1991年よりオーストリア、ハンガリー、セルビアに暮らし、約30年間にわたって、北極を含むヨーロッパ33カ国を取材してきたそうです。多くの国や地域を訪れる中で、その地方特有の風習や有名な伝説に直接触れてきましたが、祥伝社新書編集部から「それらを一冊にまとめては」との申し出があり、改めて調べてみたとか。すると資料を渉猟する中で新事実を見つけたり、現地に足を運ぶことで未発表の事象を掘り起こしたりすることができたそうです。

 具体的には、「『第7話 650人の処女を生贄にした伯爵夫人』では、伯爵夫人バートリ・エリザベートは殺人鬼ではない可能性が浮上した。また、『第9話 ルートヴィヒ2世の幽霊』を調べていくうちに、ヨーロッパの近代政治とのかかわりが明らかになった。『第10話 怪僧ラスプーチン暗殺の謎』では、それまでのラスプーチン像――ロシア帝室に巧みに入り込み政治に口を出した――を覆すような見方が生まれた。『第12話現代によみがえった吸血鬼』で取り上げる、日本でもおなじみの吸血鬼は、怪奇小説の傑作『ドラキュラ』からルーマニアがルーツとされることが多いが、意外にも、私たちが暮らしているセルビアが発祥の地だった。その証拠となる世界最古の文献(1715年のオーストリアの新聞)によって、これまでの吸血鬼史が塗り替えられるかもしれない」と書いています。

 第一章「呪い」の第1話「自殺を誘発する曲『暗い日曜日』」の冒頭には、「自殺の聖歌」として、「聴いただけで死にたくなる――。ハンガリーで157人、全世界で数百人が自殺または不可解な死を遂げたと言われるのが、『自殺ソング』と呼ばれる『暗い日曜日』だ。この曲は、1933年にハンガリーの首都ブダペストのドバーニ通りにあるクラーチというパブで生まれた」と書かれています。作曲者は、この店でピアノの弾き語りをしていた30代半ばの男、シェレシュ・レジェーです。わたしは、この曲を題材にした1999年のドイツ・ハンガリー映画「暗い日曜日」を観て、この不吉な曲の存在を知りました。

 この曲を聴いた者が立て続けに自殺し、『暗い日曜日』は、ヨーロッパでは「自殺の聖歌」、世界的には「自殺ソング」と呼ばれるようになりました。日本では、ダミアが歌った曲がフランスから輸入され、日本語バージョンとしてレコード化されました。「日本へも上陸」として、著者は「燕尾服を着て直立不動で歌う姿が印象的な東海林太郎、コメディアンの『エノケン』こと榎本健一、ブルースの女王の淡谷のり子。宝塚歌劇団出身の越路吹雪は、シングルで発表している。好んで歌い、アルバムに収めているのは、カリスマとしてオーラを放ち続けている美輪明宏だ。他に戸川昌子、岸洋子、金子由香利、夏木マリ、加藤登紀子など錚々たるメンバーが、この曲を歌っている」と紹介しています。喜劇王のエノケンがこんな暗い曲を歌っていたとは意外でした。

 なぜ、「暗い日曜日」を聴いた人々は死にたくなるのか。「死へ誘うメロディー」として、著者は「近年、ソルフェジオ周波数という音階には、病を自然治癒させる力があると考えられるようになった。周波数とは空気が1秒間に振動する回数を表し、周波数の単位Hzの数値が大きいと高い音、小さいと低い音になる。そして、ソルフェジオ周波数の9つの周波数は、人間の心身に特別な効果をもたらすとされている。たとえば、『解放の周波数』と呼ばれる396Hzは罪の意識・トラウマ・恐怖・不安から解放する効果が期待でき、『奇跡の周波数』と呼ばれる528Hzは過度なストレスにさらされて傷ついたDNA細胞を修復する力があるという」と述べています。

 ヒーリングの世界では有名な「ソルフェジオ周波数」とは、公衆衛生、行動科学、新興疾病、自然治癒といった分野の権威として国際的に知られているレオナルド・G・ホロウィッツ博士が著書の中で提唱した、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hzの6種類から構成される音階のことです。現在では、周波数の差が111という計算から導かれた、174Hz、285Hz、936Hzを加えた 9種類を、「ソルフェジオ周波数」と呼ぶことが主流となっています。ちなみに、ビートルズの『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ(Tomorrow Never Knows)」は、ジョン・レノンが528Hzで作曲した歌だそうで、自然治癒力が期待できそうですね。

 著者は、「これらとは逆に、ネガティブに作用する周波数もあるというから、『暗い日曜日』と自殺の関係については、周波数が鍵を握っているとも考えられる」と述べています。確かに、ホロウィッツ博士も『ジョン・レノンを殺した凶気の調律A=440Hz 人間をコントロールする「国際標準音」に隠された謀略』という本を書いています。現在の国際標準音A=440Hzは1939年に、ある隠された思惑のもとに決められたもので、そこには人類を煉獄に誘うミュージックカルト・コントロールの策謀があるそうです。ホロウィッツ博士は、同書で「A=440HzからA=444Hz(C=528Hz)へ」「今こそ奏でよ、愛と癒しの528Hzの楽曲を!」と訴えます。

さまざまな『泣く少年』

 第2章「火事を招く絵『泣く少年』」では、「不幸になる絵」として、ムンクの『死せる母とその子』や、ビル・ストーナムの『彼を拒む手』などの見ると不幸になるとされている絵を紹介した後、「焼け跡に残った1枚の絵」として、1980年代にイギリスのヨークシャーで働く消防隊員の間で話題となった『泣く少年』という絵が取り上げられます。著書は、「この絵は『泣く少年』という題の通り、あどけない少年が泣いている肖像画である。そのモデルは一人ではなく、最低でも8人と推定され、27人との説もある。絵に描かれた少年は、いずれも顎は引いて両目から大粒の涙を流し、瞳は訴えるように真っすぐこちらを見つめている(本書に掲載したいのだが、編集者に止められた)」と書かれています。編集者の方には悪いのですが、このブログでは紹介させていただきます。

『泣く少年』

 絵を描いたスペイン人の画家ブルーノ・アマディオ(1911~1981年)は、時にイタリア人のG・ブラゴリンという別名を名乗ったそうで、著者は「もともと、この絵は、イタリアのベネチアで観光客の土産用に描かれたものだった。そして1960年以降、複製画『泣く少年』として世界中に出回り、シリーズ化された。この絵のモデルとなった少年は、アマディオがマドリードの裏小路を歩いていた時に出会ったドン・ボニロであることが定説になっている。ドン少年は火事で両親を亡くした孤児だったらしい」と述べます。

『泣く少年』

 さらに著者は、「どうも、ドン少年は『ファイヤースターター』、すなわち生まれながらにして道具を使わずに火を点ける能力を持っていたようだ。つまり、少年は火事の犠牲者ではなく、両親を死に追いやった張本人だというのだ。アマディオがドン少年の肖像画を描き始めた時、村人は『あの子はアブラム(悪魔の子)だから、かかわらないほうがいい』と忠告したという。だが、その瞳に魅せられた画家は、警告を無視して描き続けた。そして、イギリスで『呪いの絵』として話題になる4年ほど前、アマディオはアトリエが原因不明の火事になり、死去している」と述べるのでした。

実際のアナベル人形

 第3話「実在した『呪いの人形アナベル』では、映画「死霊館」シリーズで有名な人形が取り上げられます。「映画は実話だった!」として、著者は「日本では人形にまつわる怪奇現象は少なくない。なかでも、髪が伸びる『お菊人形』の話はよく知られている。ただし、これにはタネがある。髪が伸びるのは、人形の制作過程で余分に埋め込まれた部分が次第に外に出てくることが原因だという。しかし、次に紹介する『呪いの人形アナベル』にはタネもしかけもない。正真正銘の実話である。アナベル人形は、2013年公開の映画『死霊館』(ジェームズ・ワン監督)に登場し、その存在を広く知られるようになった。その後、スピンオフとして製作された『アナベル 死霊館の人形』(ジョン・R・レオネッティ監督/2014年公開)で主役に昇格すると、『アナベル 死霊人形の誕生』(デヴィッド・F・サンドバーグ監督/2017年公開)』、『アナベル 死霊博物館』(ゲイリー・ドーベルマン監督/2019年公開)』とシリーズ化されている」と述べています。

 発端は、1970年にアメリカの大学で看護学を学ぶドナが、誕生日に母親から絵本のキャラクターであるラガディ・アンの人形をプレゼントされたことから始まります。次々に怪異を起こす人形を恐れたアンとその母は霊媒師のもとを訪ねます。霊媒師は、人形にはアナベル・ヒギンスという少女の霊が衝いていると述べました。アナベルは7歳で亡くなり、彼女の住んでいた家が取り壊された後、その土地に建設されたのが、ドナたちのアパートだというのです。その後も怪異は続き、心霊研究家ウォーレン夫妻のもとに駆け込むことになりました。ウォーレン夫妻は「人形は亡くなった少女ではなく、悪霊が取り憑いている」と断言しました。そして神父を呼ぶと、悪魔祓いの儀式が行われました。結局、人形はウォーレン夫妻が引き取ることになったのです。

 ウォーレン夫妻の妻ロレイン・ウォーレンは、悪霊の恐ろしさを伝えると同時に、対処法についても語っています。第1は、「悪霊が取り憑いた人形や物を壊したり燃やしたりして、廃棄してはいけない」。ドナのボーイフレンドのルーがひどい目に遭わされましたが、これはアナベル人形を燃やしてしまおうと主張したことで、悪霊に憎まれたからと推測されます。第2に、「悪霊を侮辱したり、嘲笑ったりしてはいけない」。悪霊から必ずリベンジを受けます。第3に、「人形とは絶対に目を合わせてはいけない」。悪霊は、目を合わせることで取り憑く相手を認識し、乗り移ろうと狙っているからです。ロレインは、「悪霊の力は一般人が理解できるものではない。悪霊は過去から現在、そして未来永劫、この世に存在し続けている」と述べます。彼女は生前、「実際に物語に出てくるような悪魔は存在する。同時に神も存在する」と訴え続けました。

 第二章「怪奇現象」の第4話「最強の心霊現象・エンフィールド事件」では、ウォーレン夫妻が関わった世界最大のポルターガイスト(心霊現象)事件が取り上げられます。2016年、この事件を題材とした映画『死霊館 エンフィールド事件(原題The Conjuring2)』が製作されました。著者は、「タイトルの『コンジュアリング(Conjuring)』には『手品』の意味もあるが、この場合『呪文を唱えて呼ぶ』と訳すのが適切だ。何を呼ぶかと言えば、霊だ。映画は、マレーシア生まれの華僑ジェームズ・ワン監督をホラーの巨匠へ押し上げるヒット作となった。ホラー映画の歴史をさかのぼると、1960~1970年代には『ローズマリーの赤ちゃん』(ロマン・ポランスキー監督/1968年公開)、『エクソシスト』(ウィリアム・フリードキン監督/1973年公開)、『悪魔のいけにえ』(トビー・フーパー監督/1974年公開)、『オーメン』(リチャード・ドナー監督/1976年公開)などの傑作が続々と誕生した」述べます。

 「エンフィールド事件」は、イギリス・ロンドン郊外エンフィールドで実際に起こった事件ですが、ここでは記録にあるものだけで1500を超える怪奇現象が1977年8月から2年2カ月の長期にわたって起こりました。調査にあたったグロスは、ポルターガイストが本物と信じる理由を見つけていたようです。グロスは娘の事故死がきっかけで、心霊研究の道に入りました。著者は、「彼は娘の死を受け入れることができず、霊魂でもいいから会えないかと願っていたという。彼は、もし霊魂が存在するなら、娘は何らかの手段で葬式の日に自分に連絡を取るだろうとの思いを抱いていた。その頃、何週間も雨が降っていなかったので、娘が雨を降らせるのではと考えていたところ、葬式当日は娘の部屋から突き出した屋根だけが濡れていたという」と述べています。

 この他にも、娘がグロスに自分の存在を知らせようとしていると思える不思議な偶然が何度も重なったこともあり、グロスはポルターガイストには娘の霊がかかわっているかもしれないと考えるようになりました。著者は、さらに、霊視者ドノ・グメリク=マイリンクにサイコメトリー(物体に触れることで、そこに残された人の記憶を読み取る超能力)で見てもらったところ、娘の霊が関与していることを告げられる。実際、ホジソン家には子どもの霊がたくさん現れた。しかし、エンフィールドのポルターガイスト現象は1979年9月になるとぱったりと見られなくなり、事件は理由がわからないまま幕を閉じた」と述べています。YouTubeでは、映画『死霊館 エンフィールド事件』の特別映像として、この事件の実際の怪奇現象の動画を観ることができます。

 第5話「バチカンが正式に認めた、ファティマの奇跡」では、有名な奇跡が取り上げられます。ポルトガルの小さな町ファティマで起きた、カトリック教会が公認している、聖母の出現です。ローマ教皇庁は奇跡として公に認めましたが、第三の予言は長年にわたり秘匿しました。何万もの群衆を前に太陽が狂ったように回転して見えたり、水源のないところから水が湧き、飲む者に奇跡的な治癒があったりしたことから、1930年10月13日現地管区レイリア司教によってこの出現は公認され、同年教皇ピオ12世は同地に巡礼する者への贖宥(免償)を宣言。1967年には教皇庁により最初の聖母の出現のあった5月13日がファティマの記念日に制定されました。歴代ローマ教皇は巡礼に訪れたり、この出現のメッセージに基づき世界の奉献を行っています。

 何度も聖母が出現し、多くの人々が奇跡を目撃した「ファティマの奇跡」を著者はUFOと関連づけます。「聖母マリアはUFOに乗っていた!?」として、著者は「聖母マリアは6度目の出現の際、群衆の前で奇跡を見せた。具体的には、灰色の光の円盤のような太陽が火の車のように回転したり、ジグザグに跳ねるように動いたり、急降下したりした。この灰色の太陽は、巨大なUFO(未確認飛行物体)だったのではないかとの説がある。また、5度目の出現で聖母の去り際、空から光り輝く丸い花びらのようなものが降った。目撃者の話では、手で受け止めると雪のように解けたという。これは、UFOが出現したあとにしばしば見られる糸状の物質『エンゼルヘアー』に似ている。さらに、聖母はルシアに第2の秘密は1960年まで口外しないようにと告げた。なぜ1960年だったのか。UFOが1950年以降、世界中で目撃されるようになったことと無関係ではないだろう」と述べています。

 続けて、著者は「人類が人工衛星の打ち上げに成功したのは1957年、ソ連のスプートニク1号である。その4年後、初の有人宇宙飛行を成し遂げたのがボストーク1号に搭乗したユーリイ・ガガーリンである。彼の言葉「地球は青かった」でわかるように、地球をはじめて「外」から見たのだ。その後、1969年にアメリカのアポロ11号が月に着陸し、人類は「足跡」を残した。このように、1960年代には宇宙、すなわち地球外への認識が飛躍的に高まったのは事実である。イエスが宇宙人だったとする説もある。そのように仮定すれば、『聖書』に書かれている数々の奇跡に説明がつくというのだ」と述べます。

 さらに続けて、著者は「この大胆な仮説を裏づける宗教画も実在する。ジョージアにあるスヴェティツホヴェリ大聖堂の壁画には、磔になったイエスの右手の上空に赤い半円状のUFO、左手の上空には緑のUFOがジェット噴射の線を引いて飛んでいる様子が描かれている。コソボにある世界遺産のデチャニ修道院にもイエスの磔刑の壁画があるが、左右の空には光を放ちながらUFOが飛んでいる。しかも、UFOの中には宇宙人が乗っている」と述べるのでした。ということで、わたしは少年時代に読んだ大陸書房の『聖書とUFO』や『キリスト宇宙人説』といったオカルト本を思い出しました。

 本書の後半は、バートリ・エリザベート、切り裂きジャック、ルートヴィヒ2世、ラスプーチン、ニコラ・テスラといった興味深い人々も取り上げられていますが、前半の『暗い日曜日』、『泣く少年』、アナベル人形、エンフィールド事件、そしてファティマの奇跡のオカルト6連発で、わたしはノックアウトされてしまったのでした。ちなみに、このブログで『暗い日曜日』を聴いたり、『泣く少年』を見たりして、あなたに何らかの不幸が降りかかったとしても、わたしは責任を取りませんので、悪しからず。

Archives