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SDGs(持続可能な開発目標)』

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No.2101


 『SDGs(持続可能な開発目標)』蟹江憲史著(中公新書)を読みました。著者は1969年、東京都生まれ。1994年慶應義塾大学総合政策学部卒業。2000年同大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学。北九州市立大学講師、助教授、東京工業大学大学院准教授、パリ政治学院客員教授等を経て2015年より慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。同大学SFC研究所xSDG・ラボ代表。国連持続可能な開発会議(リオ+20)日本政府代表団顧問をはじめ,日本政府SDGs推進本部円卓会議委員、内閣府自治体SDGs推進評価・調査検討会委員、環境省持続可能な開発目標(SDGs)ステークホルダーズ・ミーティング構成員等、SDGs関連を中心に政府委員を多数務める。専攻・国際関係論、サステナビリティ学。博士(政策・メディア)。著書に『地球環境外交と国内政策』(慶應義塾大学出版会、2001年)、『環境政治学入門 地球環境問題の国際的解決へのアプローチ』(丸善出版、2004年)、『持続可能な開発目標とは何か』(編著,ミネルヴァ書房、2017年)、『未来を変える目標 SDGsアイデアブック』(Think the Earth、2018、監修)など。

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本書の帯

 

 本書の帯には「ポスト・コロナの道しるべ」「第一人者が理念から行動までを解説」「17目標・169ターゲットの新訳掲載」と書かれています。また、帯の裏には、「変革なきところに持続可能な未来はない」として、「SDGs(持続可能な開発目標)は、国連で採択された『未来のかたち』だ。健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど経済・社会・環境にまたがる17の目標があり、2030年までの達成が目指されている。『だれ一人取り残されない』ために目標を設定し、達成のための具体策は裁量に任されているのが特徴だ。ポスト・コロナ時代に、企業・自治体、そして我々個人はどう行動すべきか、第一人者がSDGsのすべてを解説する」と書かれています。

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本書の帯の裏

 

 本書の「目次」は、以下の構成になっています。
はじめに「世界の課題と日本の課題」
第1章 SDGsとは何か
   (1)SDGsのアウトライン
   (2)SDGsの特徴
第2章 SDGsが実現する
    経済、社会、環境の統合
   (1)国連と持続可能は開発
      ――ストックホルムからリオ、そしてSDGsへ
   (2)SDGsが実現した「経済」「社会」「環境」の統合
第3章 SDGsの全貌
第4章 企業はSDGsに
    どう取り組むべきか
   (1)なぜ企業がSDGsか?
   (2)経営理念とSDGs
   (3)SDGsを活用したマッピングへ
   (4)未来からのビジネスへ
   (5)SDGs金融と企業行動の計測
第5章 自治体における
    SDGsの取り組みと課題
   (1)SDGs未来都市
   (2)地方創生SDGs金融と自治体の役割
   (3)自治体におけるSDGsの機会と課題
第6章 皆の目標としてのSDGsへ
   (1)国連の取り組み
   (2)日本政府の取り組み
   (3)研究教育界、若者、そしてその先へ
   (4)他国の取り組み
第7章 SDGsのこれから
    ――ポスト・コロナの世界の道しるべ
   (1)「自分ごと」としてのSDGs
   (2)新型コロナウイルスの影響
「あとがき」
「注」
「SDGsとターゲット新訳」

 

 はじめに「世界の課題と日本の課題」の冒頭を、「新型コロナウイルスとSDGs」として、著者は以下のように書きだしています。
「感染症による健康や医療の問題は、感染症の拡大を防ぐため、人々の活動や移動の制限へとつながる。そして活動や移動の制限は、経済活動の縮小や停止へと連鎖する。イベントの自粛などは企業の収益に直接的に影響し、場合によっては企業活動が持続できない、すなわち倒産してしまう事例も出た。個人レベルにも影響は及ぶ。学校が休校になると、子どもの世話をするために親の仕事に影響が出る。自宅で勤務が可能な職種であればまだしも、職場でしか仕事ができない職種や、非正規雇用者で仕事を休むことがそのまま収入減につながる場合には、直接的に収入の持続性の喪失や、貧困の問題へとつながる。感染者の多い国はどこかという情報が高じて、不当な差別につながるケースもあった」

 

 健康問題に端を発するこの問題は、経済や人権問題へと連鎖することになりました。さらには、対策として使用される使い捨てマスクは、廃棄物を増加することになり、それらを燃やして処理するということになれば、二酸化炭素のさらなる排出という環境問題へとつながるとして、著者は「この負の連鎖を断ち切ることは、すなわち、経済、社会、環境を持続可能にしていくことと同義である。新型コロナウイルス対策で人の命や健康の持続可能性を高める。そのことが起点となって、経済や地球も持続可能になることにつながっていく。持続可能な社会が実現すれば、仮に感染症が広がったとしても、その影響を最小限にしたり、『元に戻る』力が備わっているはずである」と述べます。

 

 SDGs(Sustainable Development Goals)、すなわち持続可能な開発目標は、2015年の国連総会で全加盟国が合意し、2030年までにそのような社会を実現することを目指しています。本書には、感染症への対処、ワクチンなど医薬品の開発、「元に戻る」ためのレジリエント(復元力の高い)なインフラ構築、差別の撤廃、廃棄物の大幅削減、そして貧困の解消。これらはすべてSⅮGsの目標に含まれていると書かれています。

 

 「創発」という言葉があります。もともとは物理学や生物学から来た用語で、局所的な個々の部分が集まり、相互作用によって複雑に組織化されることで、予想もしなかったような新たな秩序やシステムがつくられ、やがてそのシステム自体が個々の要素に影響を及ぼしていくような現象のことをいうと説明し、著者は「現代社会が直面する多くの課題にもこの創発現象が見られる。個別の現象のように見える課題が、世界各地で固有の文化や地域的要素にのっとりながら現れる。気候変動、エネルギー、ジェンダー......根っこは同じことでも、違う時間や場所で違うかたちで、しかし同じように複雑にからみあいながら、現れてくる。逆から見れば、現象としての現れ方に差はあっても、課題の本質は同じといった問題が、世界各地で同時多発的に発生する」と述べます。

 

 大きく分けると、これらの課題は、経済の問題、社会の問題、環境の問題と3つに分けることができると指摘し、著者は「より身近な言い方をすれば、カネ・ヒト・地球の問題である。それらは一見独立した問題のようにも思われるが、実はそれぞれが深く強く関連している」と述べます。課題が相互に関連しているということは、課題解決も一筋縄では行かないということであり、著者は「何かを解決しようとしても、総合的に考えて行動を取らない限り、全体として課題を解決することにはならない」と述べます。

 

 なかなか困難なことですが、こうした課題をシステム全体の課題としてとらえ、その解決を図るべく登場してきたものこそが、SDGsです。「SDGsへ寄せる希望」として、著者は「課題が相互に関係しているのであれば、何かを始めることで、波及効果が生じ、連鎖的に解決が図れることもあるだろう。あるいは、どこかにカギとなるポイント、いわゆる『レバレッジ・ポイント』というものがあり、そのポイントを押さえることで連鎖的に課題解決が図れるかもしれない。こうした課題解決の糸口を与えてくれるのが、SDGsである」と述べるのでした。

 

 第1章「SDGsとは何か」の「(1)SDGsのアウトライン」の冒頭を、「世界のかたち」として、著者は以下のように書きだしています。
「『SDGsとは何か?』この質問に対して、筆者は『SDGsは未来の世界のかたちだ』と答えることにしている。2015年9月の国連総会で、国連加盟の193ヵ国すべてが賛同した国際目標がSDGs(Sustainable Development Goals)である。日本語では『持続可能な開発目標』と訳されることが多いが、筆者自身は、『持続可能な成長目標』とか、『持続可能な発展目標』と訳したほうが、日本人には受け入れられやすいのではないかと考えている」

 

 続けて、「今だけ成長して未来に経済的・社会的・環境的な負債を残すのではなく、持続的に成長していく。しかも、経済成長だけではなく、社会的な意味で、たとえば皆が幸福度を上げられるような成長であったり、環境面から、いつまでも豊かな自然環境が人間生活を支えてくれているような成長であったりする。そんな総合力のある成長目標が、SDGsである。言い換えると、このSDGsには、この先もずっとこの地球上に住み続け、人類が繁栄していくために、日本と世界がやらなければいけないことが詰まっている。その意味では、より正確には、『未来の世界の骨格』である。最低限のかたちが描かれているのがSDGsであり、そこにどのような肉付けをするかは、人類一人ひとりが考え、決めていくことになる」とも書かれています。

 

 著者によれば、重要なのは、このSDGsにすべての国連加盟国が賛同しているという点であるといいます。あらゆる国が、その政治的イデオロギーや、地理的な位置、軍事的・経済的パワーの違いを超越して、将来の世界の姿はこうあるべきだ、という大きな目標に賛同しているのであると指摘し、「このことの意味が、とてつもなく大きい。今は国による意見の違いや、やり方の違いはあっても、将来あるべき姿は共有している。しかも、かなり包括的にさまざまな課題を含み、そして具体的である。ここまで具体的に未来の姿が描かれ、しかもそれが世界のすべての国に合意されたということは、これまでにない」と述べます。

 

 また、SDGsが、すべての国連加盟国によって合意されているということは、世界の進むべき方向性が明らかになっているということであり、そこで描かれた世界が、紆余曲折はあれ、いずれ実現される確度も高いということになると指摘し、著者は「そうだとすれば、これを先取りしない手はない。SDGsに対応するということは、国にとっても自治体にとっても、そして民間企業にとっても、ボランティアベースの社会貢献を超えて、まさに成長戦略やリーダーシップの源となるものだといえる」と述べます。

 

 「理念」として、SDGsを核とする国連決議「持続可能な開発のための2030アジェンダ(通称「2030アジェンダ」)」のタイトルには「我々の世界を変革する」とあると紹介し、著者は「SDGsはまさに変革のために存在していることの象徴である。SDGsが体現する未来のかたちには、今の世界とは大きなギャップがある。このギャップを埋めるためには変革することが必要になる。極度の貧困だけでなく、格差が要因となる各国内の貧困をなくすためには、社会の仕組みを変える必要がある。食料生産の仕組みを変革しないことには、限りある資源と地球の容量のなかで、これから増大する世界人口を支えることはできない。先進国に定着している大量生産・大量消費の仕組みは資源の枯渇を生み出す一方で、必要な資源が、必要な人に必要なときにいきわたらないという問題を生み出している。ここにも変革が必要だ。さらには、エネルギー需給に関する仕組みの変革は、気候変動対策としても必要とされる変革だ」と述べます。

 

 「我々の世界を変革する」と並んで、今1つ重要な理念が、「だれ一人取り残されない」ことです。こうした2つの理念と、具体的な目標群を結びつける役割を果たすのが、SDGsを貫く5つの原則です。人間(People)、地球(Planet)、繁栄(Prosperity)、平和(Peace)、パートナーシップ(Partnership)という、英語で書くと5つのPを頭文字とする概念が、SDGsの大原則となっています。

 

 「目標ベースのガバナンスの効果」として、70周年を迎えた国連が、歴史上はじめて踏み込んだチャレンジが、SDGsによる目標ベースのガバナンスなのであると紹介し、著者は「意欲的な目標を掲げる効果はいくつかある。まず、目標を掲げることで、その目標を達成しようという意思をもった『資源』が集まる。『資源』とひとことにいっても、その内容は多様である。人的資源をはじめ、目標を実現するための知的資源(アイディア)もある。また、目標へ向かうための『資金』も重要な資源である」と述べています。

 

 次に、目標を掲げることで、従来では考えられなかったような大きなことを成し遂げることができるといいます。その典型的な例が「ムーンショット」であるとして、著者は「1961年5月、米国のケネディ大統領が10年以内に人類を月に送るという大目標を打ち上げたことではじめて、1969年のアポロ11号の月面着陸が実現した。大目標を掲げることで、想像を超えるような現実がついてくる。これをシナリオ的に表現するのが、『バックキャスティング』という発想である」と述べています。

 

 従来は「持続可能な開発」というと環境問題と考えられることが多く、経済や社会的側面までを含めて語られることは少なかったと言えます。しかし、SDGsによって経済や社会的持続可能性が「持続可能な開発」の文脈にきちんと位置づけられることによって、ようやく企業がこの課題に正面から取り組むようになってきました。第4章「企業はSDGsにどう取り組むべきか」の「(1)なぜ企業がSDGsか?」の冒頭を、著者は「SDGsへの対応が企業価値を決める」として、「SDGsが社会的な関心を呼ぶに至っている要因の1つは、企業がSDGsへの取り組みを強化していることにある。なぜ企業がSDGsなのか。それは、目標8に『経済成長』が書き込まれていることが直接的な理由ではある」と書きだしています。

 

 それまで持続可能な開発というと、どちらかというと環境面の持続可能性が強調されるあまり、対応が経済的にはコストになるという印象を生むことが多々ありました。SDGsはそのような動きとは一線を画し、環境や社会の持続可能性と同等に、経済の持続可能性が重要だと説きます。従来、企業の利益と社会の利益(公共の利益)とは、必ずしも一致しないことがあると考えられてきました。わかりやすいのは環境対策ですが、著者は「気候変動や生物多様性の破壊、森林破壊、あるいは移民による労働市場の変化や災害やテロによる安心・安全な生活への脅威が増えていくなかで、そうした社会的課題の原因あるいは影響と、企業活動との境界線が次第になくなってきた」と述べます。

 

 日本では江戸時代以来、近江商人の経営哲学としての「三方よし」という考えがよく知られています。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」として、売り手も買い手も満足し、そして世間(社会)も良くなる商いが良い商売だという考えです。CSVとは、この三方よしの別名であるといってもよいでしょうが、SDGsはこの考えをもう一歩進めた「四方よし」であると指摘し、著者は「これは、近江の国だった滋賀県が県を挙げてSDGsに力を入れはじめた当初に、筆者が滋賀県の方々と話した際に、実際、会話のなかで登場した考えである。従来の『三方よし』には足りなかった考え方があった。『未来よし』である。それを補ってくれるのがSDGsだというのである。自己利益のみを大きくすることのひずみが、リーマンショックのようなかたちで明らかとなるなかで、再び『三方よし』が脚光を浴びるのは、素晴らしいことである。しかし、今起こっている課題の本質を見ると、未来の視点をなくしては真の意味での課題解決はできない」と述べます。

 

 「四方よし」として、著者は「未来には、これまでの延長線上で考えられないことがたくさん出てくる。つまり、今とは異なる条件のなかで、課題解決を継続的に行っていくためには、『四方よし』の必要があるわけである。こうしたなかで、企業がSDGsへの注目を高めているというのは、必然だといってよい。ましてや、新型コロナウイルスは、持続可能でない成長モデルの脆弱さをあぶりだした。その対策のしわ寄せは、非正規雇用者や接客業、中小企業といった取り残されがちな人々に集中している。どん底からの再出発で必要となるのは、SDGsの道しるべである」と述べています。

 

 「(2)経営理念とSDGs」では、「企業理念との親和性」として、日本の企業文化には近江商人の「三方よし」の伝統が流れていることもあってか、企業の理念や、創業者の起業の理念は、社会の役に立つために社業を通じて活動を行う、という意味合いをもつものがほとんどであると指摘し、著者は「たとえば住友グループは、『信用を重んじ確実を旨とし』として、取引先や社会の信頼にこたえることを最も大切にするとし、また、『浮利にはしり軽進すべからず』として、目先の利益にとらわれないことを方針としている。さらに不文律として、自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利するという『自利利他 公私一如』精神があるという」と述べています。

 

 JALは「全社員の物心両面の幸福を追求し、お客様に最高のサービスを提供し、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献する」というし、ANAは「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」と、未来への貢献さえも打ち出しています。金融では、大和証券グループは「信頼の構築、人材の重視、社会への貢献、健全な利益の確保」という4つの柱を掲げています。著者は、「SDGsをこうした文脈で活用することは、企業にとってもメリットがある。1つは、企業活動や事業活動に公共性があることを示したり、あるいはその活動の正当性を示すことができるという点である」と述べます。

 

 そのうえ、SDGsは"世界共通言語"です。SDGsという言葉を使うことによって、異業種の人にも、何のための活動かが伝わります。それだけにとどまりません。全く異なる分野で働く人や、全く違う活動をしている人々といった、多くの異なるステークホルダーへ伝えることも可能になると指摘し、著者は「同じ目標を目指しているということになれば、異なる活動をしている人同士でも共通項を見つけることができるだろう。うまく補完関係を見つけられれば、コラボレーションによって、さらに活動をスケールアップすることもできる。そこまで行かずとも、同じ目標を目指す異なる活動から、成功のエッセンスや、教訓といった情報を手に入れることも可能になる」と述べます。

 

 しかも、その共通言語は国境も越えていきます。そうなると、市場を広げたり、事業展開を行う国を広げていくことにもつながると指摘し、著者は「とりわけ発展途上国では、SDGsを軸にパートナーを見つけようとする先進国からのODAや、国際機関によるプロジェクトを引き付ける目的もあり、開発戦略とSDGsとを関連付ける国も出てきている。そうしたところでは、特にSDGsという共通言語は威力を発揮することになる」と述べます。

 

 第7章「SDGsのこれから――ポスト・コロナの世界の道しるべ」の「(2)新型子聾唖ウイルスの影響」では、「ポスト・コロナの道しるべ」として、SDGsへの対応が進んでいても、新型コロナウイルスの影響は避けられなかったかもしれないが、影響は確実に緩和されていただろうと推測し、著者は「新型コロナウイルス対策の影響で、経済や社会は大きなダメージを受けた。対照的に、大気や海の環境は改善され、汚染も減った。ヴェネツィアの水が透明度を増したというのは象徴的だ」と述べています。

 

 ポスト・コロナの挑戦は、大きなダメージを受けた立場の人々を優先しながら経済を回復させ、同時に環境の改善を継続し、さらに強化することにあるとして、著者は「新型コロナウイルス対策によって進んだ働き方の改善や多様性の確保は、一気に変革定着へとつなげたい。風評などに起因する差別意識や人権侵害は根本から改善する必要がある。医療の質やアクセスの向上は、そもそも高齢化社会へ進むなかで重要だといわれていたことでもある。その点を踏まえてしっかりと整備する」と述べます。さらには、「カネ、ヒト、地球のいずれにおいても、コロナ後の世界こそ、SDGsを道しるべとした、再生戦略を立てるべきときでもあろう。再生戦略は、政府や行政だけの仕事ではない。個々人の再生戦略でもある。その先の未来に進むために、SDGsは重要な役割を担う」と述べるのでした。

 

 「あとがき」では、危機感をもてば行動につながるとして、著者は「1人ができる行動は限られているが、個人レベルでも、組織の中の個人としても、危機意識をもって行動をすれば、それが集まった社会として大きな力となるというのは、同じく新型コロナウイルス対策で、実感をもって体験していることだ。周りの人々が感染しているかわからなくとも、感染していると想定してマスクをしたり、手洗い、うがいを励行する。その行動を個人や組織のレベルで徹底することで、対策がすすみ、緊急事態の解除にもつながる。同じように危機感をもってSDGsに対応することができれば、人と地球の未来も開けてくる。これは、その先の未来にいくために、避けては通れない変革である。日本がいち早くその対応をするならば、日本が世界をリードできる。米国が内向きになっている今は、そのチャンスでもある。これまで大災害を乗り越えてきた日本の経験は、そうしたときにこそ生きてくるだろう」と述べるのでした。本書は、SDGsについて知る最良の入門書であり、ポスト・コロナ社会へのガイドブックのような内容だと思いました。