No.1801 宗教・精神世界 | 幸福・ハートフル 『慈経 自由訳』 一条真也著(現代書林)

2019.12.06

 『慈経 自由訳』の新装版が現代書林から刊行されました。
 わたしが「慈経」を自由訳した本で、以前は三五館から刊行されていました。しかし、同社が倒産したことにより長らく絶版になっていました。 

慈経 自由訳』(現代書林)

 「もう一度、刊行してほしい」との声を多くいただき、版元を変えて、ついに生まれ変わりました。自由訳に添えられている写真も女流写真家リサ・ヴォ―ト氏から、沖縄在住の写真家である安田淳夫氏の作品に交代しました。非常に美しく、瞑想的な写真が満載です。

本書の帯

 本書の帯には「ブッダからの『慈しみ』のメッセージ」として、「『慈経』の教えは、老いゆく者、死にゆく者、そして不安をかかえたすべての者に、心の平安を与えてくれます」と書かれています。また、カバー前そでには「親から子へ、そして孫へ伝えたい『こころの世界遺産』」とあります。

本書の帯の裏

 帯の裏には、以下のように書かれています。
「生命のつながりを洞察したブッダは、人間が浄らかな高い心を得るために、すべての生命の安楽を念じる『慈しみ』の心を最重視しました。そして、すべての人にある『慈しみ』の心を育てるために『慈経』のメッセージを残したのです。ぜひリラックスして本書のページを開き、『こころの世界遺産』ともいうべきブッダのメッセージを味わってください」

慈経 自由訳』 より

 「慈経」(メッタ・スッタ)は、仏教の開祖であるブッダの本心が最もシンプルに、そしてダイレクトに語られている、最古にして、最重要なお経です。上座仏教の根本経典であり、大乗仏教における「般若心経」にも比肩します。上座仏教はかつて、「小乗仏教」などと蔑称された時期がありました。しかし、上座部仏教の僧侶たちはブッダの教えを忠実に守り、厳しい修行に明け暮れてきました。

 『慈経 自由訳』 より

 「メッタ」とは、怒りのない状態を示し、つまるところ「慈しみ」という意味になります。「スッタ」とは、「たていと」「経」を表します。ブッダは8月の満月の夜に「慈経」を説いたと伝えられています。満月は、満たされた心のシンボルです。わたしが満月に格別の感情を抱いていることはご存知かと思いますが、いつか北九州市の門司港にある日本で唯一のミャンマー式寺院である「世界平和パゴダ」で満月の夜の行事を盛大に行いたいと思っています。

慈経 自由訳』より

 「慈経」はもともと詩として読まれていました。すなわち単に書物として読まれるものではなく、吟詠されたものだったのです。わたしも、なるべく吟詠するように、千回近くも音読して味わい、自由訳に臨みました。自らの人生をかけて、魂をこめて、「慈経」のメッセージをわかりやすい言葉に直しました。

慈経 自由訳』 より 

 「慈経」の教えは、老いゆく者、死にゆく者、そして不安をかかえたすべての者に、心の平安を与えてくれます。これからの日本人にとって最も必要なお経が「慈経」であると確信しています。安田氏の写真も素晴らしく、まるで天国で撮影されたようなスピリチュアルな作品となっています。

慈経 自由訳』と『般若心経 自由訳

 本書を開けば、さまざまな不安が消え、心の平安が訪れるのではないでしょうか。姉妹本である『般若心経 自由訳』(現代書林)とともに、ぜひお手元に置かれてみて下さい。仏教の真髄がよくおわかりになると思います。

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