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ハラスメントの境界線』

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No.1784


 『ハラスメントの境界線』白河桃子著(中公新書ラクレ)を読みました。「セクハラ・パワハラに戸惑う男たち」というサブタイトルがついています。著者は生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、住友商事、外資系証券などを経てジャーナリスト、作家に。働き方改革、少子化、キャリアデザイン、女性活躍、ダイバーシティ、ジェンダーなどをテーマとし、執筆、講演、テレビ出演多数。数々の提言を政府の委員としても行っているそうです。著書多数。

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本書の帯 

 

 本書の帯には「セクハラ」と「パワハラ」のイラストとともに、「何がアウトかわからない」「困惑するすべての働く人に知ってほしい」「これからの会社のあるべき姿とは――今こそ知っておくべきハラスメント最新事情」と書かれています。

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本書の帯の裏 

 

 帯の裏には、「以下のうち、当てはまるものはありますか?」として、「容姿をほめたらクビになると思っている」「ハラスメント通報されたら即刻アウトだと思う」「相手が笑顔ならボディータッチもOK」「部下に厳しく当たっても愛があれば大丈夫」「仕事ができれば、プライベートで何をしても仕方ない」という項目が並び、最後に「一つでも当てはまったあなたは、アップデートが必要です」と書かれています。


 アマゾンの「内容紹介」には、こう書かれています。
「2018年4月18日、財務省事務次官がセクハラで訴えられ、辞任しました。皆さんの記憶にも残っていることでしょう。その後、霞が関では野田聖子女性活躍担当大臣が『セクハラ緊急対策』をまとめて対処し、まさに今、法改正も視野に入れた労働政策審議会が行われています。既に過去のことのように思われているかもしれませんが、あの事件をきっかけに、セクハラに対する認識が変化し、日本での#MeToo運動にも拍車をかけています。
『でも、自分はすごいエライ人ではないし、遠い世界の話でしょ』 そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、外資系企業をはじめ、日本国内でも、セクハラに対する意識改善の波が押し寄せてきているのです。そんな世の中になれば、企業側も対応せざるを得なくなってきます。『ブラック企業か否か』と同じくらい、人材獲得のための重要なポイントでもあるわけです。
『セクハラは悪いことって知っているし、自分はそんな悪いことはしてないはず』 各個人、特に男女による認識の違いは、明らかです。世代の違いによるムラもありますが、女性が見たら絶対にセクハラだと思うようなことが、男性には全く気付かれていない、それの際たるものが、冒頭に述べた財務次官だとも言えます。言葉遊びの感覚で、他人を卑下していることもあります。
『いつセクハラで訴えられるか分からないから、コミュニケーションは極力避けよう』 これでは、企業として正常な生産をあげることができません。女性の社会進出が促進されるこれからの時代、「コワイから話さない」では済まされません。 これからの社会を生き抜く方法を知れば、会社の中でも、自分の居場所を作ることに繋がります。「何がイエローカードなのか」を知ることが、あなたがこれまで築き上げてきたキャリアを守ることにもなるのです。アウトになってしまう前に、身辺を見直してみませんか?」

 

 本書の「目次」は、以下の構成になっています。

はじめに「日本はハラスメント後進国です」
「日本企業はグローバル・スタンダードから20年遅れ」
第1章 ハラスメントを気にする男たち
第2章 女性から見たハラスメント
    営業女性怒りの覆面座談会
第3章 財務省セクハラ事件とは何だったのか?
第4章 企業の懲戒はどう決まるのか?
    五味祐子弁護士×白河桃子
第5章 #MeToo以降のハラスメント対策最新事情
    組織がハラスメントをアンラーニングするために
第6章 同質性のリスクは組織のリスク
「おわりに」
「主な参考文献」

 

 「セクシャル・ハラスメント」という言葉が新語・流行語大賞の新語部門・金賞になったのが1989年。それ以来の大きな分岐点、それが事務次官が辞任表明した日でした。「ハラスメントをしても仕事ができる人」は「仕事はできてもハラスメントで会社にリスクをもたらす人」になったのです。「はじめに」で、著者は以下のように述べています。
「ハラスメントは『人権問題』でもあり、職場の生産性、リスクマネジメント、人材獲得に関わる重大問題です。人権といってもピンとこない男性こそ、もしかしたら『職場で家庭で人間として扱われていない』のかもしれません。でもそんな時代も終わりです。仕事という枠に人間を当てはめる仕事中心のマネジメントから、個々をありのままに大切にする『人間中心』のマネジメントへ。時代は動いていきます。企業はそうしないと生き残れないからです」

 

 第2章「女性から見たハラスメント」では、著者は以下のような文章を紹介しています。
「イリノイ州立大学の、セクハラ研究のパイオニアといわれるジョン・プライヤー教授は、ワシントンポストの記事の中で、セクハラをする人には3つの共通した特徴があると述べている。3つとは、(1)共感力の欠如、(2)伝統的な性別の役割分担を信じている、(3)優越感・権威主義だ。そのうえで、プライヤー教授は「(セクハラを行う人を)とりまく環境も大きく影響している」と指摘している。そうした傾向のある人を、そういったことが許される環境に置けば、歯止めが利かない。Impunity(免責状態)にあることが、(セクハラを行うか行わないかに)大きく関連する。(岡本純子「エリート官僚がセクハラを否定する思考回路」『東洋経済オンライン』2018年4月24日)」

 

 第3章「財務省セクハラ事件とは何だったのか?」では、著者は以下のように述べています。
「スーパースター(とびきり有能な人)が組織にもたらす利益よりも『有害な人材』がもたらすデメリットのほうが大きい。これは『マイナスの影響はプラスよりも大きい』という法則にもあっています。
ではスーパースターがセクハラ人材だった場合はどうなのでしょう? 『有害な人材』は結構仕事ができたりもします。それでもやはり『有害人材』のマイナス面が大きいのです。財務省の事件を見れば一目瞭然ですね。財務省の評判は地に落ち、また適切な対処ができなかったテレビ朝日も傷つきました。被害者はもちろん、関わる組織全体のモチベーションが落ちます。国会は停滞し、大変なリスクです。これも『ハラスメントをする人』を『仕事ができる人』として重用していたからです」

 

 第4章「企業の懲戒はどう決まるのか?」では、「企業、キャリアにとってハラスメントはなぜリスクか」として、「♯MeTooからの時代の流れ、そして法改正があり、今後、企業や働く人はどんなことを心得ておくべきでしょう?」という著者の質問に対して、五味祐子弁護士が以下のように答えています。
「まず、時代は変わっていることを認識すること。ハラスメントは企業にとっても、個人にとっても大きなリスクです。まず、企業にとっては、職場環境の悪化、生産性の低下、企業イメージの低下、人材確保への悪影響......。企業の不祥事の背景としてパワハラが指摘されています。パワハラは、部下を不正に追いやり、不正の温床にもなります。こうしたリスクを冷静に見極めている会社は変わらなくてはいけないと感じています。旧態依然としていた企業でも、この1、2年でずいぶんと意識が変わっています。自らパワハラ体質と言っていた会社が、『グループ全体でパワハラ研修をやります』と言い、実行しています」

 

 第5章「#MeToo以降のハラスメント対策最新事情」では、「求められる管理職の多様性」として、著者は以下のように述べています。
「教育、雇用などの社会的機会の平等が求められる欧米からすれば、『男性だけの同質集団』は時代遅れで「リスクがある」ものに映るでしょう。海外のクライアントが、同じような年齢、性別の集団しか出てこない企業に対して『取引するのをやめておこうか』『投資をやめよう』とためらう可能性は大いにあります。それほどに『同質性』のリスクは『日本型組織』の脆弱性として、看過できないものになっているのです」

 

 第6章「同質性のリスクは組織のリスク」では、「日本社会の同質性の高さ」として、著者は以下のように述べています。
「なぜ今、多様性が必要なのでしょう。それは、日本の組織における同質性のリスクが無視できないほど高いものになっているからです。ある組織の管理職層のハラスメント研修の写真を見たら、座席を埋めるのは9割が男性。しかも、彼らは前から年功序列で座っています。こうした景色を見るだけでも、日本の組織内で大事な決定をしている層が、ほとんど「同質な男性」で占められていることがわかります。同質とは『性別、年齢、学歴、社歴(転職経験者があまりいないのも、日本の保守的な組織の特徴です)』などです」

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礼を求めて』(三五館)

 

 わたしは、ハラスメントの問題とは結局は「礼」の問題であると考えています。「礼」とは平たく言って「人間尊重」ということです。この精神さえあれば、ハラスメントなど起きようがありません。日本では、まだまだ「人生意気に感ずるビジネスマン」が多いとされます。仕事と同時に「あの人の下で仕事をしてみたい」と思うビジネスマンが多く存在します。そして、そう思わせるのは、やはり経営者や上司の人徳であり、人望であり、人間的魅力ではないでしょうか。会社にしろ、学校にしろ、病院にしろ、NPOにしろ、すべての組織とは、結局、人間の集まりにほかなりません。人を動かすことが、経営の本質なのだ。つまり、「経営通」になるためには、大いなる「人間通」にならなければならないのです。

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孔子とドラッカー新装版』(三五館)

 

 今から約2500年前、中国に人類史上最大の人間通が生まれました。言わずと知れた孔子である。ドラッカーが数多くの経営コンセプトを生んだように、孔子は「仁」「義」「礼」「智」「忠」「信」「孝」「悌」といった人間の心にまつわるコンセプト群の偉大な編集者でした。彼の言行録である『論語』は東洋における最大のロングセラーとして多くの人々に愛読されました。特に、西洋最大のロングセラー『聖書』を欧米のリーダーたちが心の支えとしてきたように、日本をはじめとする東アジア諸国の指導者たちは『論語』を座右の書として繰り返し読み、現実上のさまざまな問題に対処してきたのです。

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ハートフル・ソサエティ』(三五館)

 

 わたしは、2001年10月に冠婚葬祭会社の社長に就任しましたが、ドラッカーの全著作を精読し、ドラッカー理論を忠実に守って会社を経営していると自負してきました。彼の遺作にして最高傑作である『ネクスト・ソサエティ』を読んで感動し、これをドラッカーから自分自身に対する問題提起ととらえ、『ハートフル・ソサエティ』というアンサー・ブックを上梓したほどです。また、わたしは40歳になるにあたって「不惑」たらんとし、その出典である『論語』を40回読んだ経験を持ちます。古今東西の人物のなかでもっとも尊敬する孔子が開いた儒教の精神を重んじ、「礼経一致」の精神で社長業を営んでいます。

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ハートフル・カンパニー』(三五館)

 

 わが社は冠婚葬祭業ですが、一般には典型的な労働集約型産業と思われています。これを知識集約型産業とし、さらに「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」といったものが集約された精神集約型産業にまで高めたいと願っています。会社というものは社会のためにあります。ハートフル・ソサエティを実現するためには、まずわが社がハートフル・カンパニーとならなければなりません。「ハラスメント」などという単語は最も「ハートフル」に反するものであり、「ハートレス」と同義語と言ってもいいでしょう。