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渋沢栄一 100の言葉』

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No.1748


 参議院選挙が行われた日、『渋沢栄一 100の言葉』津本陽監修(宝島社)を再読しました。一条真也の読書館『渋沢栄一 巨人の名語録』『渋沢栄一 100の訓言』で紹介した本と同じく、1万円札の新しい顔になることが決まった渋沢栄一の名言集です。「日本資本主義の父」と呼ばれた彼は、『論語』の言葉を日常生活の基準とし、実業経営上の金科玉条としました。先日、儒教研究の第一人者である中国哲学者の加地伸行先生と電話でお話したのですが、「渋沢栄一の論語の理解は本物です」と高く評価されていました。 

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本書の帯

 

 カバー表紙には渋沢栄一の顔写真が使われ、帯には「個人が富もうとしないで、どうして国家が富むことができるのか」「日本資本主義の父のお金・仕事・人生哲学」「1万円札の新しい顔!」と書かれ、新1万円札も登場しています。

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本書の帯の裏

 

 カバー前そでには、「経済に国境なし。いずれの方面においても、わが知恵と勉強とをもって進むことを主義としなければならない。」と書かれています。
 また、カバー後そでには以下のように書かれています。
「日本資本主義の父と呼ばれ、経済界の発展に尽力した渋沢栄一。現代経営学の祖ドラッカーもまた魅了された人間のひとりだ。『すべて世の中の事は、もうこれで満足だという時は、すなわち衰える時である』明治・大正・昭和と激動の近代日本を駆け抜けた稀代の実業家の箴言集」

 

 本書の「目次」は、以下の構成になっています。

「渋沢栄一の生涯」津本陽

第1章 経営と実業

第2章 国家と社会

第3章 教育と人生

第4章 成功と失敗

「年譜」

 

 一条真也の新ハートフル・ブログ「論語と算盤」で紹介した言葉を信条として、渋沢栄一は、多くの企業を創りました。現在も存続している企業も多いです。例えば、王子製紙、東京海上保険(現東京海上日動火災保険)、日本郵船、清水建設、東京電力、東京瓦斯(現東京ガス)、東京石川島造船所(現IHI)、帝国ホテル、東京製鐵、札幌麦酒会社(現サッポロビール)、帝国劇場(現東宝)、日本興業銀行(現みずほ銀行)、東京貯蓄銀行(現りそな銀行)、横浜正金銀行(現三菱東京UFJ銀行)、浅野セメント(現太平洋セメント)、川崎重工、日本鉄道会社・北越鉄道(現東日本旅客鉄道)、大阪紡績(現東洋紡)......など。

 

 まさに渋沢栄一こそは「日本資本主義の父」であると呼ぶにふさわしい巨人ですが、いわゆる財界活動についても、渋沢栄一は先覚者でした。東京商法会議所(現東京商工会議所)の創立に関わっていますし、東京株式取引所の創立委員でもありました。ちなみに、現在の取引所は兜町の旧渋沢邸の敷地内に隣接しています。
 さらに、渋沢栄一は教育・慈善活動も熱心に行いました。
 1874年(明治7年)に東京養育院を創立し、そのトップとして実に56年、年数では第一国立銀行頭取よりも長く務めています。その他にも、一橋大学、東京女学館、日本女子大学、早稲田大学、二松学舎大学、聖路加国際病院、東京慈恵会医科大学付属病院、日本赤十字社、国際平和議会などの設立に尽力しました。

 

 本書には100の渋沢栄一の言葉が収められています。
 中でも、わたしに強い影響を与えたものを紹介したいと思います。全体の1割にあたる10の訓言を紹介しますが、本書には訓言のみならず、その現代語訳、さらには著者による的確な解説も掲載されています。ぜひ、実物をお読み下さい。

 

 

 公益となるべきほどの私利でなければ真の私利と言われない。(『渋沢栄一訓言集』より)

 

 

 汽船を動かすのは、石炭、石油等の燃料がなくてはならない。商業もしくは事業の経営には、智者および道徳がなくてはならない。(『渋沢栄一訓言集』より)

 

 

 本当の商業を営むには私利私欲ではなく、公利公益であると思う。(『青淵百話』より)

 

 

 どのような時代にも仁と義と利とは並行するものであり、決して相反するものではないと私は信じている。
(『青淵百話』より)

 

 

 新しき時代には

 新しき人物を要請して

 新しき事物を処理せねばならない。

(『青淵百話』より)

 

 

 論語の教義を守ってきたために、こんな不都合がある、あんな不条理に出会ったというように感じたことは、いまだに一回もなかった。(『青淵百話』より)

 

 

 未来を考えるには、過ぎ去った過去を見るのがよい。(『青淵百話』より)

 

 

 人と接するには必ず敬意を表し、宴会で楽しんだり遊んだりするときでも礼儀を欠くことがあってはならない。
(『青淵百話』より)

 

 

 人格がどうであるかは人間にとって最も大切なことである。(『青淵百話』より)

 

 

 正義の人道を踏んで失敗したならば、私はむしろ失敗により安心を得るつもりである。(『青淵百話』より)