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あなたの愛人の名前は』

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No.1744


 『あなたの愛人の名前は』島本理生著(集英社)を読みました。『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞した若手女流作家の受賞第一作です。「サンデー新聞」に連載中の「ハートフル・ブックス」で取り上げる小説をネットで探していたところ、本書を見つけました。そのタイトルに惹かれたのです。 

 

 著者は1983年生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。2018年『ファーストラヴ』で第159回直木三十五賞受賞。『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『よだかの片想い』『イノセント』『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』など著書多数。

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本書の帯

 

 本書の帯には「今、この瞬間に深く、深く、理解されていればいい。たとえ恋じゃなくても」「直木賞受賞第一作」「すれ違う大人の心情を繊細に描く全6篇の作品集」と書かれています。

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本書の帯の裏

 

 また帯の裏には、以下のように書かれています。
「『きちんと』愛してくれる婚約者のもとに、浅野さんから無理やり身体を離して帰る。ただひたすらに『この人』が欲しいなんて、これまで経験したことがない。......『あなたは知らない』
 月に一、二回会う関係の瞳さんは、家に男の人がいる。彼女を前にすると、女の人はどれくらい浮気相手に優しいものなのか、思考がとまる。......『俺だけが知らない』
 二人の心をそれぞれの視点から描いた一対の作品。他の収録作に『足跡』『蛇猫奇譚』『氷の夜に』『あなたの愛人の名前は』」

 

 短編小説の内容を詳しく書くのは野暮なので控えますが、どの作品にもパートナー以外に愛を求めざるをえない心が満たされない男女が登場します。もちろん不倫や浮気をするのは肉体的な性欲もあるのでしょうが、それ以上に精神的な飢餓感のようなものを感じました。誰でも、「自分を認めてほしい」「必要とされたい」「愛されたい」と願っているのでしょう。読みながら、テレサ・テンの「愛人」が頭の中で流れていました。

 

 それにしても、「愛人」という言葉には、つねに哀愁が漂っています。女性が愛人になることも、男性が愛人を持つことも哀しみや愁いと無縁ではいられないのでしょう。本書を読んでいると、「不倫をする女性は、こんなことを考えているのか」「こういう状況で、女性はこんなことを思うのか」といった女心を知ることができて、勉強になりました。最後に、内容的に見て、読者に主婦の多い「ハートフル・ブックス」で取り上げるのは止めておこうと思いました。