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志を教える』

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No.0851

 

 『志を教える』上甲晃著(致知出版社)を再読しました。

 松下政経塾を経て、志ネットワーク・「青年塾」を立ち上げた著者が、松下幸之助の人づくりを中心に「志」について熱く語ります。

 

 著者が青年たちを育てる上で最も重きを置いているのは「人間教育」です。即戦力を必要とする時代に、「人間の価値を高める教育」は、いかにも遠回りだという意見もあります。しかし、著者は「人間としての根っこが貧弱であったり、腐っていたのでは、いかなる知識や技術も生きてこない」と確信しています。 

 

 「どんなに遠回りに見えても、我慢して、人間の根っこ、すなわち人間力を高める教育を進めなければ、日本の将来はない」と言い切る著者は、ひたすら、「長持ちする人を育てる」ことを願っているといいます。「長持ちする人」とは、「あの人の知識や技術やもう古くて使いものにならない。しかし、あの優れた人間性、立派な人格は捨て難いものだ」と言われる人」です。

 

 さて、志には3つの条件があると、著者は述べます。

 

 「人生のテーマを持つ」「生きる原理原則を持つ」「言行一致」です。これは、著者が作家の小島直記氏に学んだものだとか。それでは、著者自身が青年塾をつくった志とは何か。
これも3つの理由があるといいます。すなわち、「日本人の政治意識を変える」「若者の目に力を取り戻す」「世代としての責任がある」です。

 

 わたしが若い人に「志」について語るならば、ぜひ次のことを伝えたいです。志というのは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値するのだ、と。「志なき者は、虫(無志)である」と吉田松陰は喝破しました。これをもじれば、「志ある者は、無私である」と言えます。平たく言えば、「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。

 

 自分ではなく、世の多くの人々。「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」。この違いが、とてつもなく重要なのです。

 

 企業もしかり。もっとこの商品を買ってほしいとか、もっと売上げを伸ばしたいとか、株式を上場したいなどというのは、すべて私的利益に向いた夢にすぎず、そこに公的利益はありません。社員の給料を上げたいとか、待遇を良くしたいというのは、一見、志のようではありますが、やはり身内の幸福を願う夢であると言えるでしょう。真の志は、あくまで世のため人のために立てるもの。

 

 いずれにせよ、かつて、「志では飯が食えん」などと言われ、死語とされていた「志」が甦りつつあるようです。これから、大いなる「志」の時代がやってくる・・・。そんな予感に、わたし自身もワクワクしています。