No.0578 人間学・ホスピタリティ 『人生は「引き算」で輝く』 野口嘉則著(サンマーク出版)

2012.04.08

 「人間学の専門家」こと野口嘉則さんから新刊が送られてきました。『人生は「引き算」で輝く』(サンマーク出版)という本です。

 野口さんは、ミリオンセラー『鏡の法則』(総合法令)の著者です。これまで、『3つの真実』、『心眼力』、『僕を支えた 母の言葉』など、野口嘉則さんの著書をこの読書館でもご紹介してきました。

 本書の帯には「失うことを 怖れなくていい どんなときも 命が喜ぶ 生き方がある」と大きく書かれています。また、「『鏡の法則』『心眼力』のベストセラー作家が書き下ろす人生に光を見いだす希望の物語。」とも書かれています。

 帯の裏には「あなたにとって最も大切なものは何ですか?」「あなたは何に価値を置き、何をよりどころにして生きますか?」と記され、カバーの折り返しには「等身大の自分で生きていく覚悟」と記されています。 

 全部で93ページと薄い本です。また、読みやすく大きな活字で書かれています。ですから、わたしは30分もかからず読了しました。

 でも、とても内容の濃い本で、わたしは「ここまで深遠な内容をわかりやすく書けるなんて、やっぱりミリオンセラー作家だなあ」と感心してしまいました。

 『鏡の法則』や『3つの真実』と同じく、本書はフィクションというか、一種の「寓話」になっています。つまり、そこにはストーリーがありますので、詳しい内容を書くと「ネタバレ」になるため控えます。

 「あとがき」で、野口さんは、生け花とか枯山水とか短歌や俳句といった日本の伝統文化に見られる「引き算の美学」こそ、現代を生きるわたしたちに生き方のヒントを与えてくれると述べています。そして、野口さんは続けて次のように書いています。

 「貧しかった時代から私たちは、物質的な豊かさを求めて、量的な拡大や成長を目指して、足し算を重ねてきました。その結果、日本の社会はたしかに豊かになったわけですが、「では日本人は精神的にも豊かになったのか?」「日本人の幸福度は高くなったのか?」と問われると、イエスと即答できないのが現状です。
 今こそ私たちは、『拡大から成熟へ』『成長から成熟へ』と、意識の方向をスイッチ・チェンジする必要があると思うのです。量的な拡大から質的な充実への、数字で表せる成長から数字で表せない成熟へのパラダイム転換をすることが求められていると思うのです。そして、充実・成熟志向で生きていくためには、『引き算の美学』の実践が必要となってくるのです」

 わたしは、野口さんの書かれている文章を読んで、もうすぐ刊行される『ブッダの考え方』(中経の文庫)の「あとがき」に通じる内容だなと思いました。また、「『はひふへほ』の法則」の内容にも明らかに通じています。

 野口さんによれば、「引き算の美学」を実践することは、最も大切なものを最も大切にして生きるということだそうです。また、真に幸せな人生を生きるということであり、自らの人生に揺るぎない中心軸を確立するということでもあるそうです。そして、それをやっていくうえで非常に重要なことがあります。それを、野口さんは次のように教えてくれます。

 「それは、自分にとって何が最も大切なものであるかを明確にするということです。大切なものが明確になってはじめて、余計なものが何であるかもわかるし、そのことによって引き算を遂行していくことができるからです」

 本書は、東日本大震災の後を生きるすべての日本人にとって希望を与えてくれる幸福の物語です!

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