No.0282 人間学・ホスピタリティ 『人生を創る言葉』 渡部昇一著(致知出版社)

2011.02.28

 『人生を創る言葉』渡部昇一著(致知出版社)を再読しました。

 講談社が戦前に発行していた雑誌『キング』の付録から、著者が自分の記憶に残っている名言とエピソードを取り上げて、所感を加えたものです。

 さすがは、戦前の志ある少年たちを育てた国民誌が選んだ言葉だけあります。

 どれもこれも、じつに深い味わいがあるのです。

 ソクラテス、コロンブス、ナポレオン、リンカーン、エジソン、親鸞、徳川家康、宮本武蔵、吉田松陰などなど、古今東西の偉人たちがオールスターで登場するさまは圧巻です。

 でも、わたしが気に入った言葉には、「仕事」に関するものが特に多かったです。

 たとえば、「安いからといって仕事を粗末にすると、自分の良心を損しなければなりません」(ある大工)

 「命じられた仕事はなんでもしろ。生き生きと嬉しそうに、熱心にするのだ。それが済んだら、すぐ他に仕事がないかと見回すのだ(ベッドフォード)

 「職業はなんでもいい、ただ第一人者たるを心掛けよ」(カーネギー)

 「商人が商人として立派になろうとするには、人として立派なことをすることを世渡りの方針にしなければならない」(新渡戸稲造)

 講談社文化は、青少年に「修養」の大切さを説き、「偉くなり方」を指南する文化でした。

 今では「偉くなる」というと、何だか嫌らしい感じを持つ人もいるようですが、万人が自らの道で努力を重ね、向上していくことは正しいことに決まっています。

 そして、誰にでも自分に合った成功への道があるのです。

 偉くなるには、仕事において努力するしかありません。

 仕事に関する名言が多いのは当然だと言えるでしょう。

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