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「天国」と「地獄」がよくわかる本』

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No.1714


 34冊目の「一条真也による一条本」は、『「天国」と「地獄」がよくわかる本』(PHP文庫)です。2009年8月に刊行された監修書で、クリエイティブ・スイートの編著です。本書は、死後の世界のガイドブックです。

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『「天国」と「地獄」がよくわかる本』(2009年8月刊行)

 

 一条真也の読書館『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』で紹介した本と同じく、長野剛画伯がイラストを担当しています。帯には「待っているのは、至上の楽園か? 魂の牢獄か?」と書かれています。 

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本書の帯

 

 また帯の裏には、以下のように書かれています。
【天国】
終末の前に訪れる平和と調和の地上世界――千年王国
北欧神話における戦死者のための天国――ヴァルハラ
平和で牧歌的なエジプトの天国――セヘト・イアル
破壊神シヴァが瞑想する、「水晶の天国」――カイラス山
【地獄】
炎と氷と蛆虫に苦しめられる魂の牢獄――ゲへナ
深淵そのものであり、奈落の王でもある魔神――アバドン
天国へ行く前に通る試練の冥界――ドゥアト
出雲地方に伝説が残る、日本の冥界の入り口――黄泉国

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本書の帯の裏

 

 カバー裏には、以下の内容紹介があります。
「誰しも一度は思い浮かべる、『人は死んだらどうなるのか?』という問いかけ。この"人類永遠のテーマ"に答えるべく、多くの宗教や神話が生まれたと言っても過言ではない。 本書は、『神の都市国家:天上のエルサレム』『最下層の転生場所:八大地獄』など、 古今東西の天国と地獄を美麗なイラストと共にやさしく解説。生きている今だからこそ覗いてみたい、"死後の世界"の数々。文庫書き下ろし」

 

本書の「目次」は、以下のようになっています。
「アートでみる『天国』と『地獄』」
まえがき「何はともあれ、天国と地獄を信じよ!」(一条真也) 
【天国編】 
第1章 西方世界の天国 
ヨーロッパ、アメリカ世界における"十地十色"の天国観
●終末の前に訪れる平和と調和の地上世界 千年王国
●天国に身を置く、神の使いの四大頭  
ミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエル
●「配偶者のある国」という意味をもつ場所 ベウラの地
●原初の人間アダムとイヴが住んでいた「地上の楽園」 エデンの園
●神がつくり出し、楽園に住まわせた最初の人間 アダムとイヴ
●天界に用意されている神の都市国家 
天上のエルサレム(新しいエルサレム)
●宇宙の外側に位置する光り輝く世界 至高天
[コラム]映画のなかの天国 天国から来たチャンピオン
●ハデスが治める冥界の、さらに奥にある神秘的な場所 
エリュシオンの野と至福者の島
●ハデスに仕える地獄の門番と3つ首をもつ番犬 カロンとケルベロス
●北欧神話における戦死者のための天国 ヴァルハラ
●優秀な戦士をかき集める北欧の最高神 オーディン
●アーサー王も訪れた妖精が住む異界の島 アヴァロン
●聖剣エクスカリバーをもつ、ヨーロッパの英傑 アーサー王
[コラム]映画のなかの天国 天国への階段
●アメリカ先住民たちの死後の世界 日没の国
●アメリカ先住民族モハベ族の神聖な山 ホワイト山脈 
第2章 東方世界の天国 
広大な東洋の死生観が、さまざまな天国を生み出す
●聖人が最後の審判を待つ「歌の家」 ガロー・デマーン
●悪を駆逐して善を貫く、万能神と光の精霊 アフラ・マズダーとミトラ
●処女の妻が与えられる、男性にとっての天国 ジャンナ
●現世の苦労から解放されるが、享楽のない地下の冥界 シェオール
●平和で牧歌的なエジプトの天国 セヘト・イアル
●ナイルより生まれ出た、万物の王にして救世主 オシリスとイシス
●天界と地上を結ぶ、仙人の住まう山 崑崙
●恐ろしい怪物から美貌の仙女に 西王母
●阿弥陀仏が主宰する西方浄土 極楽
●天子が降臨し、帰っていく日本神話の天国 高天原
●破壊神シヴァが瞑想する、「水晶の天国」 カイラス山
●ガンジスの源流という意の最高神 シヴァ
●神々が暮らす、仏教世界の中心的楽園 メール山
[コラム]映画のなかの天国 丹波哲郎の大霊界
●「ハワイ」の語源にもなった南国の楽園 ハワイキ 
●神がつくった6番目の創造物。地下にある天国 スワヒリの楽園
●神が舞い降りるアフリカの霊峰 ケニア山 
【地獄編】 
第3章 西方世界の地獄 
「異界」から「刑罰の地」へ「西方世界の地獄」の変遷
●炎と氷と蛆虫に苦しめられる魂の牢獄 ゲヘナ
●地獄の最下層に封印されし魔王 ルシファー(サタン)
●深淵そのものであり、奈落の王でもある魔神 アバドン
●天国でも地獄でもない、冥府の中間地帯 辺獄(リンボ)
●選ばれし人間・ロトの伝説に現われる悪魔 ベリアル
●生前の罪を炎で浄化する、魂の修練の場 煉獄
●地上の現実世界こそが絶望の地と考えた神秘思想 
グノーシス派の地獄
[コラム]映画のなかの地獄 インフェルノ
●神々に懲罰を与える、無限の暗黒空間 タルタロス
●嫌々ながら冥界を支配した神々のナンバースリー ハデス
●オーディンのヴァルハラに迎えられない魂の行き場所 
ヘルとニヴルヘイム
●大蛇ヨルムンガンドや白狼フェンリルの父親と女王 ヘルとキロ
●ケルト神話に登場する地の底の異界 アンヌン
●古代メソポタミア文明の冥界 不帰の国(エレシュキガルの宮殿)
●仲むつまじく冥界を支配する女王と王 エレシュキガルとネルガル
●山の頂にある地獄の入り口 ピエトローシュ 
●アイルランドに実在するとされる冥界 聖パトリックの煉獄
●古代マヤ文明に伝わる死後の世界 シバルバ 
第4章 東方世界の地獄 
『死者の書』に描かれる代表的な地獄観
●地獄最下層で、最終的に魂の救済がなされる地獄 
ドルージョ・デマーン
●アフラ・マズダーの創造物を破壊し尽くす暗黒神 アフリマン
●天国へ行く前に通る試練の冥界 ドゥアト
●エジプトにおける最強最悪の死神 アンムト
●唯一神アッラーの罰は、逃れられない炎 ジャハンナム
[コラム]映画のなかの地獄 地獄の黙示録
●日本人になじみ深い、三途の川のほとり、地獄の入口 賽の河原
●出雲地方に伝説が残る、日本の冥界の入り口 黄泉国
●共同作業で国をつくった、日本初の夫婦の行く末 
伊耶那岐命と伊耶那美命
●古代中国の死後の魂の置き場所 黄泉
●灼熱の炎に包まれ、永遠の熱ぜめにあう、広大な地獄 八大地獄
●冥界に君臨する、第5の裁判官 閻魔
●巨人の像で世界を表わし、下半身が地獄 ジャイナ教の地獄
●パプア島に伝わる、多種多様の地獄観 ヒヨヤ
●太平洋の熱帯地域に伝わる、魂が消滅する場所 アディリ
●偉大なる暗黒の女神の女陰に忍び込む娘 ポ
「参考文献」

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アートでみる「天国」と「地獄」

 

 あなたは、あの世を信じますか?
 あの世を信じること、つまり「来世信仰」は、あらゆる時代や民族や文化を通じて、人類史上絶えることなく続いてきました。紀元前3500年頃から伝えられてきた『エジプトの死者の書』は、人類最古の書物とされています。その中には、永遠の生命に至る霊魂の旅が、まるで観光ガイドブックのように克明に描かれています。同じことは『チベットの死者の書』にも言えますし、また、アメリカの先住民族のあいだでは、社会生活の規範として生者と死者の霊的な一体感が長く伝えられてきました。

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千年王国

 

『聖書』や『コーラン』に代表される宗教書の多くは、死後の世界について述べていますし、世界各地の葬儀も基本的に来世の存在を前提として行なわれています。日本でも、月、山、海、それに仏教の極楽がミックスされて「あの世」のイメージとなっています。
 人間は必ず死にます。では、人間は死ぬとどうなるのか。死後、どんな世界に行くのか。これは素朴にして、人間にとって根本的な問題です。人類の文明が誕生して以来、わたしたちの先祖はその叡知の多くを傾けて、このテーマに取り組んできました。哲学者たちも、死後について議論を闘わせてきました。古代ギリシャのソクラテスやプラトンは「霊魂不滅説」を説いています。その他にも、プロティノス、ライプニッツ、カント、フーリエ、ベルグソンといった高名な哲学者たちが、死後の世界を論じました。

 スピリチュアルの歴史において最大の巨人とされる人物にエマニュエル・スウェデンボルグがいます。18世紀のスウェーデンに生まれた霊能力者ですが、彼の著書『霊界著述』や、さまざまな霊界通信は、死後の世界をいくつかの界層に分けています。そのほとんどは、わたしたちの住む地上界を含めて七つの界層に分類しており、それぞれの界層についての描写もほぼ同じと言えます。そして、この世に近い界層ほど、この世に似ているのです。すなわち、地面があり、山があり、谷があり、小川が流れ、草木が茂り、花が咲き、動物が遊び、地上と変わらない人間の家々があるというのです。

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黄泉国

 

 この世界に普通の人間の霊魂が入ると、そこは望みのままの理想世界と化します。衣服こそあらかじめ霊格の高さと個性に合わせて決められていますが、それは柔らかく、優雅なものです。しかも同じ衣服をまとっている霊は2人といません。食事も望み通りのものが出てきます。いわば超エネルギーで構成された霊魂にとって、本来、食事は必要ありません。しかし、まだ地上の記憶が残っている死後間もない霊魂は食事にこだわるのです。望みの食事は欲求作用によって出現し、飽きてしまわない限り、どんな豪華な食事も美酒も、好きなときに、欲しいだけ手に入れられます。

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カイラス山

 

 住居についても同様であり、死後、霊魂は自分が憧れていた家で暮らしていることに気づきます。それは、彼を導く指導霊が彼の未発達な記憶の中から、彼が憧れていた世界のイメージを引き出し、死後の世界に投影してくれたものなのです。このようなスウェデンボルグの霊界観は、故・丹波哲郎氏をはじめ、霊界の実相を求めてやまない世界中の心霊研究家に大きな影響を与えてきました。

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セヘト・イアル

 

 世界中の宗教においても、最初はスピリチュアルな人々が説くのと同じ死後の世界観をもっていました。アフリカなどの原始宗教でも、この世とあの世はほとんど変わらない世界です。しかし、宗教が国家宗教、世界宗教へと成長していくにつれ、あの世の姿も変化していきます。おそらく哲学や他の宗教の影響を受けるのでしょう。ある意味では、宗教が成長するにつれて、身近だった死後の世界がファンタジックな世界へと「物語化」していくのです。

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天上のエルサレム

 

 その好例が、天国と地獄、あるいは地獄と極楽のような二元論的な死後の世界観です。多くの宗教、とくに仏教、キリスト教などの世界宗教は地獄を説きます。しかし、臨死体験者や霊界通信者の報告によれば、地獄という死者の霊が生前の悪行の報いとして責め苦を受ける場所など存在しません。あの世に入った初期の段階で、生前の行為に苦しめられる霊魂もいますが、それは自分の良心の反映としての幻覚に自ら苦しむのであり、審判者のようなものは存在しないのです。

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極楽

 

 一方の天国はどうでしょうか。多くの宗教では、天国は最も望ましい最終目標であり、霊的な旅の最終目的地とされています。しかし、ヒンドウー教、ジャイナ教、中央アメリカの宗教などでは、単に死と再生を永遠に繰り返すサイクルの一時的な場所であるにすぎません。
 天国を最も望ましい場所とする考えの中には、楽園のイメージが読み取れるものが多いことに気づきます。たとえば、仏教の極楽浄土です。そこには、底に金沙が敷きつめられた池があり、池には大きな蓮華が咲いており、池の周囲には階道があって、その上に金銀や宝玉でできた宮殿楼閣があるそうです。また、イスラムの天国には、木蔭の多い園、サラサラと流れる泉や池があるとのこと。

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八大地獄 

 

 この本には、これまで人類が想像した、あらゆる天国と地獄が紹介されています。いま、天国や地獄を信じる人は少なくなりました。昔の人々は信じていました。心の底から天国に憧れ、震えあがるほど地獄を恐れていました。天国や地獄を信じなくなった結果、人間の心は自由になり、社会は良くなったのでしょうか。いや、反対に人間の心の闇は大きくなり、社会は悪くなったのではないでしょうか。凶悪犯罪はさらに増加し、より残虐になっています。親が子を殺し、子が親を殺すような事件も多くなっています。まさに、Tonyさんが言われるように「ありえないことなどありえない」状況です。

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閻魔

 

 本書の刊行時、日本は未曾有の不況による貧困社会を迎えていました。日本人の心はますます荒廃するばかりであると憂えたわたしは、「良いことをすれば天国や極楽に行ける」「悪いことをすれば地獄に堕ちる」という素朴な人生観が再び必要なのかもしれないと訴えた。そして、わたしは「まえがき」の最後に、「何はともあれ、天国と地獄を信じよ!そして、限りある生を精一杯に人間らしく生きようではないか!」と書いたのでした。
「令和」への改元まで、あと5日です。