No.1566 人生・仕事 | 冠婚葬祭 | 幸福・ハートフル 『人生の四季を愛でる』 一条真也著(毎日新聞出版)

2018.06.22

 わが最新刊『人生の四季を愛でる』(毎日新聞出版)の見本が届いていました。サブタイトルは「『こころ』を豊かにする『かたち』」です。

   『人生の四季を愛でる』(毎日新聞出版)

 95冊目の「一条本」となります。本書には、「サンデー毎日」2015年10月18日号から2018年4月8日号までの2年半にわたって、「一条真也の人生の四季」として連載したコラムが集められています。手に取れば、連載中のさまざまな思い出が胸によみがえってきます。内容的に、わたしがこれまで書いてきた多くの文章のエッセンスが収められているように思います。

   本書の帯

 カバーは鈴木成一デザイン室のブックデザインに篠原かおり氏の装画で上品に仕上がっています。帯にはわたしの上半身の写真とともに、「儀式こそ人間らしい輝きの時」と大書され、「冠婚葬祭は、人生の味わいを深くしてくれる。豊富な経験と深い教養で、折々の儀式を語る珠玉のエッセー。」「『サンデー毎日』連載の大人気コラムが単行本化!」と書かれています。

   本書の帯の裏

 また帯の裏には、「はじめに」より以下の言葉が引用されています。

「『人生100年時代』などと言われるようになった。その長い人生を幸福なものにするのも、不幸なものとするのも、その人の『こころ』ひとつである。もともと、『こころ』は不安定なもので、『ころころ』と絶え間なく動き続け、落ち着かない。そんな『こころ』を安定させることができるのは、冠婚葬祭や年中行事といった『かたち』である」

   「サンデー毎日」2015年10月18日号

   本書では、1つのコラムが見開き2ページに!

 本書の「目次」は、以下のようになっています。

第1章 冠婚葬祭とは人生を肯定すること
冠婚葬祭とは人生を肯定すること
冠婚葬祭は文化の核
七五三で子や孫の成長を確認する
葬儀は人を永遠の存在にする
問われるべきは「死」ではなく「葬」である!
除夜の鐘と人生の旅立ち
正月に日本人について考える
成人式のルーツをさぐる
成人式をなめるなよ!
沖縄の新成人に学べ!
なぜ節分に厄を祓うのか
長寿祝いは人生の祝勝会
お雛さまのアップデート
「むすびびと」のミッション
「ナシ婚派」は情報不足?
それでも結婚式は必要だ!
七夕の夜は夫婦仲良く!
入棺体験で生まれ変わる!
お盆には先祖への感謝を
親子で結婚式を体験する
和婚で平和な結婚を!
葬式に迷う日本人へ
儀式は永遠に不滅である
北九州の成人式を変える!
花祭りにブッダの考え方を知る
冠婚葬祭互助会誕生の地を訪れる
沖縄の生年祝いに学ぶ
盆踊りで縁を結び直そう!
ご先祖さまへの贈りもの
ご先祖さまは最強の応援団!
絶対に失敗の許されない仕事
婚活パーティーで国難を乗り越える
仏壇ほどすごいものはない
地震が来たら仏壇の前に行け
簡易仏壇のすすめ
手元供養を知っていますか

第2章 涙は世界で一番小さな海
日本人は和を求める
ハロウィンは死者の祭り
創立記念日に新しい使命を考える
バリ島の葬儀は直接芸術だった!
クリスマスの秘密を知っていますか?
バレンタインデーに想うこと
ホワイトデーの夜はカラオケを
卒業式は笑顔で「さよなら」を
花見をするなら、死を想え!
入社式で新入社員に語ったこと
涙は世界で一番小さな海
「父の日」をお忘れなく!
五輪は世界最大の「まつり」
名画座の喜寿祝い
死を乗り越える映画
『風と共に去りぬ』の思い出
日本人には和が似合う
秋の夜長は本を読もう!
「いい夫婦の日」に思うこと
ミッショナリー・カンパニー
映画はタイムマシンだ!
カラオケで無縁社会を乗り越えろ!
大人の塗り絵ブームに思う
聖徳太子像の建立
『古事記』の舞台に感動
神話について考える
梅の花に平和を想う
サン・ジョルディの日に本を贈る
昭和といえばプロレスだ!
観光は銅像見学から
「花戦さ」を観て、慈礼を思う
日本は儒教国家ではないのか
はじめての『論語』
『般若心経』を自由訳する
古事記・論語・般若心経
『慈経』を知っていますか?
「こころの世界遺産」を読もう!
老いてこそ文化に親しむ
小倉から小笠原流を広める
茶道の古流を知っていますか?
茶室で人は平等になる
茶道と「おもてなし」
ジャパニーズ・ホスピタリティ
文庫化のクリスマス・プレゼント
横綱は神なのか?
「生活の古典」を大切に
日本仏教は破綻している?
大学で何を学ぶか

第3章 隣人愛に乾杯!
すごすぎる!教授退職記念講演
「隣人祭り」で無縁社会を乗り越えよう!
青木新門氏との出会い
永六輔さんの思い出
仏教者との対話
島田祐巳氏との対談
日本一の名脇役のいい話
隣人愛に乾杯!
愛で死を乗り越えた麻央さん
人が生き続ける歌舞伎
「ひよっこ」が描いた有縁社会

第4章 誰にも「人生の四季」がある
秋の夜長は月を見よ、死を想え!
インドで「人生の四季」を考える
死ぬまでにやっておきたいことは何か?
愛する人を亡くした人へ
五月はわたしの特別な月
同窓会でタイムトリップを!
人は老いるほど豊かになる
玄冬の門に向かって
「終活」ではなく「修活」と呼びたい
「人生の修活ノート」のすすめ
有終の美を飾らないということ
辞世の歌・辞世の句のすすめ
のこされた あなたへ
台北の孔子廟を訪れて
死は不幸ではない
宇宙に行ってみたい!
永遠の知的生活
誕生日に『論語』を読む
兵馬俑で考えたこと
自分のお墓をどうするか
小倉に落ちるはずの原爆
老福社会をつくろう!
呪いの時代に、祝いの光を!
親の年齢を知るということ
グリーフケアの言葉
また会えるから
死生観は究極の教養である
誰にも「人生の四季」がある

   「サンデー毎日」2018年4月8日号

   本書では、1つのコラムが見開き2ページに!

 冠婚葬祭も年中行事もいわゆる儀式文化ですが、わたしは儀式には力があると信じています。「かたち」には「ちから」があるのです。儀式が最大限の力を発揮するときは、人間の「こころ」が不安定に揺れているときです。
 まずは、この世に生まれたばかりの赤ん坊の「こころ」。次に、成長していく子どもの「こころ」。そして、大人になる新成人者の「こころ」。それらの不安定な「こころ」を安定させるために、初宮参り、七五三、成人式があります。

 結婚にまつわる「かたち」にも「ちから」があります。もともと日本人の結婚式とは、結納式、結婚式という2つのセレモニー、それに結婚披露宴という1つのパーティーが合わさったものでした。結納式、結婚式、披露宴の三位一体によって、新郎新婦は「夫婦」になる覚悟を固めてきたのです。今では結納式はどんどん減っていますが、じつはこれこそ日本人の離婚が増加している最大の原因であると思います。

 さらに、老いてゆく人間の「こころ」も不安に揺れ動きます。
 なぜなら、人間にとって最大の不安である「死」に向かってゆく過程が「老い」だからです。しかし、日本には老いゆく者の不安な「こころ」を安定させる一連の儀式として、長寿祝いがあります。

 そして、人生における最大の儀式としての葬儀があります。
 葬儀とは「物語の癒し」です。 愛する人を亡くした人の「こころ」は不安定に揺れ動きます。「こころ」が動揺していて矛盾を抱えているとき、儀式のようなきちんとまとまった「かたち」を与えないと、人間の「こころ」はいつまでたっても不安や執着を抱えることになります。葬儀は必要です。

 人の「こころ」は、人生のさまざまな場面での「かたち」によって彩られます。人には誰にでも「人生の四季」があるのです。その生涯を通じて春夏秋冬があり、その四季折々の行事や記念日があります。大切なことは、自分自身の人生の四季を愛でる姿勢でしょう。どうか、人生の四季を愛で、「こころ」を豊かにする「かたち」を知っていただきたいと思います。 
 『人生の四季を愛でる』は6月28日に発売です。
 どうぞ、お買い求め下さいますよう、お願い申し上げます。

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