No.1545 人生・仕事 | 冠婚葬祭 | 幸福・ハートフル | 恋愛・結婚 | 社会・コミュニティ | 神話・儀礼 『困難な結婚』 内田樹著(アルテスパブリッシング)

2018.04.05

 『街場の天皇論』内田樹著(東洋経済新報社)を読みました。
 著者は1950年東京生まれ。思想家、武道家(合気道7段)。神戸女学院大学名誉誉教授。東京大学文学部仏文科卒。『寝ながら学べる構造主義』『日本辺境論』『下流志向』をはじめ多くのベストセラーがあります。そして、本書のテーマは「天皇」です。といっても、はっきり「天皇論」として書かれているのは、2016年8月の天皇陛下の「おことば」をめぐるいくつかの文章だけですが。それでも、非常に興味深い論考でした。

   本書の帯

 本書の帯には、「ぼくはいかにして天皇主義者になったのか」「立憲デモクラシーとの共生を考える待望のウチダ流天皇論」と書かれています。
 帯の裏には、以下のようなウチダ流「天皇論」の見立てが並びます。

◆天皇の「象徴的行為」とは死者たち、傷ついた人たちと「共苦すること」である。◆「今」の天皇制システムの存在は政権の暴走を抑止し、国民を統合する貴重な機能を果たしている。◆国家には、宗教や文化を歴史的に継承する超越的で霊的な「中心」がある。日本の場合、それは天皇である。◆今上陛下は選択された血縁者のみではなく、すべての死者を背負っている。◆日本のリベラル・左派勢力は未来=生者を重視するが、過去=死者を軽視するがゆえに負け続けている。

   本書の帯の裏

 本書の「目次」は、以下のような構成になっています。

「はじめに」
1 死者を背負った共苦の「象徴」
わたしが天皇主義者になったわけ
改憲のハードルは天皇と米国だ
天皇の「おことば」について
天皇制、いまだ形成過程
「民の原像」と「死者の国」
「天皇制」と「民主主義」
安倍季昌さんと会う
僕が天皇に敬意を寄せるわけ
2 憲法と民主主義と愛国心
「大衆」の変遷
山本七平『日本人と中国人』の没解説
陸軍というキャリアパスについて
対米従属国家の「漂流」と「政治的退廃」
国を愛するとはどういうことなのか
改憲草案の「新しさ」を読み解く
―国民国家解体のシナリオ
「安倍訪米」を前にした内外からのコメント
―Japan Timesの記事から
歴史と語る
3 物語性と身体性
忠臣蔵のドラマツルギ―
世阿弥の身体論
武道の必修化は必要なのか?
いつかどこかで、ヒーローたちの足跡。山岡鐵舟
[特別篇]海民と天皇
「日本的状況を見くびらない」ということ
―あとがきにかえて

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