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日本の新宗教50 
完全パワーランキング』

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 No.1439


 『日本の新宗教50 完全パワーランキング』別冊宝島編集部編(宝島社)を読みました。「人脈力・資金力・政治力を全比較」というサブタイトルがついています。「寺院消滅」という言葉に象徴されるように、日本における伝統宗教のパワーダウンが指摘されていますが、新宗教の場合も深刻な信者減の問題に直面しているとされています。本書で、各教団の歴史や現状をコンパクトに知ることができました。

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   本書の帯


 本書の帯には、「『最強の教団』はどこか?」「信者数を伸ばす『真如苑』の秘密」「『幸福の科学』出版ビジネスの驚愕」「安定の『創価学会』桁違いの集票力」「50教団を徹底比較!」と書かれています。

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   本書の帯の裏


 アマゾンの「内容紹介」には、以下のように書かれています。


「その動員力と集金力を武器に日本の政治・経済に大きな影響を与えてきた新宗教。その歴史と現在地をレポートする。全体傾向として信者数は右肩下がりとなりつつも、いまだ影響力が大きい50の団体を取り上げる。
 創価学会、立正佼成会、霊友会、PL教団、幸福の科学・・・・・・話題となった日本会議もその運動の原点に『生長の家』出身者が関わっていたことで注目を浴びた。また現在、女優・清水富美加が『幸福の科学』への出家、芸能界引退で注目されている。芸能人と新宗教、集金のカラクリまで各団体の現状をコンパクトにまとめた完全保存版の一冊」

 本書の「目次」は、以下のような構成になっています。


「まえがき」
第一章 日本の新宗教
実力ナンバーワン決定戦(1)
「信者数」「資金力」「集票力」編
第二章 日本を動かす
ザ・新宗教ベスト10
第三章 私が観た「カリスマ」の素顔
第四章 知られざる実力派 進撃の新宗教ベスト15
第五章 日本の新宗教
実力ナンバーワン決定戦(2)
「有名人」「海外布教」「学校」編
第六章 日本をザワつかせる 過激な新宗教ベスト10
第七章 独自の存在感を放つ
「個性派」新宗教ベスト15

 「まえがき」の冒頭には、以下のように書かれています。


「いま、日本の宗教界はかつてない曲がり角を迎えている。
 たとえば伝統宗教の世界では、『葬式はいらない』といった言葉とともに、葬儀の場に僧侶を呼ばない人々が急増。『お寺の倒産』といった話も現実のニュースとして出てくるような状況になってきている。新宗教の世界でも、その"凋落傾向"はまったく同じだ。多くの教団で信者数の減少が止まらず、教祖の代替わりに際してもめごとが起こるなどといった事件も多発。また、よくも悪くも『政治家の心の師』といった形でニュースに登場し、社会を大きく動かしているといった"フィクサー的宗教者"なども、ほとんど見かけなくなっている。個人主義の台頭、その一方で気軽に人とつながれ、各種の疑問にも簡単に答えが見つかるIT時代の到来は、かつての宗教に求められていた『人生の悩みへの回答』『共同体の構築』といった機能を、確実に代替ないしは陳腐化しつつある」

 本書のユニークな点は、各教団の"実力"を表したレーダーチャートを示していることです。事実上、日本最大・最強の宗教団体である創価学会の力を「5」とし、それを基準に考えたものだとか。また、各教団の信者数の点数は『宗教年鑑』などに掲載される「公称信者数」ではなく、その「実態」から採点しているそうです。

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   公称信者数でのランキングは?(本書より)


 第一章「日本の新宗教実力ナンバーワン決定戦(1)『信者数』『資金力』『集票力』編」の「新宗教と信者数―立正佼成会、霊友会は20年間で半減! 『創価学会』827万世帯の真相は? "宗教消滅"時代に『真如苑』が一人勝ち」では、「やめていく人をカウントしていない!?」として、以下のように書かれています。


「一般に新宗教団体の公称信者数が誇大なものとなっていく理由として挙げられるのが、『やめていく人をカウントしていない』というものである。たとえば創価学会では、入会の際に本部から『御本尊』と呼ばれる、『南無妙法蓮華経』(創価学会が信奉する仏教経典「法華経」への賛辞)の文字を書いた掛け軸状の紙が与えられる。会員らはそれを各家庭において拝むのだが、『827万世帯』というのは、その御本尊をこれまで授与した総数なのではないかといわれているわけだ。その827万の御本尊を個別に追跡していけば、もはや創価学会を信仰していない家庭にあるもの、また跡継ぎもいないままなくなっていった家族に授与されたものなども相当数に上るはずである」

 また、創価学会に次いで多くの信者数を誇る「幸福の科学」については、以下のように書かれています。


「幸福の科学では、その根本経典である『正心法語』の累計発行部数が、そのまま公称信者数になっているらしいといったことがいわれている。『正心法語』は一般に販売されているものではないが、内部では信者が『友人知人に勧誘して回りますので』といって簡単に購入することができるようで、熱心な信者は日常の勧誘活動のために、常に手元に10数冊ほどストックしている例もあるようだ。ただ、彼らの勧誘が成功するか否かを問わず、幸福の科学側は『正心法語』の累計発行部数を見て、『信者数』として積み上げていく」

 さらに、真如苑について以下のように書かれています。


「真如苑は、信者たちに会員カードを持たせ、彼らが教団施設などに通う際、それを読み取り機に通させて、日常的に動きのある会員の数が実際にどれくらいなのか、かなり細かく把握しているとされている。その結果として公表されている現在の公称信者数は92.7万人。真如苑の公称信者数は近年に至っても毎年、微増ながらも増え続けており、いまや『日本を代表する勝ち組教団』と称されることも多い」

 創価学会、幸福の科学、真如苑以外の教団はどうでしょうか。「20年間で信者数が半減した立正佼成会と霊友会」として、こう書かれています。


「文化庁が毎年発行している『宗教年鑑』という資料がある。その名の通り、全国にある宗教法人の現況をまとめた統計資料だ。ここには毎年、各教団が自己申告したそれぞれの公称信者数が掲載されている。前述の通り、その数字が本当なのかどうかを外部から検証することはまったくできず、ゆえに毎年の『宗教年鑑』に載る各教団の公称信者数を合計すると、日本の総人口をはるかに超える2億~3億人といった数字が表れる」


「『宗教年鑑』の1996年版と、その20年後のものである2016年版を見比べて、その間に主要宗教団体の公称信者数にどれほどの変化があったのかを検証してみよう。まず立正伎成会は626.8万人が270.5万に。霊友会は250万人が129.5万人に。PL教団は118万人が89.5万人に。生長の家は87.6万人が49.6万人に。天理教は190.9万人が119.1万人に。そういった数字である」

 このデータについて、以下のような分析がされています。


「結局は個人主義社会の到来ということに尽きる。伝統仏教の世界では、『葬式はいらない』といったことが声高に叫ばれ、特に都市部では僧侶を呼ばずに葬儀を安く済ませたがる人々が急増している。葬儀のような『家族行事』に『無駄な時間やカネ』をとられることを、現代の日本人は極度に忌避するようになっている。そして宗教というのは、ある意味で家族や共同体といったものにこそ付随して存在している文化で、それは新宗教においてもそうは変わらない」


 うーん、島田裕巳氏の「『葬式は、要らない』への反論書である『葬式は必要!』の著者としては、この文章に対しては言いたいことは山ほどありますが、とりあえず先に進みましょう。

 そして、信者数については、最後に以下のように書かれています。


「現在ほとんど唯一の『勝ち組宗教』とされている真如苑は、『宗教年鑑』で見ると1996年の公称信者数は74.2万人。2016年では92.7万人。たしかに他宗教に比べ(それが事実かどうかの問題もあるが)、勢力を拡大している。真如苑とは、政治運動に乗り出すこともなく、信者を一堂に集めて何かのパフォーマンスを行うような行事も特に行わず、その『接心』と呼ばれる修行は、ある種、個人カウンセリングのようなものである。『勝ち組』の秘訣は、こうした個人主義への合致なのかもしれない」

 次に、資金力についてはどうか。「新宗教とカネ―真如苑、幸福の科学の"錬金術"とは? カネ集めは"広く薄く"がスタンダード ウワサの『金満教団』ビジネスモデル解剖」として、まずは日本最大の新宗教団体・創価学会について、以下のように書かれています。


「創価学会は『聖教新聞』という機関紙を持つが、この発行部数は公称550万部。現在、『毎日新聞』の発行部数が約300万、『日経新聞』のそれが約270万だというから、創価学会はこの2紙の合計に匹敵するような"巨大メディア"を内部に抱えていることとなる。『聖教新聞』の購読料は1カ月あたり1934円だから、この金額の新聞約550万部が1年にもたらす売上高とは、単純計算で約1276億円である。
 また、創価学会はこのほかにも『潮』や『第三文明』など数多くの機関誌を発行しており、多くの会員たちがそれらを講読している。総合して考えれば、創価学会には関係出版物の売り上げだけで『聖教新聞』2〜3個分の収入があるのではとの推計も十分に可能だ」

 続いて、真如苑はどうか。以下のように書かれています。


「2002年、東京都立川市と武蔵村山市にまたがる約106万平方メートルの広大な日産自動車工場跡地を739億円で購入したり、08年にアメリカでオークションに出された鎌倉時代の仏師・運慶作とされる仏像を約14億円で落札したりなどし、近年その"金満教団"ぶりが話題になる真如苑は、必ずしも派手な出版事業を営んではいないが、この教団の特徴的なシステムが『接心』である。
 『接心』は一種のカウンセリング的なものであるとされているが、信者が教団の施設におもむき、「霊能者」と呼ばれる上級の信者に向き合いながら瞑想をするという修行法の一種で、教団は定期的にこれを行うよう励行している。この接心のときに信者が教団へ払う布施が1回1000円だとされており、これも"広く薄く"のカネ集め方法だと見ることができるだろう」

 そして、何かと話題の幸福の科学は、以下のように書かれています。


「幸福の科学の"ビジネスモデル"とは、基本的には前述した出版事業だ。教団創始者にして現総裁・大川隆法の主著『太陽の法』は、1987年の出版以降、これまで1000万部が売れたとされている。
 教団系列の出版社・幸福の科学出版の書籍刊行スケジュールはまさに"怒濤のごとく"であって、ペースの早い時期にはほぼ毎日、何かの本を発行しているようなこともある。
 幸福の科学の"お家芸"は『霊言』と呼ばれるもので、歴史上の偉人やまだ生きている政治家や芸能人などの『守護霊』を大川隆法が呼び出して、その人の"本音"が大川の口を通じて語られる、というものである。幸福の科学内には、この大川の霊言を最速1週間内外で書籍化できるような体制が整っているようで、それらが"怒濤の出版"を支えている。その書籍をまた信者たちが"怒濤のように"購入することで、財政基盤を支えているのだろう」

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   新宗教の政治的スタンスは?(本書より)


 そして、各教団の政治力についてはどうか。「新宗教と政治力―『自公連立』で激変した政界地図 『集票力』低落傾向のなか桁違いの『創価学会』迷走"反創価"教団と『幸福の科学』の躍進」として、まずは最強の政治力を持つ創価学会について以下のように書かれています。


「創価学会は公明党という事実上の政治部門を持ち、政治と直接的に関わっている。しかもその組織力たるや、ここ数年の国政選挙で見ても公明党は全国から700万〜800万もの票を集めている。これにより『創価学会VSそれ以外の宗教団体』という対立軸が生まれ、要するにほかの教団は『政界において公明党へどういう対応をとるのか』という目線をベースにして、各々の"政治参画"の態度を決めるという流れが生まれている。もともと新宗教に限らず、そして視線を海外に転じてみても、宗教教団とは基本的に"保守"である。神仏を否定する革新勢力を、宗教者が応援するわけにはいかないからだ。ところが、日本においては1999年以降、公明党が自民党と連立を組んだ」

 この影響を最も大きく受けたのは、立正佼成会やPL教団が中心になってつくる新宗教団体の連合体「新日本宗教団体連合会」(新宗連、1951年結成)です。新宗連はもともと、創価学会と対抗するため、そのほかの新宗教が大同団結した組織という性格を持ちます。ゆえに自公連立の誕生前は自民党を支援してきましたが、現在では民進党の支援団体となりました。

 さらに、「自公連立」の影響について、以下のように書かれています。


「創価学会はもともと平和主義、憲法9条護持を訴えてきた組織であり、タカ派とはどうしても相性が悪い。また、創価学会は日蓮主義の立場から神社神道に否定的な立場をとり、靖国神社参拝を認めない点も両者の間に溝をつくっている。こうした状況下で創価学会の代わりに彼らに推薦を出し、票田としても機能しているとされるのが、霊友会や佛所護念会教団などの、保守的な性格を持ち、また新宗連にも加盟していない新宗教団体だ。霊友会は、長く石原慎太郎・元東京都知事の票田として活動してきた団体。現会長・末吉将祠の就任は2013年のことだが、彼の就任式は総理・安倍晋三の挨拶によって始まり、乾杯の音頭を取ったのは石原慎太郎であったと、霊友会公式ホームページは伝えている。また佛所護念会教団は、自民党を代表する保守論客として知られる参議院議員・山谷えり子を支援してきたことでも知られている」

 新宗教と政治との関わりについては、以下のように書かれています。


「宗教団体はどうして政治に関わるのか。一般的に『その政治的野心』といったことだけが語られがちだが、教団側の自己防衛意識という側面もある。創価学会やPL教団、大本など、戦時中に国家から弾圧されて、存亡の危機に追い込まれた新宗教団体は少なくない。そんな経験を2度としないためにも、政界と一定のパイプを構築しようとする意図が、政治に関わる教団の深層心理には確実にある」

 そして最後に、「"ニューカマー"幸福の科学の躍進」として、幸福の科学について以下のように書かれています。


「国政選挙において1度も当選者を出せていないのが現状ではあるが、集票力を着実につけているのも事実である。たとえば幸福実現党は、2016年の参院選において、1人の候補も当選させられなかったとはいえ、全国から約36万の比例票を集めた。参院選で絞って考えれば、同党が獲得した全国からの比例票は10年の選挙で約22万、13年の選挙で約19万であり、実は当選者こそ出していないものの、票は増やしている」

 以上、第一章の内容を中心にご紹介しましたが、第二章以降は、各教団の歴史や現状が詳しく書かれています。不透明な部分も多いのが宗教の世界ですが、じつに明快にわかりやすくまとめています。教祖のスキャンダルや黒歴史など、教団の資料からは絶対に知ることのできないエピソードも多く、大変興味深く読みました。日本人の信仰の「いま」を知るために、書斎のレファンレンス・コーナーに置いておきたいと思います。