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映画で読み解く「都市伝説」』

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 No.1307

 

  『映画で読み解く「都市伝説」』ASIOS著(洋泉社)を読みました。数々の超常現象や怪奇現象などの謎を解明してきたASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)が映画に挑んだ興味深い本です。映画の題材となった「UFO」「宇宙人」「超常現象」「陰謀論」の謎と真相が次々に紹介されます。

 

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    本書の帯

 


 本書のカバー表紙にはホラー映画の最高傑作「エクソシスト」のワンシーンが使われ、帯には「『悪魔祓い事件』『超能力』『アポロ計画の陰謀』『爬虫類人』『UFO』『宇宙人』『超古代文明』」「あの有名映画に登場する数々の都市伝説―その真相を知れば、もっと映画が楽しくなる!」とあります。

 

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    本書の帯の裏

 


 本書の「目次」は、以下のような構成になっています。

 

はじめに「映画と超常現象の意外な関係」

第1章 本当にあった「怖い事件」

『ディアトロフ・インシデント』

『悪魔の棲む家』

『エクソシスト』

コラム「EVP」 コラム・「『キリスト教』の多大なる影響下にあるアメリカ社会」

第2章 「超能力」と「古代文明」

『ヤギと男と男と壁と』

『リング』

『エリア0』

『ノア 約束の舟』

『ピラミッド 5000年の嘘』

第3章 「呪い」と「心霊現象」

出演者やスタッフたちに襲いかかる呪い

『スーパーマン』

『ポルターガイスト1・2・3』

『プロフェシー』

『アトゥック』

場面に映りこんだ心霊現象

『the EYE』

『青木ヶ原』

『感染』

『着信アリ』

『サスペリア』

第4章 妖しき「陰謀」の世界

『エージェント・ウルトラ』

『ジェイコブス・ラダー』

『カプリコン・1』

『アポロ18』

『ダ・ヴィンチ・コード』

『人類資金』

コラム「空を見ろ! アリだ! カマキリだ!!」

第5章 「UFO」と「宇宙人」

『インデペンデンス・デイ』

『V』

『アイアン・スカイ』

『MIB』

『コンタクト』

『フォース・カインド』

『2001年宇宙の旅』

コラム「宇宙人"グレイ"がついに脱ぐまで」

第6章 遥かなる宇宙

『ディープ・インパクト』

『アルマゲドン』

『ゼロ・グラビティ』

『オデッセイ』

「執筆者紹介」
  
 超常現象の懐疑的調査の専門家たちが書いただけあって、本書全体が「世界はこうしてダマされた!」的な内容になっています。 第1章「本当にあった『怖い事件』」では、世界で最も有名なホラー映画である「エクソシスト」が取り上げられ、疑似科学ウオッチャーの皆神龍太郎氏が「実話」とされた事件は、実際に起きた事件とは違っていたことを明らかにします。
  
 一般に言われていた「エクソシスト」の実話とは、以下のような話です。 1949年1月、メリーランド州マウントレイニア・バンカーヒルロード3210番地に住んでいたロビー・マンハイムという少年に悪魔がとり憑き、神父らの手で悪魔祓いが行われた。悪魔は映画のように少女にとり憑いたのではなく、実際には13歳の少年を狙ったわけです。原作者のブラッティが、モデルとなった少年のプライバシー保護のために、主人公を少年から少女に書き換えていたのです。日本でも、1998年8月にバラエティ番組「アンビリーバボー」が、「エクソシストの真実」として、この説を紹介しています。

 

 しかし、奇現象研究家のマーク・オプザスニックの追跡調査によって、この「3210番地」にはもともと老夫婦しか住んでおらず、13歳の少年などいなかったことが判明しました。この家がエクソシストの家とされた理由とは、見かけが「お化け屋敷」みたいに不気味であったからというのです。この家の様子は、「エクソシスト」にまつわる都市伝説を題材にして作られたドキュメンタリー「In The Grip of Evil」のVIDEO&DVDに登場します。


 「エクソシスト」の真実について、皆神氏は以下のように書いています。

 

「オプザスニックは、助手として悪魔祓いに参加していた神父にも電話インタビューを試み、その結果、本当は口から汚物を吐くといった怪奇現象など起きていなかったことを確かめた。起きたのは、少年がラテン語を真似たような言葉を話してみせたということくらいで、悪魔のような低い声に変わるということもなかった。少年の体に文字が浮かび上がったとも言われているが、神父によればそれは『口紅で書いたかのように見えた』ということだった」


 続いて、皆神氏は以下のように述べています。

 

「『悪魔憑き』現象が起きる直前、この少年は、唯一の理解者であった叔母を亡くしていた。その叔母はオカルティズムの深い信奉者で、少年に対して占いのウィジャ盤の使い方などを教えこんでいたという。もともと孤独癖のあった少年が、最愛の叔母の死をきっかけにして心因性の人格変換を起こした、というのが、映画『エクソシスト』のモデルの真実と思われる」


 世界で最も有名なホラー映画が「エクソシスト」なら、日本で最も有名なホラー映画といえば「リング」でしょう。本書の第2章「『超能力』と『古代文明』」では、「リング」にまつわるエピソードが披露されます。ASIOS発起人である本城達也氏が述べます。

 

「『リング』は1998年公開の人気映画である。原作は同名小説の『リング』(角川書店、1991年)。作者の鈴木光司氏のインタビューによれば、もともとはホラーを書くつもりではなかったという。 最初は『4人の男女が同じ時間に違う場所で死んだらどうだろう?』と考え、そこから『4人に共通なものが必要』→『1週間前に貸別荘で過ごしたことにする』→『共通の体験が必要』と考えが進み、その共通体験のアイテムを考えていたときに、たまたま横にビデオテープが置いてあったのを見て、『そうだ、ビデオ見たってことにしよう』と思いついたのだという」


 続けて、本城氏は以下のように述べています。

 

「そのビデオには、ぶつ切りのシーンが入っていることにした。そんなビデオはどうして出来たのか? 『念写みたいなものにするしかない』 こうして物語の重要なアイテムとなるビデオに、念写という要素が新たに加わった。念写ができるのは超能力者である。鈴木氏は図書館で本を探し、そこで見つけたのが『福来友吉の生涯』なる本だったという。この本には東京帝国大学(現・東京大学)の福来友吉博士と、超能力者で『千里眼』と呼ばれた御船千鶴子、さらには彼女が参加した東京での透視実験の様子が書かれていた」


 わたしのブログ記事「ノア 約束の舟」で紹介した映画も取り上げられ、皆神龍太郎氏がノアの箱舟についてよくある反論の「その1」として、「あんなバカでかい船を、ノアの家族ら数人だけで造れたわけがない」ということに言及し、以下のように述べています。

 

「旧約聖書に拠れば、ノアの箱舟の大きさは、『長さ300キュビット、幅50キュビット、高さ30キュビット』とされている。1キュビットは約45センチなので、長さ130メートルを超える巨大木造船であったはずだ。確かに木で造るには大きすぎるし、とても数人の家族だけで造れるような大きさではない。この点について映画では、巨大な体を持つ堕天使たちが何人も手伝ってくれた、とうまく説明していた。天使が何人も手伝ってくれたのなら、それはもう百人力だろう」


 また、よくある反論「その2」は、「世界中の動物を箱舟に載せられたとしても、その世話はどうしてたの? 特に餌とかどうしてたの?」ということがあります。これについては、皆神氏は以下のように述べています。

 

「箱舟には、1種類の動物につき雄雌ひとつがいずつしか載せていないので、もしどれか小動物を肉食獣の餌にでもしたら、その場で「ハイ、絶滅種決定」ということになってしまう。だから、半年から1年続いたとされる箱舟生活で動物の餌の確保ができたわけはないのだ。この克服しがたい難問は、箱舟に乗り込んだ動物たちは麻酔がかかったような状態で深い眠りについていた、として回避していた。人間が遠くの星へ向うとき、人工的な冬眠状態『コールドスリープ』に入るのと同じようなことを箱舟内で行っていた、というのだ。これならば餌はいらないし、糞の片づけといった世話もまったく無しで済む。『世界中の動物を載せるには箱舟は小さすぎる』とも言われるが、動物は寝ているので動き回る空間は必要なく、折り重なって眠る空間だけがあれば『OK』ということで、箱舟の大きさ問題もクリアしてみせていた」


 第4章「妖しき『陰謀』の世界」では、アポロはじつは月に行っていなかったという陰謀をテーマにした映画「カプリコン1」が取り上げられ、宇宙開発事業団出身で現在は会津大学准教授である寺薗淳也氏が「宇宙開発はすぐに陰謀論と結びつきやすい。なぜなら、宇宙開発には巨額の費用が必要で、巨額の費用を捻出できる組織は国しかないからだ(今はそうでもない、という点は後述しよう。)つまり、国家がその資金と権力を盾に宇宙開発を推し進めるということは十分にあり得るという考え方である」と述べます。


 また、寺薗氏は以下のようにも述べています。

 

「宇宙はごく限られた人間のみが到達できるきわめて限られた場所である。たとえば、火星表面で何をやっているのかを知ることは、探査機を打ち上げている国家機関やそこに属する科学者だけが知り得るものであり、秘密を隠しやすい。もちろん、宇宙そのものの性質もある。たとえば、月は私たちに表面だけをみせており、月の裏側を見ることはできない。それは『そのようになっている』からであり、けっして陰謀でもなんでもないのだが、それは『月の裏側でどこかの国が何かやっていてもおかしくない』という話に結びついてしまう」


 戦後の日本経済を漂流した怪伝説「M資金」をめぐる謎を描いた『人類資金』も取り上げられていますが、歴史・サブカルチャー研究家の原田実氏が以下のように述べています。

 

「1947年8月13日、当時の大蔵大臣・石橋湛山は衆議院で、GHQが旧日本軍から押収したのち、日本政府に返還した資産のうち、当時の物価で数百億円分の行方が記録に残っていないのでその行き先を早急に突き止めたいと、と答弁した。GHQの占領下で消えた旧日本軍や日本政府の資産はどこに消えたのか。それをめぐって1960年代からささやかれはじめた噂がM資金なるものである」
  
 続けて、原田氏は「M資金」について以下のように述べます。

 

「M資金の『M』はGHQの経済科学局長として接収した資産を管理していた陸軍中将ウィリアム・フレデリック・マーカット(William Frederic Marquat 1894〜1960)の頭文字をとったものとされるが、アメリカの隠し資産『メリケン・ファンド』の意味であるという説、背後にある管理団体が実はマルタ騎士団であることからマルタ(Malta)のMをとったという説、などもある。要は、旧日本軍や日本政府から接収された隠匿資産でのちに政府に返納されなかった分は日本の戦後復興の秘密予算として日米共同で設立した極秘機関で管理された、それがM資金だというわけである。さらにM資金の運用は今も続いており、その管理機関に選ばれた企業などに出資されているという」


 第6章「遥かなる宇宙」では、わたしのブログ記事「オデッセイ」で紹介した映画が取り上げられ、舞台となった火星について、寺薗氏が以下のように述べます。

 

「19世紀のイタリアの天文学者、スキアパレッリの観測で火星に筋模様が発見されて以来、火星には生物、それも高等な生物がいるという話は科学者でさえ信じるくらいであった。近年の探査船の写真が、砂漠のような赤茶けた大地を映し出すばかりであっても、そこには水が流れた跡があり、かつて河原だったような地形があり、湖のようなところで堆積した地層が見えたりする」


 続けて、寺薗氏は以下のように述べます。

 

「火星には、ひょっとしたら何かがいるかもしれない、そして私たちもそこに住めるかもしれない、と思わせる要素がいっぱいなのである。それでいて月が『たった』38万キロしか離れていないのに対し、火星は最も地球に近づいたときでも6000万キロ弱も離れている。遠くてなかなかたどり着けない、それでいて私たちの地球に少しであっても似た要素がある天体は、想像力を駆り立てると同時に、クリエイターたちの能力を存分に発揮させる新天地になっているといってもいいだろう」


 さて、わたしは『死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)を9月16日に上梓する予定ですが、その中には「SF映画について」というコラムが収録されています。わたしはSF映画を「哲学映画」として捉えているのですが、その最大のテーマは「宇宙とは何か」です。このテーマでは、なんといっても「2001年宇宙の旅」(1968年)が最高傑作であると思います。その他、「惑星ソラリス」(1972年)、「コンタクト」(1997年)、「ゼロ・グラビティ」(2013年)、「インターステラ―」(2014年)が強い印象とインスピレーションを与えてくれました。
 
 わたしのブログ記事「ゼロ・グラビティ」「インターステラ―」で紹介した最近の宇宙SF大作を観た際にもつくづく感じたのですが、宇宙は人間の世界を超越しています。「宇宙の果て」について説明できないことも、その理由の1つではないでしょうか。まさに宇宙とはサムシング・グレートそのもの、人間は「畏敬」の念を覚えずにはいられません。 「映画で死を乗り越える」という本書のテーマからすれば、わたしは宇宙を舞台にしたSF映画が最もふさわしいと思います。なぜなら、スクリーン上に宇宙空間という圧倒的な絶景が展開されるからです。

 

  「死の恐怖」を和らげるためには、「圧倒的な自然の絶景に触れる」という方法があります。どこまでも青い海、巨大な滝、深紅の夕日、月の砂漠、氷河、オーロラ、ダイヤモンドダスト・・・・・・人間は大自然の絶景に触れると、視野が極大化し、自らの存在が小さく見えてきます。そして、「死とは自然に還ることにすぎない」と実感できるのです。さらには、大宇宙の摂理のようなものを悟り、死ぬことが怖くなくなるように思えます。その際、視覚的に最も凄いシーンとは宇宙空間を置いて他にありません。はるか地球を離れた宇宙空間を再現したCGを眺めているうちに、死ぬことへの不安がどんどん小さくなっていくのではないでしょうか。宇宙ほどスケールの大きなものはないのですから。『死を乗り越える映画ガイド』をどうぞお楽しみに!