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ベスト珍書』

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No.1050

 

 『ベスト珍書』ハマザキカク著(中公新書ラクレ)を読みました。

 「このヘンな本がすごい!」というサブタイトルがついており、帯にはデスメタルな雰囲気プンプンの著者の写真とともに、「珍書プロデュ―サーが選んだ怪書・エログロ・発禁本」「読まずに死ぬなら読んで死ね!」と書かれています。

 

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   著者の写真入りの本書の帯


 

 またカバー前そでには、以下のような内容紹介があります。


 「年に数万の新刊が出版される日本。何とその全てをチェックしているのが ハマザキカク氏だ。今回、その氏が特に『ヤバイ』と感じた百冊を厳選。 著者すら意図しない魅力を再発見していく。怪書、エログロ、発禁本。 共通するのは『珍』というだけ。さあ、『珍書』の雄叫びを聞け!」

 

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   本書の帯の裏


 

 本書の「目次」は、以下のような構成になっています。


「まえがき」
第1章 珍写真集
第2章 珍図鑑
第3章 珍デザイン書
第4章 珍造本
第5章 珍理工書
第6章 珍語学書
第7章 珍人文書
第8章 珍医学書
第9章 珍エロ本
第10章 珍警察本
「あとがき」


 「まえがき」を読むと、著者は突き抜けた本を生み出す社会評論社の編集者だということがわかります。「珍書プロデューサー」として知られる著者は、まだ世にない本を生むため、 毎日のように書店や図書館をハシゴし、国会図書館に通いつめ、刊行数が1年に8万を 超えるとも言われる新刊、なんとその全てをチェックしているといいます。これは凄い!
本書には、これまでにチェックした中で、著者が「ヤバイ」「スゴイ」と感じた本、100冊が厳選されて紹介されています。


 ただし、ミステリーやSF、小説などの文芸書は除外されています。また、「と学会」などがよく扱っているような電波系や陰謀論、宗教本、オカルト本も外されています。


 著者自身も編集者として「珍書」を世に送り出してきたそうで、社会評論社に入社して初めて出した企画は、世界中の飛び地を集めた『世界飛び地大全』でした。その次に出したのが世界中のコーラを集めた『コーラ白書』、その後も日本史上の主要な自殺をすべて網羅した『完全自殺マニア』を出しますが、これは後に裁判沙汰になりました。他にも、割り箸鉄砲の進化バージョンの『ゴム銃オフィシャルガイドブック』、卑猥な言葉で世界史の年号を覚える受験参考書『エロ語呂世界史年表』などを世に送り出してきたといいます。

 

 本書には、さまざまなジャンルの「珍書」が紹介されていますが、わたしの興味を抱いたのは以下の本でした。

 

 『死を食べる』宮崎学著(偕成社)
 *動物生態写真で有名な写真家が、死体をむさぼり食う動物を激写。
 『若き日本人の肖像』吉永マサユキ著(リトルモア)
 *暴走族や右翼、チーマー、愚連隊、矢沢ファン(!)などの集合写真。
 『きょうあしたふたり―大野広幸写真集』大野広幸著(マリア書房)
 *双子の姉妹45組の記念写真と、その10年後の姿の写真集。
 『ゆかいな幼稚園バス大集合!』成美堂出版編集部(成美堂出版)
 *子どもを夢中にする改造車の写真集。


 また、以下のようなラインナップには心底唸りました。


 『逆立ちしても読める本』五十嵐龍也著(オークラ出版)
 *上から読んでも下から読んでも読める日本語のロゴ集
 『円周率1,000,000桁表』牧野貴樹著(暗黒通信団)
 *ただひたすら円周率を延々と100万ケタ載せた本。
 『世界全戦争史』松村劭著(エイチアンドアイ)
 *すべての戦争を紹介した2664ページの究極に厚い戦争本。
 『日本女性の外性器――統計学的形態論』笠井寛司著(フリープレス)
 *女性器を無断で撮影して本に掲載したと噂される問題作。


 このように、本書にはさまざまな珍書が紹介されていますが、最もわたしのハートにヒットしたのは、『RAINBOW IN YOUR HAND』カワムラ・マサシ著(ユトレヒト)という本です。本書には、「パラパラブックスと同じ造りなのだが、動きでストーリーが生じるのではなく、めくると両手の間に虹が立体的に浮かび上がる。カバーと全く同じ、ただ虹色の線が印刷された紙が72ページ続くだけなのだが、その発想力には脱帽した。YouTubeなどの動画でも紹介されているので是非見てみてほしい」と紹介されています。


 わたしは一発でこの本に恋をしたのでございます。それでアマゾンで注文しようとしましたが、どうやら扱っていないようです。こうなれば表参道にある版元のユトレヒトまで赴いて購入したいと思い、自身のブログ記事「世界の未来に虹がかかりますように・・・・・・」に書いたように、実際に購入しました。10冊売られていたので、全部を大人買いしました。大切な方々にプレゼントさせていただきました。


 あと、本書にはどう考えても「珍書」とは思えないような、いたって普通の本も紹介されていました。たとえば、『葬儀トレンド写真集2013』(総合ユニコム)とか、『デザイン墓石写真集』 (六月書房)などです。こんなの、どう考えても一般の人々が普通に読む本ではないでしょうか。それとも、わたしが偏っている?(苦笑)そういえば、本書には「死」をテーマにした本が多いことに気づきます。著者がそれほど「死」に興味があるのなら、「死」に関する本ばかりを紹介したブックガイドである拙著『死が怖くなくなる読書』(現代書林)をぜひお読みいただきたいと思います。


 最後に、本書には各章末に「珍コラム」が掲載されていますが、「珍書名」というのが面白かったです。著者は20冊の珍書名を紹介していますが、わたしは特に以下の5冊が強く印象に残りました。


 『世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか』
 『間違ってカレーが来ても食べる人は必ず幸せになれる』
 『人生に生きる価値はない』
 『おやじ、頼む死んでくれ』
 『イエスのまわしを取る―韓国マルチタレントが真正面から相撲を取る覚悟で書いたイエス論』


 いやあ、どれもこれも魅力的なタイトルばかりでごわす。(笑)ほんなこつ、実物を読んでみたくなりますばい。ばってん著者いわく、このような珍書名の本というのは読んでみると中身自体も面白かったリ、珍書であることは稀なのだとか。なるほど。


 著者には、これからも数々の珍書を発掘し、紹介してほしいと思います。