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ビブリア古書堂の事件手帖6』

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No.1045

 

 『ビブリア古書堂の事件手帖6~栞子さんと巡るさだめ~』三上延著(メディアワークス文庫)を読みました。

 この読書館でも『ビブリア古書堂の事件手帖(1~3)』『ビブリア古書堂の事件手帖4』『ビブリア古書堂の事件手帖5』をご紹介しましたが、そのライトノベル・シリーズの最新刊です。


 この『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ、今や「日本で一番愛される文庫ミステリ」として驚異のミリオンセラーとなっています。

 

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    本書の帯


 

 カバーには、読書中の本を閉じて物思いに耽っている女性のイラストが描かれ、帯には「累計600万部突破! 驚異のミリオンセラー、ビブリオミステリ最新刊」「古い本には逃れざる因縁が宿ります」「ビブリア古書堂の二人を結ぶのは、思慕を超えた深いさだめなのか?」と書かれています。


 また、カバー表紙の裏には、「古書は長き時を超え思わぬ因縁を結ぶ」というリードに続いて、次のような内容紹介が書かれています。


 「太宰治の『晩年』を奪うため、美しき女店主に危害を加えた青年。ビブリア古書堂の二人の前に、彼が再び現れる。今度は依頼者として。違う『晩年』を捜しているという奇妙な依頼。署名ではないのに、太宰自筆と分かる珍しい書きこみがあるらしい。本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。四十七年前にあった太宰の稀覯本を巡る盗難事件。それには二人の祖父母が関わっていた。過去を再現するかのような奇妙な巡り合わせ。深い謎の先に待つのは偶然か必然か?」


 この物語の主人公である大輔と栞子は、前巻の終わりでようやく交際をスタートさせています。この巻からは、さぞラブラブな展開が待っているのかと思いましたが、まったくそんなことはありませんでした。とにかく、二人のオクテぶりにはイライラもし、また昨今の若者の乱れた男女関係を思えば好ましい気もします。


 この巻は、まるまる太宰治がテーマで、ちょっと読んでいて飽きてきました。ここまできて、作者も息切れしてきたのかもしれません。ちょうど、本書を読んだ後に、作者の三上氏が倉田英之氏と対談した『読書狂の冒険は終わらない!』(集英社新書)を読んだのですが、その中で以下のようなくだりが出てきます。

 

倉田 書きやすい時代になったせいか、たまに「物書きになりたいんですが、どうしたらいいですか?」という相談を受けることもある。それには「なったあとが大変ですよ」と答えていて。


三上 僕もそうです。小説家になって初めてわかるのは、続けるのが大変だということ。十年ちょっとで大変だったのに、これを二十年、三十年やるのは・・・・・・。想像がつかない(笑)。


倉田 今までの人生で貯め込んだものを吐きだせば、一冊目はなんとか形にはなる。問題はその吐きだした後なんですよね。


三上 三冊、四冊あたりから、苦しくなってきます。そこできちんと書ける人がプロとしてやっていける」(『読書狂の冒険は終わらない!』P.176)


 もちろん、三上は紛れもないプロの作家ですし、それどころか大ベストセラー作家です。苦しくなってもきちんと書ける人なのでしょうが、この巻を読んだ限りでは、これまでのようなテンポの良さは感じませんでした。太宰というテーマだからではないでしょうが、全体的に重苦しく感じたのはわたしだけでしょうか。登場人物たちの因縁が次第に明らかになるのですが、「ちょっと無理があるかなあ」という部分もありました。


 「あとがき」の最後には「次か、その次の巻で『ビブリア』のシリーズは終わりです」と書かれていますが、この後は急速に事態が収拾されるのでしょうか。ここまできたら、もう最後まで必ず読みたいと思います。