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わが人生に刻む30の言葉』

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 No.0985

 

 『わが人生に刻む30の言葉』牛尾治朗著(致知出版社)を再読しました。

 わが国の財界の重鎮である著者の70余年の歩みに携えてきた30の言葉が紹介されています。いずれも含蓄があり、味わい深い言葉ばかりです。しかし、何といっても本書で抜群に面白いのは、生前の安岡正篤と著者との縁を物語るエピソードでしょう。


 戦後のアメリカ文明に憧れを持っていた著者は、祖父や父が敬愛する安岡正篤をなんとなく避けていたといいます。古典主義的なにおいに抵抗を感じていたからだそうです。


 自宅に泊まったときに就寝前に読む本を借りたいという安岡正篤に著者が貸したのは、カミュの『シーシュポスの神話』などでした。その後、著者を西洋かぶれと思ったのか、安岡正篤が著者に向って話すとき、『論語』『宋名臣言行録』の話でも、ニーチェやヤスパースを持ち出して解説しました。その博覧強記ぶりは驚くべきものがあったそうです。


 もう1人、著者は大変な読書によって豊かな教養を持つ人物を知っていました。元首相の大平正芳です。著者と伊藤肇によって引き合わされた2人は、「肝胆相照らす」という言葉そのままに大いに共感し合ったそうです。


 三高・東大時代を通じて避けていた安岡正篤でしたが、21歳で就職の相談に訪れた際、著者は「to do goodを考える前にto be goodを目指しなさい」と言われ、大きな衝撃を受けます。以来、50年もの間、この言葉をことあるごとにつぶやき返し、自分を戒めてきたといいます。偉大な人生は、偉大な言葉によって支えられるのですね。

 なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。