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一粒の麦 丸山敏雄の世界』

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No.0963

 

 『一粒の麦 丸山敏雄の世界』神渡良平著(致知出版社)を再読しました。

 1892年生まれの丸山敏雄は宗教家から社会教育者になった人で、この読書館でも紹介した 『最高の自分を生きる』の著者である丸山敏秋氏が理事長を務める一般社団法人・倫理研究所の創始者です。


 「一粒の麦」というのは、『新約聖書』に出てくる言葉です。「ヨハネによる福音書」には、次のように書かれています。


 「一粒の麦、地に落ちて死なずば、唯一つにて在(あ)らん。もし死なば、多くの実を結ぶべし。己(おの)が生命を愛する者は、これを失い、この世にてその生命を憎む者は、これを保ちて、永遠の生命に至るべし」

 

 この言葉を心血を注いで書き上げた『万人幸福の栞』の最後のページに書きつけた人物こそ、本書の主人公である丸山敏雄でした。今や国内のみならず海外にまで広がっている倫理運動を創始した人として知られます。決して順風万帆な生涯ではなく、さまざまな試練し直面しました。その人生は、徳福一致の純粋倫理を摑むだけでなく、それを超えてさらに、人々を動機づけ、実践に向かわせ、愛を確立するためにあったのかもしれません。 


 丸山敏雄は、59歳の若さでこの世を去ります。死を迎える直前、インド人が仏教文化を、漢民族が老荘や儒教文化を、ギリシャ人が優れた哲学を、ユダヤ人がキリスト教文化を生み出して世界に貢献してきたように、日本人も「伝統の日本文化を高く掲げて、全人類幸福のため、不滅の倫理文化を打ち樹(た)てよう」と述べました。


 一粒の麦は地に落ちて死んだが、その一粒から何百何千という実が実り、収穫のときを迎える。最後に、著者は次のように書いています。

 

 「丸山敏雄は肉体の生命としては幕を閉じたかもしれないが、何百万、何千万という人々の心に生き、永遠の生命を得ているのだ。」

 

まさに、万人が幸福になるための法則を追い求めた生涯でした。

 

 なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。