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王陽明と儒教』

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 No.0949

 

 『王陽明と儒教』井上新甫著(致知出版社)を再読しました。

 儒教とは何か。著者は言います。「どう生きるか」の学問である、と。どう生きるかとは、どう生きがいのある人生を送るかであり、そのための教えである、と。その儒教を哲学にまで昇華させたのが明の王陽明です。そして、彼の学問は「陽明学」と呼ばれています。


 孔子の没後、本来の精神である「実践」から遠のくばかりだった儒教に新たな血潮をたぎらせ、生きた学問として登場させた人物こそが王陽明です。
 

 「実践」ほど美しくて華やかなものはありません。それゆえ、著者は陽明学を「儒教の花」と表現したのです。その花は幕末の志士たちに明治維新という偉業を成し遂げさせました。


 陽明学といえば、「知行合一(ちこうごういつ)」があまりにも有名ですが、この言葉は世間でいう「有言実行」とか「言行一致」と混同されやすいようです。しかし、本当の「知行合一」とは、知ることと行うことを二分してはならないということです。知行はあくまで一体であり、紙の表裏のようなものです。


 陽明学と神道の共通点を論じた最終部分も興味深かったです。神道も陽明学も理屈を嫌います。神ながらの「神」と「産霊(むすび)」は、儒教でいう「天」と「造化」に対比されます。そして、神道が重んじる「清明心」や「まこと」は王陽明の「知行合一」を想起させます。


 著者いわく、陽明学は日本人の情感に合うのです。これほど、わかりやすくて面白い陽明学の入門書を他に知りません。

  
 なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。