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大山倍達 強く生きる言葉』

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No.0931

 

 この「読書館」でも紹介したヒクソン・グレイシーの著書『心との戦い方』を読んで、武道家の生き方に興味が湧いてきました。ヒクソンに比肩しうる不敗の武道家といえば、宮本武蔵か大山倍達です。ということで、極真空手の創始者であり、「ゴッドハンド」として知られる大山倍達の名言集『大山倍達 強く生きる言葉』を読んだのです。版元は、拙著『結魂論~なぜ人は結婚するのか』および『老福論~人は老いるほど豊かになる』を刊行した成甲書房です。編著者の大山喜子クリスティ―ナ氏は、故・大山倍達の三女です。

 

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   ド迫力の本書の帯

 

 

 本書の帯には、大山倍達が正拳突きでロウソクの火を消す有名な写真をバックに、「いまこそ聞け、マスタツ・オオヤマの魂の言葉!」「からだを鍛え、こころを磨け、そして、より豊かな人生を生きるのだ」と書かれています。また帯の裏には、さまざまな大山倍達の名言が紹介されています。

 

大山2.jpg
   帯の裏には大山倍達の名言が・・・・・・

 

 

 本書の目次構成は、以下のようになっています。


はじめに、大山喜子クリスティ―ナ
一、 人生
二、 勝負
三、 極真 空手
四、 修業 鍛錬
五、 親と子 男と女
六、 青春 若い人へ
七、 日本人へ


 「はじめに」で、大山喜子クリスティ―ナは次のように書いています。


 「生前、父はマハトマ・ガンジーの『愛は戦いである』という言葉が好きでした。父にとっての幸福とは、時を費やして磨いた空手、武術を、その人の人生の糧として役立たせることでした。『極真空手を学んでよかった』『幸せへの道しるべになった』、そう思ってもらうことだけを心掛け、日々の修業に励んでいました」


 それでは、本書に紹介されている膨大な大山倍達の名言の中から、わたしの心に強く響いた20の言葉を以下に紹介したいと思います。

 

正義なき力は暴力なり。
力なき正義は無能なり。

 

 

頭を低く、眼は高く、口を狭く、心は広く、
孝を原点として他を益す。

 

 

逃げたらいつまでも戦うことになるというのは、喧嘩における「公理」のようなものである。

 

 

カネを失うことは小さいことである。
信を失うことは大きいことである。
覇気を失うことは己れをうしなうことである。

 

 

人間、土壇場においては
「ひらきなおり」の度胸こそが大切である。

 

 

街を歩いていて人とぶつかる、肩が触れるといったような場合、何かいわれると私はいつも謝ることにしている。「すみません」といってしまえばそれでことはすむ。

 

 

「武」の道とは攻撃力をもってその第一の条件とする。それを暴力的というならばいわせておくしかない。

 

 

「先手」とは、攻撃の本質を把握したのち、
心理的にも相手より高位に立つことであり、
冷静で柔軟な精神がこれを可能にする。

 

 
焦るとは何か。
それは勝利を急ごうとすることである。
諦めるとは何か。
それは敗北を急ぐことである。

 

 
どういう人がケンカに強いか知っているか。意外なことにバレリーナだ。そしてダンサーだ。音楽が身についていて、身体を動かす修練の出来ておる人はケンカがうまい。つまりリズムとタイミングが最大のポイントなのだ。

 

 

武道は究極のところ、精神哲学である。
それによって、人を愛し、人々に尽くす。
それだけのために、生命までかけられる。
そういうことを、自分の武道を磨き上げる目標とする。それが極真ということである。

 

 

臥薪嘗胆、親の仇を討つつもりで十年やってみよ。鍛錬とはそうしたものである。

 

 

武人は、武を通して、科学し、
かつ詩人にならなければならぬ。

 

 

師に対して弓を引く者が
成功するわけがない。

 

 

いまどきの若者は、みながみな、
揃いも揃って便所掃除の経験がない。
なんたることか。
親がみんなを甘やかしている。
便所掃除ができて、はじめてその家に
住めるのだと心得なければならない。

 

 

夫と妻はいずれにせよ
最大にして最良の味方でなくてはならない。

 

 

セックスに気を奪われたら、
男も社会もおしまいであろう。

 

 

この大山倍達が、泣いていることを思って、絶対に、両親、先生だけには、手をふりあげないでくれ。それでは、なんのために、この世に人間として生まれてきたのだか、わからなくなってしまう。

 

 

失恋の教えてくれるものは、
実は自分のうぬぼれではないかと思う。
「あなたなんかお呼びじゃないわよ」
といわれることによって、
他人から見た自分の姿に気がつくことだ。

 

 

私の使命は、平和である。核の全面廃棄であり、世界全体の戦争廃止である。極真空手の最高目標を、私はこれと定めたい。

 

 

 本書を読む前までは、武道や修業に関連した言葉が集められているのだろうぐらいに思っていましたが、読んでみて、その守備範囲の広さに驚きました。ケンカの極意から「人の道」、そして最後は世界平和までを視野に入れたスケールの大きさには脱帽です。


 それと、いずれの言葉もよく練られていて、味わい深い金言になっていることに感心しました。全世界でベストセラーになった『This is Karate』や『What is Karate?』をはじめとして、大山倍達は多くの著書を残していますが、超一流の"武人"としての彼は"文人"としても一流であり、大変な思想家でもあったのだと思い知りました。


 また、大山倍達が高い倫理観を持っていたことがよくわかります。親子や夫婦、師弟といった人間関係を熱い言葉で語っています。これらの言葉からは、明らかに儒教の香りが漂っています。


『大山倍達正伝』という本で紹介したように、大山倍達は韓国出身で、韓国名を「崔永宜(チェヨンイ)」といいます。これは、すでに周知の事実となっていますね。韓国は儒教の影響の強い国ですが、彼は特に「孝」を最重要視していたようです。「極真」の二文字には、ゴッドハンドの倫理観や平和への願いがすべて詰まっていたのですね。