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「自分を変える」読書』

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 No.0855

 

 『「自分を変える」読書』戸田智弘著(三笠書房)を読みました。

 「"もっと面白く生きる"知恵を身につけよう」とのサブタイトルがついています。著者は1960年愛知県生まれのライター)&カウンセラーです。北海道大学工学部および法政大学社会学部を卒業しています。著書に、『働く理由』『続・働く理由』『就活の手帖』などがあります。

 

 本書の帯には「人生論・幸福論・仕事・思考力・恋愛・自己と他者・お金・健康・歴史・現状認識・未来・死生観・・・・・"セカイ観"がぐんと深まる50冊を厳選!」「あらゆる人生の疑問に答えてくれる本の見つけ方」と書かれています。

 

 本書の目次構成は、以下のようになっています。

 

「はじめに」

Chapter1 人生論と幸福論          

 ―"人生の大きな疑問"に答える本―

Chapter2 会社と仕事と人間関係力          

 ―"働かされる大人"になるな―

Chapter3 言語力と思考力と論理力          

 ―"頭のいい人"の考え方―

Chapter4 恋と愛と共同体          

 ―なぜ、人と人とはわかり合えないの?―

Chapter5 他者と自己          

 ―"自分"を外側から眺めてみよう―

Chapter6 お金と健康          

 ―大切な二つの「資本」の話―

Chapter7 創世と軌跡          

 ―「今」はどうして生まれたか?―

Chapter8 現状認識と未来          

 ―これからの時代の"豊かさ"と"幸せ"とは?―

Chapter9 人生観と死生観          

 ―「自由に生きる」ために知っておくべきこと―

 

 著者は「はじめに」で、「自分を変える」読書について次のように述べています。

 

 「人間は実体的存在ではなく関係的存在である。よい友だちと付き合えば自然に自分はよい方向に変化していく。逆に悪い友だちと付き合えば自然に自分は悪い方向に変化していく。その人がどういう人かを知りたかったら、その人の友だちを見ればいいというではないか。

 この『友だち』の意味を拡大解釈すれば、よい方向に自分を変えていこうと思ったらよい本と付き合えばいい。著者とは、時間や空間を超えて付き合える友人である。直接会って対話することはできなくても、本を通して間接的に対話ができるという意味でだ」

 

 また「質の問題―自分の知力の限界に挑む」として、著者は「学ぶ」ということについて次のように述べます。

 

 「学ぶとは円の内側に留まることなく、円の外側にちょっかいを出し続けることだ。「自分の知っている以上のことを自分は知りたい」という欲求を大事にしたい。内田樹(思想家)は<教養とは『まだ知らないこと』へフライングする能力のことである>(『知に働けば蔵が建つ』文春文庫)といっている。学ぶことで円はどんどん大きくなっていく。そうすると、円周はどんどん大きくなる。それにつれて知らないことがどんどん見えてくる。学べば学ぶほど知らないことが増えていく」

 

 さらに「量の問題―1000冊の法則」として、著者は「どれぐらいの数の本を読んだらいいのだろうか?」という問いに対して、「たぶん1000冊程度の本を読む必要がある」と答えています。そして、10年かけて1000冊、1年で100冊、3日で1冊読むことを薦めます。1冊あたり3時間もあれば読み通せるとして、1日に1時間だけ本を読む時間を確保することを訴え、次のように述べます。

 

 「スマホや携帯をいじる時間を減らして、その分を読書の時間に振り当てられないだろうか。私たちはスマホや携帯で何をしているのか?同質性の高い友人や知人と断片的なメッセージの交換をして、『私たちって仲間だよね!』ということを確認していることが多い。もちろん、こういう時間の使い方もあっていい。だけど、自分の持ち時間をこれだけに費やしてはダメだ。異質性の高い他者と、多義性や両義性を含んでいる総括的なメッセージを交換する時間を大事にしたい。とくに若い時期はそういえる」

 

 この著者の意見に、わたしも100%賛成ですね。 それでは、何のために本を読むのでしょうか。著者は「読書の3つの効用」として、以下のように紹介します。

 

 1つ目は語彙が豊かになること。人間は言葉を使って考えます。持ち駒としての言葉を増やすことは考えるツールを増やすことにほかなりません。

 2つ目の効用は経験の幅を広げられること。作家の山本周五郎は「読書、なかんずく小説を読む喜びは、もうひとつの人生を経験することができる、という点にある」と表現しています。

 3つ目の効用は実際の経験からは学べない知識を獲得するため。わたしたち人間の実感や直感だけから得られる知識は限られているのです。

 

 すなわち、わたしたちは本を読むことで、(1)豊かな語彙を手に入れ、(2)経験の幅を広げ、(3)経験からは学べない知識を獲得することができるわけです。著者によれば、これは「自分の人生を成り行き任せにしない、できる限り自分の望むような生き方をしていくための武器になる」のです。 世には大量の本があります。しかし著者いわく、それらの本は「玉石混淆」であり、限られた時間の中で読むのは著者のいう"玉本"に限るそうです。 "玉本"1冊には、凡庸な"玉本"100冊以上の価値があるというのです。本書には著者が選んだ50冊の"玉本"が紹介されていますが、最後には著者の「注目」としてポイントが指摘されています。

 

 たとえば、『成熟日本への進路~「成長論」から「分配論」へ』波頭亮著(ちくま新書)の「注目」は、以下の通りです。

 

 「もともと日本人は農耕型文化をベースにした互助と共生の精神風土にあり、『働かざる者、食うべからず』という勤勉精神もある。この格言は高福祉高負担型社会の最大のリスクである『福祉にぶら下がって生きる方が得』というモラルハザードに対する有効な抑止力になるものである。ならば、今こそ日本社会は国民が互助と共生の精神を持って、全ての人が安心して生活することができる理想的社会を目指していくことができるはずである」

 

 また、『無常の見方~「聖なる真理」と「私」の幸福』アルボムッレ・スマナサーラ著(サンガ新書)の「注目」は、以下の通りです。

 

 「我々はよく冗談で言うのです。

 『どこへ行くの?』『死へ行くのですよ』

 これはどんなときにでも、百パーセント正しい答えです。

 すべての生命は、死に向かって生きています。

 踊りながら死へ向かうのです。

 家のドアを開けながら死へ向かうのです。

 笑いながら死へ向かうのです。 無駄話をしながら死へ向かうのです」

 

 人生論・幸福論・仕事・思考力・恋愛・自己と他者・お金・健康・歴史・現状認識・未来・・・・・さまざまなテーマの本を紹介しながらも、本書が最後のテーマに「死生観」を選んだことは卓見であると思います。死生観なくして「自分を変える」ことなどありえませんし、拙著『死が怖くなくなる読書』(現代書林)の帯のキャッチフレーズにもあるように「死生観は究極の教養である!」からです。同書で、わたしは50冊の死生観についての本を紹介しました。