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群れない力』

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No.0735

 

 『群れない力』関口智弘著(経済界新書)を読みました。

 「『人付き合いが上手い人ほど貧乏になる時代』における勝つ人の法則」がサブタイトルです。帯には「危険なビジネス書。でも、笑える!」と大書されています。
 また、以下のようなコピーも書かれています。


 「1(あなたの力)×0.5(他人の力)=0.5
 つまり、群れれば群れるほど、
 ザコが一人でもいるほど、
 あなたの努力は報われない!
 『上司・部下・同僚』『お客・取引先』
 『友人』『フェイスブック』・・・など、
 もう人間関係に悩まない!
 最高の人生を手に入れる!」

 

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   帯の裏に書かれた素敵なコピー

 


 なかなか興味深い帯のコピーですが、帯の裏にはもっと素敵なキャッチコピーが赤字で大きく書かれています。


 「なにが『いいね!』だ!
 友達が多い奴ほど貧乏になる現実を知れ!」
 

 わたしは、これを読んで大笑いし、本書の購入を決めました。


 この「なにが『いいね!』だ!」は、わたしの脳裏に焼きつき、マイ・ブームになりました。これほど、わたしのハートにヒットしたコピーは久しぶりです。いま、「フェイスブック疲れ」とかの言葉も流行しています。わたしは思うところあってフェイスブックをやりませんが、よく「フェイスブックで友達申請しました」などの言葉を聞くたびに、ミョーな違和感を感じていました。また、「いいね!」にもある種の違和感を感じていましたので、著者の言葉には深く共感した次第です。

 

 著者のプロフィールがまたユニークで、3年で転職5回、「東京でビジネスに成功するも福岡に移住。さらに、弱冠33歳にもかかわらず、現在は馬主としても活躍中」だそうです。さらに本書の後そでには、「ドバイ首長シェイク・モハメド率いるダーレーグループ、アイルランドが世界に誇る投資家集団・クールモアグループと世界の舞台でマネーウォーズを繰り広げる馬主。南半球最大の競走馬セール会社・Inglis社主催の大レース、イングリスクラシックを日本人馬主として史上初めて制覇し、現地の紙面を飾るなど、その勢いは日々増すばかりである」とのプロフィールが記されています。
 これを読んで「!」と思う人もいれば、「?」と感じる人も多いでしょう。


 本書の目次構成は以下のようになっています。


「はじめに」
第1章:なぜ、群れることが歓迎されるのか?
    ~チームワークなんて無駄な理由~
第2章:あなたの周りにユダがいる!
    ~ウインウインが成り立たない理由~
第3章:一匹オオカミの作法
    ~群れない力をつけるテクニック~
第4章:縁切りの作法
    ~賢く人間関係を整理するテクニック
第5章:孤独の作法
    ~楽しく賢く生きるための習慣~
「おわりに」


 「はじめに」で、著者はいきなり次のように書いています。


 「この本は、群れるしか能のないブタ野郎どもに牛耳られた狂った社会における、人格破綻者、コミュニケーション障害者の書いた本です」


 そして、「はっきり入って、世の中狂ってますよ」として、著者は以下のような事例を挙げます。


 ・フェイスブックの友達数が多ければ交流上手
 ・名刺をたくさん持っている人は人脈が豊富
 ・年賀状がたくさん来る人は周りの人に慕われている
 ・ケータイのメモリ件数が多いほど人間関係をつくるのがうまい
 ・飲み会仲間が多いのは人気者の証拠


 これらについて、著者は「こんなことが、当たり前のように信じられているわけですよ。ばっかじゃねーの?って感じです。こんなもん、全部嘘ですからね」と敢然と言い放つのでした。


 そして、本書最高のキーワードである「なにが『いいね』だ!」について、著者は次のように喝破します。


 「な~にが『いいね』だ。つーか、誰だよお前?って感じの、よくわからない、向こうはこっちを知っているのかもしれないけど、こっちは誰だかわからないような人からのコミュニケーションのオファー。
 気持ち悪いんで、自宅に呼んで一緒に飯を食ってもいいと思うような人以外は、全員バッサバッサと消しまくりました」


 「孤独になるのは怖い」けれど、「人間の時間は有限」であるということを知っている著者は、次のように述べます。


 「世界的貴族であれ、上野のホームレスであれ、1日は24時間しかないわけですよ。でもって、6時間寝て、食事やらトイレやらに2時間かかる。でもって、8時間は働かないといけない。となると、あとの8時間をどう使うかという問題なわけだ。その8時間の自由裁量の時間を、しょーもない知り合いとの交流に使うのか、はたまた自分を高めるために使うのか。その時間の質の違いが、人生の質の違いをつくっているわけで」


 だからこそ、著者は貴重な人生を侵食している、ろくでもない連中とのつき合いをやめることを読者に提言するのです。著者は言います。


 「現在、しょーもない連中と群れている時点で、あなたも同類項のカスなのです。ショボい人間であり、ぶっちゃけ、その群れがお似合いです。はっきり言って、あなた以外の誰もが、あなたにはその人生が妥当であると考えていますし、そこから抜けだして成功しようなんて、おこがましいことこの上なし、と思われていることでしょう」


 さて、「社会ではなぜ群れが歓迎されるのか?」という問いについて、著者は「群れには社会を形成する上で都合のよい暗黙のルールがある」からだといいます。そして、そのルールとは「お互いを否定しない」というものです。群れる連中は、「群れに属していない人間を群れの中から否定することで、自らの信じるもの、正しいと思うことを正当化する」という著者は、こう述べます。


 「インターネット上だと、いわゆる勝ち組とされているような成功者、起業家、芸能人などが、これまた誹謗中傷され、彼ら群れの連帯感を保つために、そして群れに属する自身を正当化するために利用されます。見ず知らずの他人に対して、どうして彼らがあそこまで攻撃性をむきだしにできるかと言えば、結局のところ成功者の存在というのは自らの誤りや、未熟さを痛感させる存在だからです」


 なるほど、この言葉は非常に説得力があると思いました。


 この社会で、群れない人間は「孤独」になります。
 そう、著者は「孤独」を肯定しているのです。
 そして、「孤独訓練」なるものを薦め、次のように述べています。


 「はっきり言いますが、私は孤独が大好きです。
 子供の頃からず―っと、1人で過ごす時間が好きでした。
 孤独ラブ!って感じで、孤独という言葉から何を連想するかと聞かれたら、自由、平和、快楽、天国、幸福などなど。
 思いつく限りのポジティブキーワードが頭に浮かびます。
 でもって、私にとって孤独という言葉のイメージカラーはオレンジです。周りに何も同時に共存させない太陽こそが孤独のシンボルだと思っています。一方で、星は1つひとつが弱い光だからこそ、群れないと存在が認識されず、ひっそりと共存している弱者の群れのイメージでしかないわけです」


 うーん、この言葉も詩人顔負けの名言です。どうも、著者にはコピーのセンスがあるようですね。

 このように著者は「孤独」を肯定しているわけですが、さらに「孤独を成長につなげる方法」として、次のように書いています。


 「あなたが周りの目なんて気にせずに徹底的に打ち込みたい何かものすごく楽しいことがあるなら、まずはそれを思う存分、時間とお金の許す限り楽しんでみりゃいいんじゃないですかね。
 で、そのうち『この楽しさをみんなにも教えてやりたい!』って思ったなら、今の時代、ブログでもメルマガでも、いくらでもその情報を・・・・・・あなたが夢中になっていることの魅力を伝える場があるわけです。
 そこで心から共感し合えるような最高の仲間と出会い、友情を深める方が人生有意義なんじゃないでしょうか」
はっきり言って、本書では毒ばかり吐きまくっている著者ですが、この発言は前向きであり、読者のためを思っての発言という印象もあって好感が持てます。


 「あとがき」で、著者は「日本のサラリーマンは本音を語らない」として批判し、さらに次のように述べています。


 「サラリーマンが本音で語るのってほんと、ネット上の匿名掲示板だけじゃないですか。匿名掲示板なんて、発言の責任だって不確かなわけで、それこそ無責任な発言のオンパレードなわけです。
 そんなところで本音を語っても人生変わるわけないでしょう。
 でもって、アマゾンとかのレビューだって同じ。執拗に特定の著者の悪口を書いているガッカリなクズもいますけどね。そんなことやっても、お前の人生なんも変わらんだろう、って。でも、その言葉を本を担当した編集者にぶつけたらどうなるか?ってことなんですよ。『俺ならもっと素晴らしい本が書ける!』って」


 そして、「最後は思いっきり本音で締めくくりたい」という著者は、「あとがき」の終わりに次のような驚くべき言葉を吐くのでした。


 「私はミリオンセラー作家になって世界的に超有名になりたいんです。自分にはその価値も、能力もあると思っているんで。だから、この本おもしれーって思ったら、100冊くらいまとめて買ってください」


 わはは。ここまで言うとは、ある意味、たいしたものですね。

 

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   笑いながら読む本なのです

 


 ここまで言い切る本書は、まじめなビジネス書というよりもエンターテインメントであることが明らかです。そう、帯に「危険なビジネス書。でも、笑える!」とあるように、本書はゲラゲラ笑いながら読むべき本なのです。本書を読んで、「こいつ、胡散くさいな」とか「縁や絆を否定するのか」とか「さびしい奴だな」などと思うのは無粋だと言えるでしょう。すべてはシャレなのですから・・・・・。
 シャレといえば、表紙には砂丘のような場所(公園の砂場?)に裸足で立った著者の写真がありますが、彼は赤いバンダナを頭に巻いてサングラスをかけています。服装は赤のポロシャツにチノパンですが、この格好はちょっとショボイ印象です。どうせハッタリをかますなら、頭には白いターバンを巻き、白ずくめのムスリム衣装を身にまとって「アラビアのロレンス」を気取ってほしかった。
 せっかく彼はドバイの馬主なのですから、本物の砂漠に立てば良かったのに。
 わたしならば、それぐらいは絶対にやりますよ!(笑)

 

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   ドバイの砂漠にて(ただし馬主ではありません)

 


 しかし、驚いたのはアマゾンにおける本書のレビューの多さです。なんと250を超えるレビューが寄せられており、そのほとんどは5つ星です。2012年のベストセラー総合1位の『聞く力』阿川佐和子著(文春新書)でさえレビュー数が132ですから、この数は何なのでしょうか。
 これを取り上げて、「結局、群れている」とか「こういう宣伝方法なのね」「まさに、ステマじゃん」といった意見も多く寄せられています。いくら作為的とかいっても、このレビュー数は尋常ではないですね。これは本当にどういうことなのでしょうか。ちょっと興味があります。


 さらには、「ソーシャルメディアで群れるな」という本をfacebookで宣伝するのは矛盾であり、「Twitterもfacebookもやめたら? 話はそれから」という意見もありました。著者は、自身のフェイスブックに本書を紹介して「いいね」を大量に貰っているというのです。わはは。これ自体がすでにギャグじゃないですか。(笑)
 世の中、ユーモアがわからない人が多いようですねぇ。
 でも、わたしは心から本書を面白く読めました。もちろん、ビジネス書や人生論としてではなく、エンターテインメントとして・・・・・。
 それにしても、著者のコピー・センスには脱帽しました。最後に、今年の流行語大賞にしたいくらい気に入った言葉をもう一度紹介します。では、どうぞ!

 

なにが「いいね!」だ!