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幸せな小国オランダの智慧』

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No.0719

 

 『幸せな小国オランダの智慧』紺野登著(PHP新書)を再読しました。

 本書は、そのオランダに向かう機中で予習をかねて読んだ本です。「災害にも負けないイノベーション社会」というサブタイトルがつけられていますが、著者は多摩大学大学院教授で、知識イノベーション研究所代表でもあります。


 オランダは、スウェーデンやフィンランドなどの北欧諸国を抑えて「子どもの幸福度」ランキングで堂々の1位に輝いています。長崎の「出島」に象徴されるように、日本とオランダは400年もの交流がありました。にもかかわらず、日本人はこの小国をあまり意識してきませんでした。ハウステンボスを例外として・・・・・。


 ところが、東日本大震災を経て混迷を深める日本では、オランダが一躍注目されるようになっています。なぜか。それは、オランダには1000年におよぶ洪水との死闘の歴史があり、それを乗り越えてヨーロッパでも屈指の低失業率で経済的にも安定を続けているからです。


 著者によれば、オランダはつねに災害や危機に対する能力を培ってきました。それは「想定内」という言葉に代表されるような防衛的な面だけではなく、イノベーションや持続的な経済運営にもかかわるものでした。

 

 オランダの強みは、社会と個人の相互依存の関係にあります。これは社会的共同体の「ソーシャルキャピタル(社会関係的資本)」の豊かさに他なりません。オランダ人は強い国民です。それは武道や格闘技には世界トップクラスの強豪が多いということもありますが、オランダ人の真の強さとは、いわゆる「精神的な強さ」です。それは、オランダが自由な国であることが大きく影響しています。


 オランダは「安楽死」(尊厳死)を認めている国として知られています。治癒不可能な継続的苦痛・苦悩、本人の持続的な意思表示といった一定の要件を満たせば積極的安楽死も合法とする法案が可決されました。これによって、オランダは世界で初めて安楽死が合法化されることになったのです。


 オランダ人は、安楽死法によって「死に場所」と「死に方」という、人間にとってきわめて重要な自由を得たのです。このことがオランダ人の精神的な強さに結びついているような気がしてなりません。「自由」は「強さ」に通じるのですね。