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超常現象の科学』

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No.0641

 

 『超常現象の科学』リチャード・ワイズマン著、木村博江訳(文藝春秋)を読みました。

 

 この読書館でも紹介した『運のいい人の法則』と同じ著者ですね。本書には、「なぜ人は幽霊が見えるのか」というサブタイトルがついています。

 そう、最先端科学実験が明かすヒトの認知システムの盲点を明かした内容ですね。じつは、わたしはこの手の「オカルトを科学する」系の本が好きです。これまで国内で出版された本はほとんど読んでいるくらいです。


 本書の「目次」は、以下のようになっています。

 

「あなたの知らない世界へ」

第1章:占い師のバケの皮をはぐ

第2章:幽体離脱の真実

第3章:念力のトリック

第4章:霊媒師のからくり

「コーヒーブレイク」

第5章:幽霊の正体

第6章:マインドコントロール

第7章:予知能力の真偽

「おわりに」

特別付録「これであなたも超能力者」

「謝辞」「訳者あとがき」

「参考文献」「参考動画」


 本書の表紙カバー折り返しには、「最先端科学実験が明かすヒトの認知システムの盲点」として、以下の記述があります。

 

 ●幽霊

 イギリスの古い宮殿に夜な夜なあらわれる有名な幽霊の正体は、掃除夫だった。

 ●占い師

 「百発百中の占い師」の正答率を計算すると、一般人のそれと変わらなかった。

 ●幽体離脱

 ヒトの認知システムは混乱しやすい。

 鏡に映ったゴム製の義手を「自分の手」だと錯覚してしまう実験を紹介。

 ●念力と超能力

 脳は「見たいもの」しか見ない。その虚を突くトリックをマスターすれば、誰でもスーパーマンになれる。

 ●予知夢と予言者

 統計学の「大数の法則」とレム睡眠のからくりを知れば、予知夢などないことが証明される。


 以上の記述を読めば、本書の内容はだいたい想像がつくでしょう。

 

 占い師、超能力者、予言者、体外離脱、幽霊、ポルターガイスト、降霊術、カルト教団などなど、人々が騙されるシステムを脳の構造から説明しています。

 では、なぜ、わたしたちは騙されるのか? 「あとがき」で、著者は「人類が進化の過程で身につけた能力」として、次のように述べています。

 

 「たとえば、あなたが荒野にいたとき、風のせいで近くの藪がカサコソ音を立てたとする。しかもあなたは、その付近には腹を空かせたトラが何頭もうろついているという噂を聞いており、トラが同じような葉ずれの音をさせるのを知っている。あなたは二者択一を迫られる――葉ずれの音を風のいたずらと考えてその場を動かないか、おそらくトラだと判断して逃げ出すか。当然ながら、長生きするためには安全をとってトラ説に傾くほうがいい。諺にもあるではないか、飢えたトラに出くわすよりは、風から逃げるほうがまし」


 マジシャン出身の心理学者だけあって、著者は具体例を多くあげて説明します。

 もちろん類書にすでに書かれてある内容も多いですが、本書で初めて知った事実もたくさんありました。好感が持てるのは、「超常現象を否定するのではなく、超常現象を楽しもう」という著者の柔らかい姿勢です。とはいえ、カルト宗教などには厳しい目を向けており、マインドコントロールの危険性も強調しています。

 

 洗脳の具体的なテクニックと、それから身を守る方法も詳しく書かれています。さらには最後に「これであなたも超能力者」という特別付録があり、読心術、念力、幽霊を呼び出す儀式、マインドコントロールなどの方法がコンパクトに紹介されていますが、これがなかなか笑えます。わたしが期待していた「グリーフケアとしての幽霊現象」に関する記述は見当たりませんでしたが、非常に面白く読めた一冊でした。