No.0607 冠婚葬祭 | 幸福・ハートフル | 神話・儀礼 | 経済・経営 『礼を求めて』 一条真也著(三五館)

2012.05.18

 最新刊『礼を求めて』(三五館)がついに刊行されました。このたびの孔子文化賞の受賞を記念して出版された本です。

 「なぜ人間は儀式を必要とするのか」というサブタイトルがついています。

 表紙タイトルの「礼」には、赤と紫が配色されています。それぞれ、「婚礼」と「葬礼」のシンボル・カラーです。帯には「孔子文化賞受賞!」と大書され、「一条真也は世界一の礼の実践者だ!!」という孔健(孔子・第75代直系子孫)先生の言葉が寄せられています。本当に「身に余る」お言葉で、孔健先生にはいくら感謝してもしつくせません。

 そして、「『天下布礼』の道をさらに歩まん」と書かれています。わたしが黄金の孔子像を孔健先生から授与される写真も使われています。本当に、夢のようです。まだ、夢を見ているようです。

 さて、本書の「目次」は、以下のようになっています。

「はじめに~孔子文化賞を受賞して」
◇花は天国のもの~葬儀こそART
◇葬式は必要!~葬儀は人類の存在基盤
◇茶と人間関係~お茶は人間を平等にしてくれる
◇悲しい出来事~絆を結び、縁を再確認し、感謝の心を思い起こす
◇葬式の現状、どう思う?~NHK討論番組に出演
◇連続性の中で生きている~先祖や子孫への「まなざし」
◇孤独死~常盤平団地・孤独死ゼロを目指して
◇隣人祭り~「孤独死」をなくすための方法の一つとして
◇夏は死者の季節~もっとも大規模な先祖供養
◇ご先祖さまとのつきあい方~先祖を想い、月を見上げる
◇念ずれば花ひらく~太陽を追う男と月を見上げる男の志
◇自殺のない社会~支えあい、安心して暮らせる社会に
◇有縁社会へ~人はみな無縁にあらず、人の世を有縁にするのはわれらのつとめ
◇呪いの物語・癒しの物語~葬儀がなかったら人類は絶滅していた?
◇タイガーマスク運動~素晴らしい日本人の心
◇ソーシャル・ネットワーク~人間同士がつながることへの欲望
◇東日本大震災~支え合い、助け合うことは人類の本能
◇葬儀と人間尊重~死は最大の平等
◇シャーマニズムの未来~本来の葬儀に不可欠な要素
◇ザ・ライト~儀式の持つ力とは何か
◇天使との再会~わたしたちは死者とともに生きている
◇隣人愛の実践者~自分自身の経験が他人への共感となる
◇マナーについて考える~本当に大切なものは、目に見えない
◇小倉に落ちるはずの原爆~死者を忘れて、生者の幸福はない
◇お盆は、要らない?~今こそ考えてほしい
◇被災地の月~すべての人が帰るふるさと
◇台風と神道~ありえねーくらい、こわい!
◇人は死なない~本当に、人は人に助けられている
◇エンディングノート~二つの大きな役割
◇クリスマスとサンタクロース~聖なる夜の知られざる過去
◇正月のひみつ~もうひとつの意味
◇父の喜寿祝い~「老い」とは神に近づいていくこと
◇無縁社会を乗り越えて~人と人との「絆」を再構築するために
◇孔子文化賞~葬礼は人間の尊厳を重んじた価値ある行為
◇のこされたあなたへ~きっとまた会えるから
◇すべての儀式は卒業式~今こそ別れめいざさらば
「おわりに」
「一条真也著書一覧」

 「礼」の文字が入ったタイトルの本を出せて、わたしは感無量です。

 わたしは、冠婚葬祭の会社を経営しています。日々、多くの結婚式や葬儀のお手伝いをさせていただいていますが、冠婚葬祭の基本となる思想は「礼」です。「礼」とは、「人間尊重」ということだと思います。ちなみに、わが社のミッションも「人間尊重」です。

 また、わたしは大学の客員教授として多くの日本人や中国人留学生に「孔子」の思想を教えてきました。主宰する平成心学塾では、日本人の心の柱である神道・仏教・儒教を総合的に学び、日本人の幸福のあり方を求めてきました。さらに、これまで多くの本も書いてきました。孔子や『論語』にまつわる著書もございます。それらの活動は、バラバラのようで、じつは全部つながっていると考えています。それらは、すべて「天下布礼」ということです。人間尊重思想を広く世に広めることが「天下布礼」です。

 冠婚葬祭業もホテル業も、あるいは新たに参入した高齢者介護業も、すべては「人間尊重」というわが社のミッションに直結しています。わが社は「礼」の実践を生業とする「礼業」であると思っています。「礼業」とは「人間尊重業」であり、「ホスピタリティ・インダストリー」の別名でもあります。

 以前、「思いやり 形にすれば礼となり 横文字ならばホスピタリティ」という短歌を詠みましたが、東の「礼」も西の「ホスピタリティ」も結局は「思いやり」を形にしたものであり、それが「もてなし」へと発展するのだと思います。

 本書に収められた文章は、日本最大のニュースサイト「毎日jp」の「風のあしあと」連載の「一条真也の真心コラム」に掲載されたものです。関係者の皆様に感謝いたします。

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