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代表的日本人』

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No.0524

 

 『代表的日本人』内村鑑三著、鈴木範久訳(岩波文庫)を再読しました。

 

 著者は、言うまでもなく日本人を代表するキリスト教徒です。名著として知られる本書は、1908(明治41)年に書かれています。新渡戸稲造著『武士道』や岡倉天心著『茶の本』と同じく、英文で著わされました。


 キリスト教徒の内村が書くのですからキリシタン大名でも出てくるかというと、予想に反してまったく出てきません。西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮の5人が日本人の代表として取り上げられています。

 

 いずれも儒教あるいは仏教を心の拠り所として生きた人々ばかりですね。「世界の四大聖人」すなわち「四聖」といえば、ブッダ、孔子、ソクラテス、イエスです。興味深いことに、本書『代表的日本人』にはキリストをはじめ、釈迦、孔子、ソクラテスの「四聖」すべてが登場します。それこそ、「近江聖人」と呼ばれた中江藤樹の章など、4人全員の名が出てきます。


 その他にも、日蓮の章でマホメットと日蓮を比較したり、モーセの名をあげてユダヤ教と神道の類似点を指摘してみたり、とにかく『代表的日本人』という本は比較思想の観点に満ちており、知的好奇心を刺激する本となっています。内村鑑三は、キリスト教を超えて、人類の普遍思想をめざした人だったのではないでしょうか。わたしには、そんな気がしてなりません。


 日本人の「こころ」における四聖の影響について、わたしは本名の佐久間庸和の名で『四大聖人』『心学入門』といったブックレットを書きました。また、PHP新書からは『世界をつくった八大聖人』を上梓しました。「四聖」に加えて、モーセ、老子、ムハンマド、聖徳太子を論じました。いわば、『代表的日本人』のアンサーブックというか、『代表的人類』とでもいうべき本かもしれません。ご一読いただければ幸いです。


 最後に、どんな宗教であれ人間には信仰心が必要であると思います。おそらく、信仰心というものは人類の本能ではないでしょうか。

 

 もちろん、日本人の多くも何らかの信仰心を持っています。そして、神道も仏教も儒教も分け隔てなく受け入れ、クリスマスも素直に祝うことができる日本人の信仰心には包容性があり、世界に誇るべきものであると確信します。