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真・異種格闘大戦』

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No.0520

 

 『真・異種格闘大戦』全10巻、相原コージ著(双葉社)を読みました。

 

 冒頭では、「THE 最強」という格闘技トーナメントが開催されます。 それは、ボクシング、相撲、柔道、レスリング、伝統空手、フルコンタクト空手、サンボ、キックボクシング、ムエタイ、カポエラ、テコンドー、モンゴル相撲、中国拳法、日本拳法、太極拳、プロレス、古流柔術、ブラジリアン柔術、合気道、総合格闘技、バーリ・トゥード、軍隊格闘術、地下格闘技、ストリートファイト・・・・とにかく、全世界のあらゆる格闘技の現役チャンピオン64名が参加して争われる究極の最強決定トーナメントでした。

 この前人未到のトーナメントを制したのは弱冠18歳の日本人、強矢鋼でした。人類史上初めて世界中の誰もが認める真の「地上最強の男」となった鋼は、一種の虚脱感に包まれます。そんな彼のもとに謎の覆面男が現れ、鋼はアフリカ大陸の奥地に連れていかれます。そこでは、なんと「地上最強の生物」を決めるトーナメントが開催されようとしていたのでした。地球上のあらゆる地域、あらゆる生物の中から、特に厳選された16の最強生物が「地上最強」の座を賭けて、闘いを繰り広げるのです。
 参加する生物とは、ライオン、トラ、アフリカゾウ、アナコンダ、ナイルワニ、ヒグマ、マウンテンゴリラ、インドサイ、カバ、スイギュウ、ヒクイドリ、クズリ、オオカミ、シマウマ、イヌ、そしてヒトです。果たして、トーナメントの結果は?

 それは、ここには書きません。読んでからのお楽しみです。

 意外な展開の連続に、わたしは時間の経つのも忘れました。 生物たちのキャラも立っていて、食物連鎖からの脱却をたくらむシマウマの革命家「チェ・ゼブラ」などは素敵すぎます! 相原コージの往年の名作『かってにシロクマ』のシロが登場するのも嬉しいサービスでした。

 本書にはシートンの『動物誌』などの引用も見られるように、本格的な動物の知識が満載で、ずいぶん動物の生態に詳しくなれます。また、実在の生物のみならず幻獣まで出てくるので、一種の「博物誌」的要素もあります。
 
 とにかく、こんなにスケールが大きくて面白いコミックは久しぶりでした。

 1回戦は、「地上最強の男」である強矢鋼の相手はカバでした。
 そこで、カバが鋼に対して「おいヒト、野生をなめんなよ」と言い放つ場面があります。 そして、カバは「俺達の闘いはお遊びじゃねーんだ」とも言います。

 そうです。狂言回し的存在のオリバー君(なつかしい!)が本書で解説しているように、人間にとって「強い」ということは数ある価値の一つに過ぎません。
 「強い」以外にも、「頭がいい」「金持ち」「美しい」「面白い」「権力を持っている」「芸術的才能がある」「性的魅力がある」などの価値を人間は大切にしています。
 しかし、野生においては「強い」ということが唯一絶対の価値となります。 なぜなら、野生においては「弱い者」は「強い者」に食われます。 「弱い者」は自分の遺伝子すら残すことができないのです。

 『地上最強の生物は誰だ!?』では、1回戦の模様までしか描かれていませんでした。 わたしはコミックの単行本を買い求め、その後の2回戦、準決勝、そして決勝戦の物語を読みました。どれも、すこぶるスリリングな戦いで魂が震えました。
 先日、ついに最終巻である第10巻が刊行されました。 それで、早速アマゾンに注文して取り寄せ、ようやく今夜読了したのです。

 いやあ、想像を絶する凄い結末でした。帯には「いま、奇跡が起きる・・・・・!!」と書かれていますが、本当に奇跡が起こるのです。
 神話的というか、黙示録的というか、とにかくブッ飛んだラストです。
 ネタバレになるので、決勝戦を制した地上最強の生物については触れません。 この作品は、完成までに丸7年かかっています。 著者は、第10巻の「あとがき」の中で次のように述べています。

 「7年前は日本の格闘技界もまだ大いに盛り上がっていて、『今自分が面白いと思えるものって格闘技ぐらいしかないなあ』との思いから、理想の格闘漫画を描くつもりで本作の連載を始めたんだけど、まさか7年後の日本の格闘技界がこんなにもお寒い状況になっているとは思いもしなかった。私自身の格闘技熱も徐々に冷めつつあったけど、必死に己に火をくべてなんとか最後まで描ききることができた」

 まったく、同感です。本当に、日本の格闘技界はつまらなくなりました。