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Title

冥談』

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No.0411

 

 『冥談』京極夏彦著(メディアファクトリー)を読みました。

 

 短編集「幽談」の続編です。帯には「僕は、帰れるのだろうか。」というキャッチコピーに、「生と死のあわいをゆく、ほの瞑い旅路―これぞ真骨頂! 著者の『核心』に迫る、怪しき短篇小説集」という一文が添えられています。


 また帯には、「荒木飛呂彦氏、叫喚」として、「『京極先生ェェ――――ッ』夕暮れの柳の木を見上げて なぜかそう叫びたい。」という奇矯な推薦文まで付いています。


 『幽談』と同じく、本書にも怪談専門誌『幽』の連載に書き下ろしが加えられています。


 「庭のある家」「冬」「凮の橋」「遠野物語より」「柿」「空き地のおんな」「予感」「先輩の話」の8つの物語です。全編を通じて、夏目漱石の「夢十夜」、それから「西瓜」などをはじめとする岡本綺堂の怪談の影響を強く感じました。


 ふいに日常が崩れてゆく話が多いですが、全体的なレベルは『幽談』のほうが上ではないでしょうか。個人的には、身内の不倫や自殺という非常に重いテーマを扱った「柿」が一番読み応えがありましたね。


 京極本というと、とにかくその分厚さで知られています。また、ときには悪意さえ感じるほど(笑)の難しい漢字に独特の語彙で難解な印象を持つ読者も多いようです。しかし、本書や『幽談』のような短編集ならば、そんな人たちでも気軽に京極ワールドを楽しめるのではないでしょうか。


 『幽談』と同じく、本書も著者が造本していますが、相変わらず素晴らしい出来です。


 ため息が出るようなオシャレな本だと言えるでしょう。本当に、こういう瀟洒な幻想文学書を手にすると、著者が羨ましくてなりません。


 いつか、わたしもこんな素敵な本を書いてみたいと心の底から思うのです。


 不思議なことに、またもや本書を読んでいる間、強い睡魔に何度も襲われました。


 まさか、睡眠薬を含んだインクで造本されてるなんてことはないよね?