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死にぞこないの青』

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No.0424

 

 『死にぞこないの青』乙一著(幻冬舎文庫)を読みました。

 

 非常に不愉快というか、読んでいて辛くなってくる物語でした。重松清氏の作品をはじめ、「いじめ」をテーマにした小説は多いですが、この作品は小学校の教師が生徒をいじめ抜く話なのです。本書のカバー裏には、次のように内容が紹介されています。


 「飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても、全部マサオのせいにするようになった。クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日、彼の前に『死にぞこない』の男の子が現れた。ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説」


 これは、本当に怖い物語でした。こういう怖さを発見し、物語として作り出せる著者は、人間にとっての「恐怖」というものの本質を知っています。作中で小学生であるマサオが悩み、考える箇所は形而上的で、まるで哲学小説のようでした。著者もそのへんは気になっていたらしく、「あとがき」で次のように書いています。


 「作中で主人公がおよそ子供らしくない語句を用いて思考していますが、その点についてツッコミを入れられたらどうしようかと思っています。僕は基本的に、語り手の年齢が低くてもあまり気にせず地の文ではさまざまな言葉を使用しています。それは、『言葉』そのものは幼いために知らなくても、その『言葉』が意味するものは名づけられないまま頭の中に収まって思考しているにちがいないと受け止めているからです」


 わたしも高校時代に担任の教師とウマが合わなかった経験があります。クラスメイト、保護者全員がいい先生と評価しているのに、自分だけ辛い目に遭うというのは非常に孤独なものです。ましてや、それが小学生のときだったとしたらと思うと、ゾッとします。でも、教師といえども人間であり、中には人間失格者も紛れ込んでいます。


 世の中にはきっと、マサオのような経験をしている小学生も多いのでしょう。その意味で、本書は彼らにとっての「癒し」の書となるでしょう。なぜなら、本書には多くのマサオたちの心の傷を洗い流してくれるような爽快なラストシーンが用意されているからです。そう、最後には大いなるカタルシスが待っているのです。


 なお、この作品は映画化されています。