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Title

東亰異聞』

Category

No.0357

 

 『東亰異聞』小野不由美著(新潮文庫)を読みました。

 

 「東京(とうきょう)」ではなく、「東亰(とうけい)」を舞台にした物語です。つまり、歴史上に実在する東京ではなく、あくまで架空の街が舞台なのです。いわゆる「パラレル・ファンタジー」と呼ばれるジャンルですね。


 帝都・東亰の誕生から29年が経過し、夜が人のものであった時代は終わりました。そこには、さまざまな魔界の者たちが横行しはじめたのです。火炎魔人は人を突き落とし、全身火だるまのまま姿を消します。闇御前は、夜道で辻斬りの所業をはたらきます。


 さらには、人魂売り、首遣いといった魑魅魍魎が跋扈します。人ともモノノケともつかない不思議な「香具師」たちも暗躍しています。新聞記者の平河は、東亰の街で連続発生する奇怪な事件を追います。そして、公爵家のお家騒動に行き当たるのです。


 「ネタバレ」になるので、ストーリーはこのへんまでにしますが、本書には人の心の闇が妖しく描かれているだけでなく、官能美も漂う伝奇ミステリーとなっています。


 ラストには、意外な結末が用意されています。くれぐれも最後まで油断せずに読むべき本です。


 以前に比べて、現在の東京の夜は闇が支配しています。まるで、「東京」が本当に「東亰」になってしまったかのようです。今の帝都の夜なら、魑魅魍魎が跋扈してもおかしくありません。


 さて、坂東眞砂子の次は、小野不由美・・・・・。これからしばらく、最近読んだ日本のホラーやファンタジー作品を紹介していきます。


 次はいきなり、日本のホラー小説史に燦然と輝く大傑作が登場しますよ。怖い話や不思議な話が好きな方は、どうぞ、お楽しみに!