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きみの友だち』

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No.0304

 4月1日になりました。

 

 本当は、この日のために昨年のエイプリル・フールのようなジョークを数カ月も前から考えていました。しかし、さすがにこの国難にあって、そんな気分にはなれません。

 

 今年は、エイプリル・フールのジョークを自粛いたします。まあ、「ウソつきは泥棒の始まり」でもありますしね(苦笑)。

 

 さて、『きみの友だち』重松清著(新潮文庫)を再読しました。

 

 4月は進学や進級の季節です。もうすぐ桜も咲きます。


 小学校から高校まで、4月になるのが待ち遠しいような不安なような、落ち着かない気分だったことを記憶しています。上の学年に進級するにせよ、上の学校に進学するにせよ、これまで親しくしていた友人たちと離れ離れになる確率が高かったからです。


 毎日顔を合わせていた仲の良い親友と会えなくなるのは、世界の一部が欠けてしまうような大事件でした。ましてや、親友と死別などしようものなら、それはもう自分の一部を失うことと同じなのです。


 本書に出てくる恵美ちゃんは、10歳のとき、ある事故によって足が不自由になりました。それ以来、歩くときには、いつも松葉杖をついています。本書を最初に読んだとき、わたしの次女がちょうど10歳だったので、なんだか感情移入してしまいました。


 恵美ちゃんには、病気がちな由香ちゃんという親友がいました。


 ある事件がきっかけとなって、2人はクラスの誰とも付き合わなくなりました。


 恵美ちゃんは、そのかけがえのない親友と永遠に会えなくなってしまいます。


 そうです、病弱な由香ちゃんが亡くなってしまうのです。


 昔、「1年生になったら友だち100人できるかな」という歌がありました。


 まどみちおの作詞でしたが、当然ながら、友だちは数の問題ではありません。


 たった1人でも、本当に心を許せ合える親友がいれば何よりの幸せです。

 

 わたしは、本書を読んで、この春、高校を卒業した長女のことを想いました。


 彼女は、もともと国立の小中一貫制の小学校に通っていました。


 しかし、たった1人で中学受験し、私立の小中高一貫制の学校に入りました。


 ずっと一緒だった友だちもいなくなり、しばらくは寂しい思いをしたようです。


 じつを言うと、親としても心を痛めていました。


 でも、高校3年生のときに親友が2人できました。


 それ以来、長女はとても楽しそうに学校に通っていました。


 2人と一緒に東京の大学に行くのだと約束して、受験を頑張り抜きました。


 高校3年の夏に彼女は足を骨折し、恵美ちゃんのように松葉杖をついていました。


 そのとき、2人の親友が荷物を持ってくれたり、いろいろと親切にしてくれたそうです。


 いま、長女と2人の友だちは、それぞれの大学に通う準備をしています。


 いきなりの計画停電や余震などに戸惑うことも多いでしょう。


 それでも、なんとか3人で助け合って、励まし合っているようです。


 本書の内容に話を戻します。


 親友を失った後の恵美ちゃんの再生の物語は、深い感動を呼び起こします。


 また、この小説の最後には、グランドフィナーレとして結婚式の場面が出てきます。


 わたしは、こんなにも心に染みる結婚式の描写を他に知りません。


 いつの日か長女が結婚するとき、ぜひ2人の友だちにも結婚式に来て欲しいです。