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街場の教育論』

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No.0289

 

 『街場の教育論』内田樹著(ミシマ社)を再読しました。

 

 著者の一連の『街場』シリーズの中でも一番の名著だと思います。


 教育をテーマにした本としては、最近で一番読まれた本ではないでしょうか。


 著者は、神戸女学院大学の文学部教授です。最近、著書の塩漬け宣言をしましたが、多くのべストセラーを生んできた現代日本の「知」のフロントランナーの1人です。


 著者の専門は、フランス現代思想、映画論、武道論などですが、現代社会のあらゆる問題を「街場」の発想でめった斬りにしていきます。


 その快刀乱麻ぶりにはスカッとした爽快感を覚えます。


 本書の帯には、「教育には、親も文科省もメディアも要らない!?教師は首尾一貫していてはいけない!?日本を救う、魂の11講義!」とのコピーが踊り、「全国の先生方 必読です!!」とも書かれています。 昨今、「教育改革」とか「教育再生」などのスローガンが、どうも空しく響きます。


 著者は、日本の教育が「こんなふう」になったのは、教育界だけでなく、わたしたち全員が犯人であると断言します。そして、「他者とコラボレーションする能力」を育てることこそ最優先の課題だと述べます。


 今の時代が失ったいちばん大切なものは、「仲間と互助的な共同体を作って、貧しい資源を分かち合う」という作法であると、著者は主張します。


 わたしも「相互扶助」や「隣人愛」が現代のキーワードであると常々思っていましたので、著者の主張には大いに共感しました。


 また、著者が「葬礼」を非常に重視していることにも共感しました。


 葬礼というものは、「宗教教育」の基本原理です。


 そして、葬礼をもっとも重んじた人物こそ、かの孔子です。各地の藩校や寺子屋の歴史に明らかなように、孔子の教えは久しく日本の教育制度の根幹にありました。


 当然、現代においても、教育プログラムは「礼」すなわち葬送儀礼の意義と作法の習得を教育課題の第一に掲げるべきだといいます。


 すべての社会集団は「正しい葬礼」の必要性を信じており、これが新しい教育が出発すべき前提であると著者は説くのです。


 いじめにしろ自殺にしろ、子どもたちが「いのち」を軽んじるところに問題があります。


 「いのち」のセレモニーである葬儀に、子どもたちはもっともっと参加するべきです。


 この具体的な提言と知的好奇心に満ちた教育論を読むと、心からそう思います。


 ある意味で、セレモニーホールこそは最高の教育の場なのです。


 わたしは、紫雲閣を寺子屋にしたい! いや、ほんとに。