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良寛さんの愛語』

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No.0303

 

 東日本大震災で被災し、避難所で暮らす方々のストレスが大きくなっています。


 劣悪な環境に加えて、先行きが見えないこともその原因となっているのでしょう。


 避難所で暮らす人同士のトラブルも増えてきているとのことで、心が痛みます。


 こんなときこそ、「愛語」という日本人の知恵が役に立つのではないでしょうか。


 そこで、『良寛さんの愛語』自由訳 新井満著(考古堂書店)を再読しました。


 「千の風になって」で一大ブームを起こした新井満氏の次のキーワードは「愛語」でした。


 愛語とは何か。それは、日本の仏教が生んだ言葉です。


 曹洞宗の開祖である道元が著(あらわ)した『正法眼蔵』の中に『愛語』は登場します。


 道元が愛語の重要性を説いてから500年後、若き良寛が『正法眼蔵』を読んで感動しました。そして、自らも愛語を心がける人生を送ります。


 最晩年に、ふと筆を取った良寛は『愛語』の全文を書き写しました。


 この書を現代に甦らせたのが、この『良寛さんの愛語』なのです。


 良寛は、人々を苦しみから救い幸せにしたいと考えました。


 そして、さまざまな愛語を大切にしました。 


 たとえば、「お変わりございませんか」。


 これも立派な愛語です。身体の具合はどうなのか、何か困っていることはないか、何か悩んでいることはないか、などなど、相手のことを気づかっているのです。


 別れ際には、「ごきげんよう」とか「どうかお大事に・・・」という愛語をかけます。


 または、「お気をつけて」とか「どうかお達者で・・・」というのも愛語です。 


 老人には「いかがですか・・・」という愛語をかけるとよいそうです。


 老いた人というのは孤独なものであり、一言もしゃべらないうちに一日が終わることもある。 しかし、こちらが「いかがですか・・・」という言葉をかければ、相手は何らかの言葉を返してきます。そこから、言葉の交流がはじまり、心の交流が生まれるというのです。


 すなわち、離れていた心と心の間に橋が架かるわけですね。


 さて、愛語はどこから生まれてくるのでしょうか。


 それは、「愛心」から生まれてくるといいます。


 では、愛心とはどこから生まれてくるのか。


 それは「慈心」から生まれてくるのです。


 そして、慈心とは「いのちをいつくしむ心」に他なりません。


 愛語とは人間関係を良くする魔法かもしれません。


 本書を読んで、ぜひ、わたしたちも日々の生活の中で愛語を使いたいものです。


 ちなみに、わたしは「散る桜 残る桜も散る桜」という良寛の句が大好きです。