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満月交感 ムーンサルトレター
(上下巻)』

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No.0241

  

 今朝、水曜社の仙道社長より『満月交感 ムーンサルトレター』上下巻の見本が送られてきました。包みを開いた瞬間、思わず「おおっー!」という声が出ました。

 

 表紙のイラストが、なんといってもインパクト大です。上下巻を合わせると、満月に吠える二匹の狼の図となります。まるで伝奇ロマン小説かコミックのような装丁に大満足です!


 それにしても、ついに本書を世に問う運びとなり、わたしは感無量です。本書のお相手である鎌田東二先生は、実践する「知」のフロントランナーであり、日本人の「こころ」の未来を見つめておられる宗教哲学者にして神道ソングライターです。


 その鎌田先生とわたしは、「ShinとTonyのムーンサルトレター」という文通を互いのホームページ上で毎月の満月のたびに交わしています。満月の夜に手紙を交わすから、ムーンサルトレターです。


 本書の上巻には第1信から第30信まで、下巻には第31信から第60信までのわたしたちの往復レターが収められています。


 レター・ネームの「Shin」というのは鎌田先生がつけて下さいました。もちろん「一条真也」の「真」から取っているのでしょうが、メソポタミア神話の最古の神である月神シンの意味もあるそうです。


 「Tony」というのは、「東二」の音読みです。また、コメディアンの「トニー谷」をもじってもいるそうですが、「トニー・パリ・カマターニュ」という名のフランス人みたいでカッコいいですね。そういえば、先生が以前パリの街を歩いていたとき、パリを自分の故郷であるように感じられたとか。


 わたしは、いわゆる「往復書簡集」の類が好きで、フロイトとユング、夏目漱石と正岡子規、柳田國男と南方熊楠の文通などを愛読してきました。そのわたしが、敬愛してやまなかった鎌田先生と21世紀のWeb版往復書簡を交わすなどとは夢にも思いませんでした。ましてや、それが2巻組の単行本になろうなどとは!


 いま、2人の間に交わされた膨大なレターを読み返してみて、自分でもあきれています。よくもまあ、5年の間、いろいろな話を鎌田先生としたものです。お互いの著書のこと、プロジェクトのこと、考えていること。話題も政治や経済、社会から、宗教、哲学、文学、美術、映画、音楽、教育、倫理、さらには広い意味での「世直し」まで。


 まあ、わたしがある話題に終始すれば、鎌田先生はまったく違う話題に終始するといった具合にあまり噛み合っていないこともありましたが、それもまた良し!(笑)お互いが言いたいことをつれづれなるままに書き、たまにはスウィングしながら、少しでも「楽しい世直し」につながっていけばいいなと思っていました。


 わたしが商売人の身であるにもかかわらず、文化人や学者の方々とお話しても何とかついて行けるのは、鎌田先生との文通で展開してきた議論のおかげかもしれません。わたしには、「自分は日本を代表する宗教哲学者と文通を続けているのだ」という自負と、「だから誰と対話することになっても怖くない」という自信があるのです。


 先日、葬儀の存在意義をめぐって某宗教学者とNHKの番組で討論することになったときも、鎌田先生はアドバイスとして、「冠婚葬祭は形は変わっても絶対に必要です。人類は神話と儀礼を必要としています。それが人間です」との言葉を下さいました。まことに嬉しく、ありがたかったです。わたしが儀礼文化のイノベーションをめざしていく上で、鎌田先生のさまざまなアドバイスがどれほど心の支えになっていることか。


 鎌田先生は、これまでに故・中上健次氏をはじめ、五木寛之氏、山折哲雄氏、荒俣宏氏、喜納昌吉氏、近藤高弘氏、そして鏡リュウジ氏といった錚々たる方々と一緒に共著を世に問われてきました。このたび、わたしもその仲間に加えていただき、「鎌田東二」と「一条真也」の名前を並べていただいたことは本当に光栄です。


 本書の上下巻とも、「まえがき」はわたし、「あとがき」は鎌田先生が書いたのですが、上巻の「あとがき」に鎌田先生は次のように書いて下さいました。


 「一条真也氏は一種の『超人』あるいは『ウルトラマン』である。冠婚葬祭業の大手会社の社長を務めながら、業界の広報委員長の役目を強い使命感を持って果たし、『葬式は、要らない』という論客に対して『葬式は必要!』と果敢に打って出る。経営者の傍ら50冊以上の書物を出版する作家であり、大学の客員教授としても教壇に立つ。並みの人間にできることではない。『ウルトラマン』と言いたくなるのも理解してくださるだろう」


 わたしは、この文章を読んで、もう恐縮の至りなどという次元を通り越して、穴が入ったら入りたい心境でした。その旨を鎌田先生にも申し上げたところ、「いいじゃないですか」と笑っておられました。普通は「超人」というと「スーパーマン」が出てくるところですが、なぜ「ウルトラマン」なのか。これには2つの理由があるそうです。


 1つには、スーパーマンは等身大ですが、ウルトラマンは巨大だから。


 もう1つは、スーパーマンはアメリカ生まれですが、ウルトラマンは日本が生んだヒーローだからだそうです。いやはや、本当に申し訳ないような気持ちでいっぱいです。


 また、それぞれ、「まえがき」「あとがき」の最後に以下のような短歌を詠んでいます。


 「満月に吠える二匹の狼が 世直しめざす人に化けたり」 一条(上巻・まえがき)


 「満月の夜にいななく虫たちの 天地つらぬく越楽の声」 鎌田(上巻・あとがき)


 「人はみな神話と儀礼求むると 文を交わせし師に教えられ」 一条(下巻・まえがき)


 「ココと来て月を見上げてしずまりぬ 火宅世界に包まるるとも」 鎌田(下巻・あとがき)


 ココというのは、鎌田家の愛猫だそうです。かわいい名前ですね。


 この短歌にも、2人の個性がよく現れているような気がします。


 第60信で、鎌田先生は「これからも60回といわず、60年、ムーンサルトレターを続けましょう!今生のいのちあるかぎり。いや、来世までも」と書いて下さいました。ここまで言っていただければ、わたしも本望です。


 ぜひ、あと60年でも、来世まででも、やりましょう!


 記念すべき第60信がアップされる直前に、「ムーンサルトレター」の単行本化が決定しました。この出版不況の時代において、2巻組の往復書簡集を刊行するとは、一つの快挙です。これも、わたしたちの「世直し」を神仏が後押ししてくれているのかもしれないと思いました。水曜社の仙道弘生社長には心より感謝申し上げます。


 進化論のチャールズ・ダーウィンの祖父にエラズマス・ダーウィンという人がいました。彼は月が大好きだったそうで、18世紀、イギリスのバーミンガムで「ルナー・ソサエティ(月光会)」という月例対話会を開いたといいます。


 わたしたちは、現代日本のルナー・ソサエティのメンバーなのかもしれません。そして、われらのルナー・ソサエティは、ハートフル・ソサエティをめざしています。


 さあ、いよいよ「世直し」元年が幕を開けました!