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活学講話 東洋人物学』

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No.0208

 

 活学講話 東洋人物学』安岡正篤著(致知出版社)を再読しました。

 

 昭和38年に開催されたセミナーの講話録です。わたしが生まれた年ですが、講話ですから非常に読みやすいです。


 東洋学の泰斗である安岡正篤が、日本のリーダーたちに提唱する「人物学」が本書の中心をなします。しかし、意外にも西洋の書物が多数登場してきて興味深いのです。

 

 安岡正篤は、若き日にギボンの『ローマ帝国衰亡史』、プルタークの『英雄伝』、シュペングラーの『西洋の没落』などを原書で読破したそうです。

 

 その他にも、エマースンの『代表的偉人論』や、アイゼンハワーの『回顧録』や、マックス・ピカートの『騒音とアトム化の世界』や、ウォルター・リップマンの『ザ・パブリック・フィロソフィー』などなど、さまざまな本が次から次に登場します。安岡正篤はこれらを読み込み、しっかり自らの東洋人物学に応用しているのです。

 

 マルクス・レーニン主義についても幾度となく本書で言及していますので、きっと『資本論』も精読していたに違いありません。


 そういえば、かのピーター・ドラッカーが世界的ベストセラーになった『断絶の時代』を発表したとき、日本でいちはやく評価した人物こそ安岡正篤でした。 彼は同書のコンセプトが世代の連続としての「孝」にあることを見抜いたのです。

 

 安岡正篤は、"The age of discontinuity"という書物が『断絶の時代』のタイトルで翻訳出版されたとき、「『断絶』という訳語はおかしい、本当は『疎隔』と訳すべきであるけれども、強調すれば『断絶』と言っても仕方ないような現代である」と述べました。そして、その疎隔・断絶とは正反対の連続・統一を表わす文字とは「孝」であると明言しました。

 

 「老」すなわち先輩・長者と、「子」すなわち後進の若い者とが断絶することなく、連続して一つに結ぶ。そこから「孝」という字ができ上がりました。「老+子=孝」なのです。そして先輩・長者の一番代表的なものは親ですから、「孝」は親子の連続・統一を表わすことに主として用いられるようになったのです。


 もちろん、本書には西洋の書物以上に数多くの東洋の書物が登場します。どれだけの本を読み、どれほど勉強していたのか想像もつかないほどですが、安岡正篤はそれを単なる知識に終わらせず、活きた学問としてリーダーたちに伝授した点が偉大です。だから、本書の書名には「活学講話」と記されているのでしょう。

 

 まだ本書を読まれていない方は、ぜひ、お読み下さい。