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現代の経営(上・下巻)』

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No.0159

 

 新訳 現代の経営(上下巻)』P・F・ドラッカー著、上田惇生訳(ダイヤモンド社)を再読しました。

 

 1954年に刊行され、1996年に「ドラッカー選書」として日本版新訳が出ており、わたしはこれを読みました。ただし、現在では2006年に「ドラッカー著作集」としてさらに新版が出ています。


 ドラッカーは、本書を世界で最初の経営書であると自負しています。マネジメントを独立した機能としてとらえ、マネジメントすることを特別の仕事として理解し、経営管理者であることを特別の責務としてとらえた最初の本だというのです。

 

 本書は「経営管理者は、事業に生命を与える力にあふれた存在である。彼らのリーダーシップなくしては、生産のための資源は、単なる資源にとどまり、生産は行なわれない」という力強い書き出しで始まっています。そして本書は、今日のマネジメントとともに、明日の事業の創造について述べた最初の本です。ドラッカーは、本書の「はじめに」で次のように述べます。

 

 「私は、マネジメントや経営管理者の仕事が興味深い存在になっているのは、そこに真の意味での全体、三次元としての実体があるからだと考えた」

 

 ドラッカーはGMでの調査を始めてただちに「マネジメントする」ということの意味を3つ考えたといいます。

 

 第1に、成果をあげること。

 第2に、企業の中で共通の課題に取り組むべき人たちを組織すること。

 第3に、社会的な問題、すなわち社会的な影響や社会的責任。


 さらに重要なことは、企業を全体として見た最初の本でもあります。それ以前のマネジメントに関する本はすべて、そして現在にいたってもそのほとんどの本は、マネジメントの一局面を見ているにすぎません。しかも通常、組織・方針・人間関係・権限など企業の内部しか見ていません。

 

 それに対して本書は、企業を3つの次元から見ています。

 

 第1に、企業自らの外部、すなわち市場や顧客のために、経済的な価値を生み出す機関としてみる次元。

 

 第2に、人を生産的な存在とするための組織、したがって統治の能力と価値観を持ち、権限と責任の関係を規定する人間的、社会的機関としてみる次元。

 

 第3に、社会やコミュニテイに根ざすがゆえに、公益を考えるべき社会的機関として見る次元。

 

 さらに、本書は出版のころには言葉さえほとんど存在していなかった企業の社会的責任についても論じています。これらの視点によって、マネジメントそのものを本書は生み出したのです。企業の機能は「マーケティング」と「イノベーション」であることを明確に示した本書は、世界中の経営者に読まれ、企業を動かし、経済に直接の影響を与え続けています。


 本書の特徴は、シアーズやAT&Tをはじめとした具体的かつ詳細な事例が列挙されている点でしょう。発見のエネルギーに満ちており、古典でありながら、とにかく面白い本です。ドラッカーが実際のコンサルティングで得た経験を惜しみなく示しており、現代においても意味を失っていません。

 

 経営の根本原理を考えるために、あるいは経営者としての原点に立ち戻るためにバイブルとなる本だと言えるでしょう。翻訳者の上田惇生氏は、経営を学ぶために必ず読まなければならない本を1冊あげるならば、本書『現代の経営』であると断言しています。

 

 本書の最後で、ドラッカーは次のように述べています。

 

 「最も重要なことは、マネジメントが、自らの経営方針や行動のもたらす社会的影響をつねに考えるべきことを認識することである」

 

 そして、続けてドラッカーは言います。

 

 「マネジメントたる者は、企業の活動が公共の利益を促進するか、社会の基本的信条を前進させるか、社会の安定、力、調和に寄与するかをつねに考える必要がある」

 

 シンプルな言葉でマネジメントの本質を見事に解き明かしています。

 

 まだ読まれていない方は、ぜひ、お読み下さい。