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インターネット新世代』

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No.0075

 

 インターネット新世代』村井純著(岩波新書)を読みました。

 著者は慶応義塾大学環境情報学部教授であり、1995年に『インターネット』(岩波新書)、1998年に『インターネットⅡ』(岩波新書)を上梓した、日本におけるインターネット研究の第一人者です。

 

 日本にインターネットが動き出して20年が経過しました。現在では社会に欠かせない基盤であり、ライフラインの一部になった観があります。


 本書では、急激に変わる放送をはじめとしたメディア、携帯電話に代表される電話による通信技術、そして広がるクラウドコンピューティングなどの背景を紹介しています。話題のクラウドコンピューティングについて、著者は次のように説明します。

 

 「大きな雲を真ん中に描いて、そこにつながっているコンピュータの絵を描きました。雲の中はインターネットによってつながるコンピューティングの世界であることがわかっているので、雲の中身をいまさら書く必要がなくなったわけです。さらに、どんなサービスもブラウザ経由で提供されるなら、この雲につながるのはコンピュータですらなくて、ブラウザだろう――このようなイメージで出現したのがクラウドコンピューティングです」

 

 このクラウドコンピューティングが発展すると、ネットブックやスマートフォンなど、情報機器の世界も大きく変わっていきます。何より、インターネットによって、かつてマーシャル・マクルーハンが「地球村」と呼んだ新しい世界が誕生しました。ここまでグローバルなコミュニケーション環境は歴史的にも初めてであり、著者は「インターネットによって、人類が国境を越えて、あるいは国という概念とはまったく独立に、自由にコミュニケーションできる新しい社会が形成されました」と述べています。

 

 著者によれば、人が国境を越えて地球全体を見渡し、すべての人類を意識したとき、新しい夢や課題が生まれます。そして、それに取り組むことが、数々のイノベーションを生み出し、人間の創造性の新しい基盤になるとともに、人に新しい勇気を与えるというのです。

 

 最後に、メディアとしてのインターネットのコンテンツそのものも大きく変化していますが、わたしは個人的に著者の次の発言が印象に残りました。

 

 「二0世紀のSF小説やマンガの三種の神器は、空飛ぶ自動車と腕時計のようなテレビ電話と立体テレビといってもいいと思います。自動車はともかく、立体映像がエンターテインメント産業の目玉になる状況がようやく整ってきました。三次元映像の利用はかつて何度も試みられたことがあり、四ラウンドか五ラウンド目の挑戦だと思います。映像の三次元化、共有と交換、保存といったことは従来の放送システムで試みられていました。これも『双方向』、すなわち三次元映像プラス視聴者の参加、ということが組み合わさることにより、インターネットを通じてまったく新しい衝撃をエンターテインメントの世界にもたらしています」

 

 わたしは、エンターテインメントもいいですが、セレモニーの世界に三次元映像を取り入れる日を夢見ています。ずばり、ある人が亡くなった場合、その故人の立体映像を使って葬儀ができないかと考えています。つまり、立体映像による「幽霊」作りですね。

 

 インターネットのさらなる進化は、人間を疎外させ、「こころ」に悲鳴をあげさせるものではなく、人間の「こころ」に大きなエネルギーを与える、つまりは人に想像力を与えるものでなければならないと思います。新世代のインターネットが、人間の「こころ」の未来を創造してくれるものであることを願っています。