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希望を捨てる勇気』

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No.0007

 

 『希望を捨てる勇気』池田信夫著(ダイヤモンド社)を読みました。著者は、影響力の高い「アルファブロガー」としても知られる気鋭の経済学者です。

 本の帯に「日本経済に足りないのは絶望である。」というコピーが大きく書かれています。続いて、「不況、格差、雇用・・・失われた20年を超えて日本経済を再生する条件とは?」とあります。


 アメリカ発の未曾有の大不況は、いまだ尾を引いています。 この影響で日本社会における「格差と貧困」がより一層深刻化しています。 まじめに働いても年収が200万円に満たない「ワーキングプア」、住む場所のない「ネットカフェ難民」、5件以上の債務に苦しむ「多重債務者」、さらには「生活保護受給者」、「ホームレス」の数も増加する一方です。 池田氏によれば、日本がいま直面している問題は、戦後ずっと続いてきた産業構造や雇用慣行の行き詰まりなどのシステム全体の問題だそうです。これを金融・財政などのマクロ政策や労使紛争と考えているかぎり解決の糸口は見出せないというのです。

 特に、わたしが考えさせられたのが「匿名ブログ」に関する記述です。 日本ほど匿名ブログが多い国はないそうです。 日本の会社では、職場で言いたいことの言えないストレスがたまり、それを発散するのが飲み屋や宴会での「無礼講」です。

 池田氏は、この「無礼講」について考察した後、次のように述べています。

 「2ちゃんねるなどの匿名掲示板や、日本に異常に多い匿名ブログも、そういうストレスのはけ口になっている。そこでは欧米のブログのように自分の意見を表明するという目的はなく、他人の前ではいえない悪口や汚い言葉を書き連ねることが目的だ。その熱心なユーザーは、実生活では共同体から排除されたフリーターが多く、そこで見られるのは似たもの同士で集まり、異質なものを『村八分』で排除することに快楽を見出す、ほとんどステレオタイプなまでに古い日本人の姿だ。」

 池田氏は、「世界のどこにも見られない、この巨大な負のエネルギーの中には、自分を取り巻く不合理な状況と闘うことをあきらめた、無力なサラリーマンや若者の姿がみえるとして、さらに次のように書いています。

 「2ちゃんねるや『はてなブックマーク』のような書き捨てに適したアーキテクチャが、結果的にはこういう卑怯者が評判コストを負わないで他人を罵倒するのに最適のツールになっている。警察が2ちゃんねるを摘発しないのは、これをつぶすとアングラ情報が無数の『裏サイト』に分散してしまうためだといわれるが、これによって社会への不満が『ガス抜き』される効果もねらっているのかもしれない。」

 自らがアルファブロガーとしてネット社会で大活躍されている池田信夫氏の鋭い洞察には頭が下がります。そして、わたしは社会のIT化が加速すればするほど、人と人が実際に会うことの重要性を痛感しました。

 ITだけでは人類の心は悲鳴をあげて狂ってしまいます。ITの進歩とともに、「冠婚葬祭」や「隣人祭り」など、人が会う機会がたくさんある社会でなければなりません。

 わたしは希望は絶対に捨てませんが、『希望を捨てる勇気』から多くのことを学びました。みなさんも一読をおすすめします。